埼玉私立中学校入試の結果まとめ

 ここ数日、学校の先生向けの説教が続いたので、今日は塾の先生向けにデータを提供してこう。
 私立中学校入試についてである。
(なので、関係者以外はスルーということで)
 
 現在、埼玉県には私立中学校が30校ある(来年、31校目の細田学園が開校)。
 総募集人員3,578人に対し、入学予定者は3,089人であるから、全体として500人ほど不足しているという状態だ。
 都内や県外への流出を減らすと共に、新たな需要を掘り起こすことに成功すれば、この500人のギャップは埋められるだろう。

●募集人員を満たした学校 ※数字は定員充足率(=入学予定者/募集人員)
浦和明の星女子 110%
大宮開成 120.8%
開智 146.3%
埼玉栄 124.2%
栄東 122.5%
自由の森学園 101.3%
淑徳与野 119.0%
昌平 116.3%
独協埼玉 110%
星野学園 106.9%
立教新座 106.5%
以上11校(50音順)。
 大宮開成、自由の森学園、独協埼玉、星野学園が新たに加わった。それ以外の7校は昨年と同じ顔触れである。
 募集人員県内最多は開智・栄東の240人、最少は東京成徳大深谷・東京農大三付属の70人であるが、定員充足率100%を超えている学校は、浦和明の星女子(160人)、大宮開成(120人)、埼玉栄(120人)、淑徳与野(105人)、独協埼玉(160人)、星野学園(160人)、立教新座(200人)と、ほとんどが3桁(100人以上)を募集している学校で、2桁募集は昌平(80人)、自由の森学園(78人)の2校である。

●募集人員の50%以上を満たした学校
開智未来 95.8%
本庄東付属 93.3%
浦和ルーテル学院 89.3%
大妻嵐山 86.3%
春日部共栄 70.0%
城北埼玉 69.4%
東京農大三付属 61.4%
聖望学園 58.8%
浦和実業学園 57.5%
城西川越 56.8%
秀明 56.3%
本庄第一 56.3%
狭山ヶ丘付属 55.0%
西武学園文理 50.0%
西武台新座 50.0%
以上15校(定員充足率順)
 3桁募集は、開智未来(120人)、本庄東付属(120人)、春日部共栄(160人)、城北埼玉(160人)、浦和実業学園(120人)、西武学園文理(210人)の6校である。経営上の問題を別とすれば、浦和実業学園を除く5校の実入学者数は100人を超えており、教育活動上の問題はほとんどないと思われる。

 念のため、上記15校を実入学者数順に並べ替えると次のようになる。
開智未来 115人
春日部共栄 112人
本庄東付属 112人
城北埼玉 111人
西武学園文理 105人
浦和実業学園 69人
大妻嵐山 69人
浦和ルーテル学院 67人
城西川越 54人
聖望学園 47人
秀明 45人
本庄第一 45人
狭山ヶ丘付属 44人
東京農大三付属 43人
西武台新座 40人

●募集人員の50%を満たせなかった学校
東京成徳大深谷 20.0%(70人募集で14人)
埼玉平成12.0%(75人募集で9人)
国際学院 11.3%(80人募集で9人)
武南 8.8%(80人募集で7人)
 各校とも、高校募集においては定員を上回る入学者を確保できているので、学園全体としての経営上の問題はクリアできるかもしれないが、いくら少人数教育のメリットを謳ったとしても、部活動や学校行事が成立しない可能性があり、一部教科においては少なすぎる弊害も現れるなど教育上の問題が出てきそうだ。来年度以降の奮起を期待したい。

※データは、3月19日現在、埼玉県私立中学高等学校協会資料による。

今日から中学入試、埼玉県内私立

 例年1月10日は埼玉県内私立中学校の入試解禁日である。
 現在、県内には私立中学校が30校あるが、ほとんどの学校がこの日入試を行う。首都圏では一番早い日程で行われるため、県外生が腕試しや、本番の予行演習として受験するケースも多い。

 今朝は早起きして(と言っても午前5時半だけど)、春日部共栄中学校の入試を見てきた。第1回目となる今日は、午前入試と午後入試がある。両方受ける受験生もいるが、午前は他校を受け、午後から春日部共栄、逆に午前は春日部共栄、午後から他校という受験生もいる。連戦は疲れるだろうね。

 午前入試の結果は、今日の19時、午後入試の結果は22時にインターネットで発表される。高校入試に比べ受験者数が少ないとはいえ、すぐに採点して選抜して発表というのは、大した早業だ。

 出願は当日でもオーケーというのも中学入試ならではだ。中学入試は調査書など関係なく、基本、学力検査一発勝負だから、こんなことも可能になる。

 以上、塾の先生や私立の先生にとっては常識中の常識だが、春日部共栄に限らず、県内私立の多くは、このような入試を行っているのである。

 受験機会を増やせば(入試回数を増やせば)、各校とも見た目の受験生は増えるわけだが、同じ受験生が複数校を受け回っているだけなので、肝心な入学者は増えない。
 ここが、埼玉県内私立中学校の大きな課題であり、新たな市場の掘り起こしが急務なのである。


※お知らせ
 本日(平成30年1月10日)、埼玉新聞に「高校入試対策特集」が4ページにわたって掲載されました(9面~12面)。特集部分は別刷りの形で県内全公立中学校3年生に無料配布されます。

 埼玉新聞(平成30年1月10日)01
 埼玉新聞(平成30年1月10日)04

埼玉初の中等教育学校は「大宮国際」に

 さいたま市に中等教育学校ができる(平成31年4月開校)。
 さいたま市には、市立浦和、浦和南、大宮北、大宮西と4校の市立高校があったが、このうち大宮西高校を閉校にして、新たに中等教育学校を作る。

 昨日の埼玉新聞に、名称が「大宮国際中等教育学校」になると出ていた。国際バカロレアの認定校を目指すとも。

 東京には小石川など5つの都立中等教育学校と千代田区立九段、合わせて6校ある。
 埼玉では公私含め初の中等教育学校である。

 中等教育学校の「中等」が分かりにくいが、わが国では、小学校を「初等教育」、中学・高校を「中等教育」、大学を「高等教育」と位置付けている。
 よって、中等教育学校は、中学校と高校を併せた学校ということになる。

 なんだ、中高一貫と変わらないじゃないか。
 そう、ほとんど変わらない。
 
 ただ、中高一貫校の場合、高校入学時に外部からの生徒を新たに受け入れることが多いが、中等教育学校は6年制の学校であり、高校入試というのは無い。私立の中に「完全中高一貫」と呼ばれ、高校入試を行わない学校があるが、それと同じような形だ。

 中等教育学校は、文部科学省が推進している新しいスタイルの学校なので、公立が多い。現在、全国で30数校の国公立中等教育学校があるが、私立はその半分くらいだ。私立の多くは、すでに中高一貫を実施しており、今さら中等教育学校になる積極的な理由がないということだろう。

 新しくできる大宮国際中等教育学校の入試はどうなるかだが、規則で学力検査は実施できないので、「適性検査」という名の事実上の学力検査と、面接その他の組み合わせになるだろう。
 同じさいたま市内の中高一貫校「市立浦和」が「適性検査」を実施しているので、それを踏襲するのが自然な流れだ。
 県立の中高一貫校である伊奈学園中学校は、「適性検査」を行わず「作文」中心の選考なので、私立中受験者の併願先にはならないが、事実上の学力検査を行うということなら、市立浦和がそうであるように、私立中受験者の併願校になる可能性はある。

 以上、埼玉県内初の中等教育学校についての話であった。

募集で苦戦続く県内私立中学校

 本日は塾の先生方及び私立学校関係者向け情報である。

 まず県内私立中学校の募集状況である。
 下のグラフから分かるように、中学校数の増加にともなって総募集定員が増えている一方、入学者数の増加がそれに追いついていないため、定員を満たせない学校が続出している。
 ※数値は平成29年2月末のデータを使用しているので、その後、変化している可能性がある。浦和ルーテル学院・自由の森学園についてはデータが収集できていない。

 埼玉県私立中学校:定員と入学者推移グラフ


 定員を満たしているのは30校中7校である。
 この状況は、ここ数年変わっていない。

 29年度入試のデータを見てみよう。
1.入学者が定員(学則定員)を上回った中学校
浦和明の星女子
開智
栄東
埼玉栄
淑徳与野
昌平
立教新座 
※50音順

 7校の顔ぶれは、独協埼玉と昌平が入れ替わった以外は前年と同じ。
 昌平は開校8年目で初めて定員を上回った。埼玉栄は、これまでも定員は確保してきたが、今年は120人募集のところ182人と大ブレイクした。

2.入学者が定員の90%以上であった中学校
独協埼玉(98.13%)
本庄東附属(94.17%)
春日部共栄(93.13%)
大宮開成(91.67%)
星野学園(90.00%)
※定員充足率順(入学者÷学則定員)

 実際のところは、定員プラス10%程度を見込んだ募集活動を行ったと推測されるが、定員割れとは言っても、許容できる範囲ではないか。想定している教育活動に大きな支障はないと思われる。

3.入学者が定員の50%以上であった中学校
東京農大三(80.00%)
城北埼玉(73.75%)
本庄第一(66.25%)
西武文理(60.48%)
聖望学園(58.75%)
狭山ヶ丘附属(58.75%)
大妻嵐山(52.50%)
城西川越(50.63%)
※定員充足率順
 
 東京農大三は定員を90人から70人に減じたが届かなかった。城北埼玉は24年度までは定員を上回っていたが、その後減少が続いている。ただ、160人定員で118人入学であるから教育活動そのものへの影響は少なそうだ。西武文理も210人定員で127人であるから同様のことが言えそうだ。本庄第一はまだ2年目であるが、前年の35人から53人と大幅に増えており、定員の80人までもう一息だ。聖望学園はここ3年間やや低迷している。狭山ヶ丘は開校5年目。前年までは80人定員で80%~90%を確保していたが、今年は47人と大幅にダウンした。大妻嵐山は、かつては3ケタの入学者を確保していたが、前々年23人、前年31人と低迷。今年は42人まで回復した。城西川越もかつては3ケタを数えていたが、その後低迷。ただ、前々年61人、前年73人、今年81人と復調の兆しは見える。

4.入学者が定員の50%以下であった中学校
開智未来(45.00%)
浦和実業(42.50%)
西武台新座(37.50%)
秀明(31.25%)
武南(30.00%)
東京成徳大深谷(12.86%)
国際学院(8.75%)
埼玉平成(6.67%)
※定員充足率順

 大学進学ではめざましい成果をあげている開智未来だが、募集では苦戦している。ただし、160人定員で72人入学だから、教育活動自体への影響は最小限にとどまりそうだ。浦和実業は、開校当初は勢いがあったが、この4年間は50人前後と低迷している。開校6年目となる西武台新座は、なかなか50%の壁を超えられない。定員160人の秀明は、今年50人でピーク時の3分の1以下にまで減少している。開校5年目の武南は、ここ3年間20人台で推移している。東京成徳大深谷・国際学院・埼玉平成の3校は、入学者1ケタといずれも過去最低を記録してしまった。学校経営上の問題もさることながら、教育面、とりわけ部活動や学校行事には大きな影響を与えそうだ。

 全体として見れば、開校10年未満の新しい学校が募集で苦戦している。前述したとおり、10年未満で定員を満たしているのは昌平のみである。進学実績が急上昇し、部活動での躍進もめざましい昌平でさえ8年かかっていることを考えれば、新興勢力が既設の学校と戦うことがいかに難しいかが分かるだろう。
 高校入試とは異なり、競争相手は埼玉県内だけにとどまらないという中学入試特有の情況も募集を難しくさせている。

 私の立場としては、特定の学校が定員を満たし募集に成功していればそれでよしというわけにはいかず、すべての学校が募集に成功して欲しいのである。
 そのためには市場の拡大を図らなければならない。既存の受験者を奪い合うだけでは、どこかが増えれば、どこかがそのあおりを食らうことになる。
 市場そのものを拡大すれば、そうしたことは、なくなりはしないが減ってくる。

 中高一貫教育の良さや、私立学校の良さを、もっと知らしめなければならない。

埼玉県内私立中学校入試が始まった

 今日は埼玉県内私立中学校の入試解禁日である。
 入試解禁日は、業界用語だ。
 各県の私学協会が、入試を行ってもいい最初の日を申し合わせていて、これを塾業界などが解禁日と呼んでいる。

 これがないと、どこの学校も少しでも早く生徒を確保したいと思うから、入試日が年内、秋、夏と、どんどん早まる可能性がある。

 東京と神奈川は2月1日から。埼玉は1月10日から。
 この3週間の違いが、どういう現象をもたらすかというと、東京や神奈川の生徒が、本番に向けての予行演習として、大挙して埼玉の学校を受けに来る。「お試し受験」などとも言われる。

 というわけで、今日から始まった埼玉県内私立中学校の入試は、本気の受験生と、練習に来ている受験生が入り混じって受けているのである。

 私は、埼玉栄中学校の入試を見に行ったのだが、グループ校である栄東中学校の一部の入試は、ここが会場になっている。受験者が多すぎて、本校だけでは実施できないという事情もある。

 前を歩く親子連れの会話。
 子「お父さん、駅前に畑があるんだね」
 父「本当だ。見たことない景色だ」
 おいおい、どこから来たんだよ。埼玉じゃ当たり前の光景だぜ。
 こういう都会なんだか田舎なんだかよく分からない姿が、埼玉っぽくていいんだよ。6年通えば分かると思うよ。

 さあ、県内私立高校入試解禁日まであと12日だ。

 埼玉栄中学校入試(大宮駅)
 大宮駅・埼京線ホーム。一番空いている場所でもこんな感じ。

 埼玉栄中学校入試(西大宮駅)
 西大宮駅。改札を抜けるのも一苦労。

 埼玉栄中学校入試(激励) 
 正門付近。両サイドで受験生を迎えるのは、塾の先生たち。

 埼玉栄中学校入試(校長挨拶)
 保護者控室(食堂)で挨拶する校長先生。





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梅野弘之

Author:梅野弘之
受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

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