運動部活のガイドライン、一応全文目を通してみた

 学校の部活動について。
 3月13日、「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議」が開かれ、指針をまとめた。
 報道では、「(活動は)1日2時間まで」、「週2日以上の休養日」など、世間的に分かりやすく面白そうな部分だけが取り上げられているが、運動部の在り方全体を検討しているのだから、全貌を見ておく必要があるだろう。

 ここに出ている。
 運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン

 ちなみに、これは法律や規則ではなく、あくまでも指針であるから、法的拘束力はなく罰則もない。しかし、だからと言って、守らなくていいというものではなく、これに沿った活動が行われていない場合は、ネットなどで糾弾され、法よりももっと厳しい裁きを受ける可能性がある。

 前文では、「学校教育の一環として行われ、我が国スポーツ振興を大きく支えてきた」、また、「生徒の多様な学びの場として、教育的意義は大きい」と、その功績や意義を認めた上で、しかし、「少子化が進展する中、従前と同様の運営体制では維持は難しくなってきており、学校や地域によっては存続の危機にある」ため、「速やかに、運動部活動の在り方に関し、抜本的な改革に取り組む必要がある」と述べている。
 まあ、おおむねその通りだろう。

 次にガイドライン策定の趣旨。
 「本ガイドラインは義務教育である中学校段階の運動部活動を主な対象とし」と、適用の範囲を明示しているが、一方で、基本的な考え方は「学校の種類や学校の設置者の違いにかかわらず該当するものであるから」、「高等学校段階の運動部活動についても本ガイドラインを原則として適用し」と、私立を含む高校にも適用されるものであるとしている。
  「原則として」という文言を入れ、さらに「高等学校段階では、各学校において中学校教育の基礎の上に多様な教育が行われている点に留意する」と付言しているあたりに、高校に対する一定の配慮が見られる。

 方針の策定。
 都道府県や市町村、学校法人の設置者は「本ガイドラインに則り、『運動部活動の在り方に関する方針』を策定する。それに則り、校長は「学校運動部に係る活動方針を策定」し、運動部顧問は「年間の活動計画、毎月の活動計画を作成」する。

 ほらほら、ここでまた学校や先生の仕事が増えたじゃないか。現場ではこれが負担だって言ってるんだけどね。

 次は体制の整備。
 「適正な数の運動部を設置する」。
 数を減らせってことかな。このご時世に増やせってことはないだろう。

 「部活動指導員を積極的に任用し、学校に配置する」
 予算をどうするかだ。

 「運動部活動の適切な運営に係る実効性の確保を図るため研修等の取組を行う。
 そんな暇ないって。

 さあ、いよいよ適切な休養日等の設置について。
 マスコミが主に取り上げている部分だ。
 「学期中は、週当たり2日以上の休養日を設ける。週末は少なくとも1日以上を休養日とする」
 いきなり、具体的な話に入って行くね。

 「1日の活動時間は、長くとも平日では2時間程度、休業日は3時間程度とし、できるだけ短時間に、合理的かつ効率的・効果的な活動を行う」
 言われなくてもそうしていると思うけどね。本気で勝ちに行こうと思っている部活ほど真剣に追求しているはず。

 この後、「生徒のニーズを踏まえた運動部の設置」、「地域との連携」、「学校単位で参加する大会等の見直し」などの項目が続くが、結構重要な部分だ。
 大会を減らせば、オフシーズンも生まれる。しかし、多くの大会がマスコミと結びついている。野球もサッカーもラグビーもバレーもバスケも。
 新聞やテレビは、このあたりをどう考えるかだ。大会を盛り上げるだけ盛り上げておいて、まあ、下品な言い方だが、しっかり商売しておいて、一方で部活動の過熱を批判するっていうのは、ダブルスタンダードだからね。

 以上、少し長くなったが、部活動ガイドラインのレポートと感想であった。

 なお、検討会議のメンバーって、どんな人々なのだろうと気になったので調べておいた。
 「続きを読む」に記してある。

続きを読む

部活制限したって先生の働き方改革は進まんよ

 世の中の働き方改革。これは進めよう。
 学校の先生の働き方改革。これも結構。どんどんおやりなさい。

 ただね、先生の働き方改革が、なんで部活問題に行っちゃうの?
 週2回は練習休めとか、余計なお世話だ。

 今の部活のあり方に何の問題もないとは思っていない。
 公立中学校でも、強豪校ともなれば、部活のために越境入学するなんていうのは当たり前で、先生が異動(転勤)すると部員も一緒に転校したりする。保護者もいろんな役割があって大変だ。金もかかる。練習に明け暮れて勉強する暇もない。

 しかし、こうした前々からある部活をめぐる様々な問題は、先生の働き方とは切り離して考えるべきである。

 以前、タイムカードの話の時にも書いたが、行政は、それで根本問題は解決しないと分かっていながら、世間受けする施策を打ち出す。もっともらしくて金のかからない施策をだ。金がかかると、そこを突っ込まれるから、とにかく金のかからないことをやる。部活週2回休みにしたって一円もかからないからね。それでいて、何か改革したような印象は残せる。

 先生が忙しいんだったら、人数を増やすとか、業務を外部委託するとか、いくらでもやり方はあるわけだが、そういうのは大金がかかる。世間もそこは認めたがらない。
 かくして、根本的解決にはならないが世間受けのする施策が実行され、しばらくの間、何か改革が進んだかのような気分が蔓延する。

 20年以上前になるが、学校が週5日制になった。世の趨勢に合わせたわけで、それ自体は悪くないが、授業時間が減った。そこで「ゆとり」を持ち出してきて帳尻を合わせた。週5日制でしばられたのは公立だけで、私立には及ばなかったので、多くは6日制を維持した。私立の進学実績が急成長し始めたのは、このことと無関係ではないだろう。

 先生の働き方改革にかこつけて部活を制限し、活動の自由を奪って行くと、ただでも強い私立の部活がもっと強くなっちゃうぞ。それでいいのか公立。

部活の練習時間抑制案は、本気ではないな

 運動部活動に関するガイドラインを検討するスポーツ庁の有識者会議が開かれ、中学では休養日を週2日以上とし、1日の活動時間を平日2時間、休日3時間程度までとする指針の骨子が大筋で了承されたという。

 言われなくても、普通の中学校の普通の中学生の練習なんて、こんなもんじゃないかと思うが、どうだろう。もちろん、「部活命」の顧問がいて、越境入学で選手を集めているような公立中学校が存在しているのは知っているが、例外だろう。
 日本全国の中学生が、それほど部活動に明け暮れ、部活動に苦しんでいるわけでもなかろう。

 ただ、昨今は「ブラック部活動」などと言われ、教員の長時間勤務の一因とされるなど、部活動が悪者にされているので、国としても、それらしいことを何かしら言わなくてはならないということだろう。

 一昨日(日曜日)、京都で全国都道府県駅伝(女子)が行われ、今度の日曜日は広島で男子の大会が開かれる。両大会には、中学生区間というのがあるんだが、本気で中学生の部活動を抑制しようというなら、ああいうのは止めたほうがいい。
 両大会は、日本陸連主催、NHKほか共催、スポーツ庁後援となっている。
 スポーツ庁が率先して応援してるんだよ。ちょっと笑えるじゃないか。

 大きな大会や、注目される大会があるから、選手はみんな頑張るんであって、そういうのがなければ、ほどほどの練習しかしないに決まってるだろう。やれと言ったってやらないよ。世の中学生はそれほど努力家じゃない。
 ついでに、高校のスポーツ推薦などもやめればいい。調査書で部活動成績を得点化するな。要は、苦しい練習をしなきゃならない理由をどんどん失くしてしまえばいいんだ。

 でも、そこまではしない。別の機会に詳しく書こうと思うが、中学校や高校おける部活動は、さまざまな弊害もあるものの生徒指導上なくてはならない装置でもあるのだ。部活なんてやらなくていいんだ、勝っても負けてもいいんだという形で、部活動の価値を下げて行くと、これはこれで新たな問題を引き起こすのだ。

 というわけだから、練習時間や練習日数を少しセーブしましょうねぐらいが、ちょうどいいところなのである。

昌平ラグビー完敗。でも、いい負け方だ

 全国高校ラグビー。
 初出場の埼玉代表・昌平は、2回戦で昨年優勝校の東福岡に68対7の大差で敗れた。完敗である。コテンパンにやられた。
 だが、いい負け方である。

 中途半端に善戦したりすると、「あれ、オレたち結構いけるんじゃない?」と選手が勘違いする恐れがある。
 18年連続出場。この10年間に6回も優勝しているチームに、ぽっと出のチームが通用するわけないじゃないか。
 1トライ1ゴールの7点。もうちょっと何とかなったんじゃないかという思いもあるが、それが何とかならないのが全国の壁っていうやつなんだよ。技術もさることながら、体格・パワー・スピード、全部違う。
 だからコテンパンにやられた。だが、やられたことで昌平は「埼玉のお山の大将」から、「全国大会仕様」のチームに生まれ変わるキッカケを得た。だから、いい負け方なのである。

 私には経験がないので想像するだけだが、県大会を勝ち抜き全国に出るためのチーム作りと、全国に出て勝つためのチーム作りは、根本的に違うのだと思う。
 県大会を圧勝しても、チーム作りが「県大会仕様」である限り、全国では活躍できない。
 今夏の花咲徳栄の優勝も、甲子園に出るための野球から、甲子園で勝つための野球に転じた結果だろう。

 全国大会は出るだけでも大変で、価値あることだから、出るだけじゃダメだなんて思っていない。ただ、昌平の御代田監督はまったく知らない仲というわけでもないので、ついつい期待が大きくなってしまうのである。

部員が多い学校ほど強い(サッカー部員数調査)

 昨日、高校サッカーの埼玉県予選決勝を見ていて思った。
 「強い学校は、部員も大勢いるな」

 では、早速データを収集してみよう。
 気になったことは調べてみる。これは性分だな。

 埼玉県高等学校体育連盟が発行する「高体連」という冊子がある(非売品)。これの平成28年度版で各校の部員数を調べてみた。28年度版だから去年の数字ということになるが、だいたいの規模感は分かるだろう。
 
 次に、今年度の大会結果を調べてみた。(夏)はインターハイ予選、(冬)は、昨日決勝戦が行われた全国選手権埼玉大会である。
 
1位 浦和東 227人 (夏)ベスト8(冬)ベスト4
2位 西武台 185人 (夏)ベスト4(冬)ベスト8
3位 昌平  184人 (夏)優勝(冬)優勝
4位 武南  174人 (夏)ベスト8(冬)ベスト4
5位 埼玉栄 171人 (夏)ベスト8(冬)ベスト8
6位 大宮東 168人
7位 埼玉平成153人
8位 正智深谷148人 (夏)ベスト8(冬)ベスト8
9位 浦和南 143人
10位 浦和西 136人 (夏)準優勝 (冬)準優勝
11位 浦和学院132人 (夏)ベスト4 (冬)ベスト8
12位 南稜  131人
13位 熊谷  128人
14位 大宮南 124人
15位 市立浦和122人
16位 伊奈学園122人
17位 武蔵越生121人
18位 越谷西 118人
19位 東京成徳大深谷118人
20位 川口北 110人

 部員数が去年の数字で、大会結果が今年のものという点が気に入らないが、かなりきれいに結果が出た。
 昨日の決勝戦に出た両校は、やはり大所帯だった。
 そこで結論。
 「ベスト8以上に進出する学校は、すべて部員数の多い学校である」

 それにしても、どこも多過ぎじゃないかと思ったが、全国選手権(本大会)の大会要項を見たら、登録30人まで、ベンチ入り20人とあった。
 そうすると、各学年30人前後、3学年合計で100人を超える学校があったとしても、それほど極端な数字とは言えないかもしれない。

 部員が多いから強い。いや、強いから部員が集まってくるのだ。
 いろいろ考え方があろうが、やっぱり「数は力」というのは本当みたいだ。


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梅野弘之

Author:梅野弘之
受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

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