どうする学校選択問題対策(英語編)

 正答率が3%とか5%という問題。つまり100人中3人とか5人しか出来ない問題ばかり出したら、これは入試問題としてちょっとまずいんじゃないかという話になる。
 もちろん、そんな問題がいくつかあるのは構わないが、あまり多過ぎるのは考えものだ。

 このことは、逆に正答率が95%とか97%という問題にも言えることで、ほとんど全員が出来るような問題ばかりでは、入試問題としてはどうなのかとなる。

 1   95.0%
 2   98.4%
 3   96.3%
 4   94.2%
 5   94.2%
 6(1) 95.8%
 6(2) 97.7%
 6(3) 86.9%
 7(1) 97.6%
 7(2) 79.0%
 7(3) 95.5%
 
 以上は、29年度埼玉県公立入試「学校選択問題・英語」の大問1の正答率だ。大問1は放送を聞いて答える問題、いわゆるリスニング問題だ。
 11問中、95%以上が7問、90%以上が2問、あとは70%台と80%台が各1問。
 配点は28点だが、ここでは満点が続出したと思われる。

 大問1は、「学力検査問題」と共通で、さすがにこちらでは正答率50%以下が3問、90%以上がゼロとなっているが、平均すれば65%程度の正答率である。まあ、このレベルの問題を、上位生に受けさせれば、前記のような結果になるのは当然だろう。
 
 「学校選択問題」の大問1リスニングでは、まったく差がつかなかったと言っていいだろう。
 まったく差がつかない問題は、理解度を確認するためのテストならいいが、選抜を目的とする入試問題としてはふさわしくないというのは、いつも言っている通りだ。

 これからの英語教育においては、従来の「読む・書く」に加え、「聞く・話す」がより一層重視されるので、そういう流れの中で、リスニングにある程度多くの配点が割り当てられるのはいいのだが、もう少し難易度を上げて行かないと、入試問題としては機能しないのではないか。
 読むスピードを上げるとか、質問を英語でするとか、いろいろな方法があると思うので、研究をしてもらいたいと思う。

どうする学校選択問題対策(数学編)

 当社発行の「埼玉県公私立高校進学ガイド2018」がようやく校了となった。
 (「校了」とは出版・印刷業界の用語で、校正が終了し、印刷工程に入れる状態になったことを言う)

 一番早く店頭に並ぶのは、7月22日(土)・23日(日)「彩の国進学フェア」会場内における須原屋書店特設売り場だ。
 というか、毎年ここに間に合わせるように制作している。

 受験生の関心が高いということで、今年度版では、例の学校選択問題対応について書いた。
 受験生向け新聞の「よみうり進学メディア」や「埼玉新聞受験特集」でも、学校選択問題についての記事が欲しいと言われるし、中学校などからの講演でも学校選択問題について聞きたいというオーダーがある。

 これについては、本ブログでもおいおい触れて行くつもりだが、たとえば数学の場合で説明しよう。
 「難しかった」と評判の学校選択問題(数学)だが、それはまず平均点の低さ(43.2点)に現れている。
 また、通過率が10%以下である問題が、5問あったことにも示されている。
 ちなみに、学校選択問題(数学)で、通過率が10%以下であったのは次の問題だ。
 大問1(7)② 3.5%
 大問1(8)② 2.9%
 大問3(3)  2.1%
 大問4(2)① 7.1%
 大問4(2)② 2.2%
 来年度(30年度)も難易度が同じくらいと仮定すれば、配点で34点を占めるこれらの問題を克服することが、学校選択問題対策ということになるだろう。

 しかし私は、もう一つ手前の段階における学校選択問題対策を提唱している。
 まず次の問題の通過率を見てもらおう。
 大問1(5)  82.0%
 大問1(6)  32.6%
 大問1(7)① 90.2%
 大問2(1)  70.9%
 大問2(2)  61.0%
 大問2(3)  22.5%
 大問2(4)  39.5%
 以上の問題は、易しい方の学力検査問題との共通問題である。配点にして32点分だ。
 よく出来ている問題もあれば、20%台、30%台の問題もある。仮にこれらを全問正解すれば32点だから、平均点の43.2点にかなり近づくわけである。と言うことは、思うように点数が伸ばせなかった人は、ここでの失点が響いている可能性が高いということだ。

 よって私の結論は、一足飛びに学校選択問題に行かないで、まず学力検査問題レベルを完ぺきにし、次いで28年度までの過去問レベルを完ぺきにし、おそらくここまでで軽く平均点をオーバーするはずだから、その後に、いわゆる学校選択問題対策に入って行くというものだ。
 
 易しい問題から確実に得点にして行くというのは受験対策のセオリーである。

理科の平均点はやや上昇か

 埼玉県公立入試において、理科の平均点が安定しないことは昨年同時期のブログでも書いた。
 ×24年度48.7点
 〇25年度63.4点
 ×26年度46.1点
 △27年度50.3点
 ×28年度39.2点
  29年度?
 およそ10点~15点の幅で上がったり下がったりを繰り返している。28年度は40点を切るというかつてない低い点数だったので、29年度は上がるというのが事前の予想であった。
(年度の前の記号は、私が勝手につけたもので、〇よくできた、△まずまず、×できなかった)

◆小問数の平均点への影響
 ×24年度 32問
 〇25年度 34問
 ×26年度 33問
 △27年度 30問
 ×28年度 34問
 25年度と28年度が共に34問だが、25年度の平均点が63.4点、28年度が39.2点というところを見ると、あまり影響はないように思われる。

◆記号選択と記述の割合の平均点への影響
 ×24年度 記号選択28.1% 記述71.9%
 〇25年度 記号選択35.3% 記述64.7%
 ×26年度 記号選択27.3% 記述72.7%
 △27年度 記号選択23.3% 記述76.7%
 ×28年度 記号選択38.2% 記述61.8%
 29年度 記号選択44.1% 記述55.9%
 記述の割合が高いと平均点は下がるという傾向はある程度確認できるが、28年度のように記述の割合が特に高くなくても平均点が低い場合もある。
 29年度は記号選択の割合が高かったので、これは平均点を上げる方に作用しそうだ。

◆単語・文章・作図の問題数の平均点への影響
 ×24年度 単語14 文章5 作図4
 〇25年度 単語16 文章5 作図1
 ×26年度 単語12 文章11 作図1
 △27年度 単語15 文章6 作図2
 ×28年度 単語13 文章7 作図1
 29年度 単語9 文章8 作図1
 文章で答える問題(いわゆる論述問題)の多かった26年度と、比較的多かった28年度の平均点が低いところを見ると、論述問題の数は平均点に影響しそうだ。26年度と同様に平均点が低かった24年度は、論述は5問と多くないが、作図4問が影響していると思われる。
 29年度は、カウントの仕方にもよるが、文章で答える問題(いわゆる論述問題)の数は前年と同じか、やや増えている。したがって、これは平均点を下げる方に作用する。

 出題分野・単元のことはさておき、問題数・小問数・記述の割合など形式面から分析すると、平均点を上げる要素もあれば、その逆の要素もあるということで、まとめて言えば、前年並みの平均点が予想される。
 ただ、試験時間が10分延びて、論述問題などで部分点が取りやすくなったことを勘案すれば、前年よりやや上がるという予測ができる。

「難し過ぎ」を解消したが、別の「難し過ぎ」が発生

 埼玉県公立入試において、「学校選択問題」が導入されることになった経緯をいま一度振り返ってみる。

 私の理解と記憶に間違いがないとすれば、数年前、県議会において、「数学の問題が難し過ぎるのではないか」という質疑がなされたことに端を発する。
 たしかに正答率0.2%とか0.3%という問題は、ほとんど誰もできないと言っていいわけで、難しいからどうこうという以前に、入試問題として機能していない。同じ理由で、全員が正答の問題も機能していない。

 7~8割の子ができる問題、半分の子ができる問題、3~4割の子ができる問題。そういうのが適度に混ざり合えば、まあ入試問題としては機能するし、適切なわけである。もちろん、中学校の学習内容の範囲で、である。

 数学は、できる子とできない子の間に大きな差がつきやすい教科である。したがって、0点から10点が続出する高校があれば、一方で90~100点が続出する高校もある。他の教科ではあまりそういったことは起らない。

 そこで、0点~10点という子が、何とか50点、せめて20点~30点ぐらいは取れるようにしてやろうとすると、相当に問題を易しくしなければならない。下手をすれば小学校の算数になってしまう。
だがそうなると、上位校においては、数学が得意な子はもとより、まあまあ得意な子でさえ100点を取れるようになり、入試問題として機能しなくなる。

 ということで、今回の「学校選択問題」導入である。
 ところが、皮肉なことに、「難し過ぎる」に端を発した改革が、別の意味で「難し過ぎる」結果を招いてしまった。

 改革初年度には、さまざまな障害や不都合が起こるものである。なにせ、問題を出す方も初めてなら、受ける方も初めてなのだから。
 しかし、それにしても、もう少し事前の情報が欲しかった。
 たしかに昨年3月には県教委からサンプル問題が示されてはいるが、たったこれだけで、中学校や塾の先生も、受験生も、対策を練らなければならなかったのだ。公開模試を実施していた私も。

 もし来年度もこの方式を継続するのであれば、県教委には、出題方針や出題のねらいについて詳細な情報提供をお願したい。例年、ホームページ等で「問題分析」や中学生向けの「問題解説」が発表されているが、それも出来るだけ早い時期にお願いしたい。

英語は易しめだったのではないか

 埼玉県公立高校入試問題。
 「学校選択問題」と「一般的な問題(標準的な問題)」との難易度の差について調べてみた。

 事前に示されたサンプル問題の調査から、少なくとも6割程度は共通の問題になると予想された。
 では、実際はどうだったか。

 英語。
 大問1のリスニング問題(28点)は共通。大問2の会話文の読解(30点)も共通。合わせて58点分が共通の問題で構成されていた。
 
 数学。
 「学校選択問題」大問1の(5)(6)(7)、大問2の(1)~(4)、大問4(1)が、「一般的な問題(標準的な問題)」と共通。これで37点分。
 さらに、大問1の(4)をはじめ4問が部分的に共通。これで21点分。合わせて58点分が共通の問題で構成されていた。

 つまり、英語、数学とも、約6割(58点分)は共通の問題だった。

 ただし、英語の場合、長文問題において「一般的な問題(標準的な問題)」の方が若干「語注」の数が多いという点を除けば、完全一致と言えるが、数学の場合、完全一致は37点分しかない。残りの21点分は、「学校選択問題」の方が設問の難易度が高い。

 まとめると、「学校選択問題」と「一般的な問題(標準的な問題)」との難易度の差は、数学では大きく、英語では小さかったということになる。
 「学校選択問題」の平均点は、数学は低めに、英語は高めになるだろう。

 ※追伸
 英語長文問題の問題文の長さ(語数)を調べたのに、その話をするのを忘れていた。
 「学校選択問題」の会話文は639語。サンプル問題では630語だったから、ほぼ一致。
 長文読解は738語。サンプル問題では641語。こちらは少し長めになっていた。