浦和一女における女子の特性を生かした教育

 浦和一女に行ってきた。私の事務所からもっとも近い学校である。
 「よみうり進学メディア11月号(進路指導特集)」の取材。今回は4校取材したが、すべての学校で校長先生に話を聞くことができた。

 女子校ならではの指導。
 いろいろ話を聞いて行くと、「こいつはどう見ても男子には向かんな」という指導法が次々と出てくる。

 たしかに自分の経験に照らしてみても、男子と女子では食いつく場面が違うし、学びのプロセスも異なる。
 歴史を教えていても、男子は対立や抗争、民族移動なんかには食いつきがいい。どんな武器を使ったかなんて話をしてやると身を乗り出してくる。地図も好きだ。女子はそういうのは興味なし。
 絵画などを見せてやると、女子は見るが男子はスルー。
 黒板にいっぱい書くと、男子には不評だが、女子には好評。

 スポーツの場面でも、男子は下手でも何でもとりあえずゲームやろうぜとなるが、女子は、きちんと技を練習したい。

 もちろん個人差はあるわけだが、男子と女子の差は確かにある。
 そこで、女子校においては、女子の特性を活かし、その能力を最大限に引き出す仕掛けを施せば、大きな成果を上げることが可能だということになる。

 近年、共学志向の女子が増え、女子校離れが深刻だと言われている。私立高校や大学の共学化も盛んだ。
 それが時代の流れなのかもしれないし、共学には共学の良さもある。だが、浦和一女のような学校を見ていると、やはり「女子校」というのも残しておく価値があると感じる。

 オマケ。
 私はほぼ毎日のように浦和一女生を見ている。早い生徒は朝7時から登校している。歩くスピードが速い。休日、部活に来るときも制服を着て来るのが決まりのようだ。鞄は自由のようでリュックサックが多い。夏場は日傘をさすのが流行している。駅前のパルコでは校章をはずしている生徒をときどき見かけるが制服でバレてる。

注目の「新・川口市立高校」はどんな学校?

 新・川口市立高校の取材に行ってきた。
 現在ある市立川口・市立川口総合・市立県陽の3校が統合され、来年4月「新・川口市立高校」がスタートする。

 校舎は、現川口総合高校の敷地内に建設中であるが、200億円近い巨費が投じられてのものだから、公立としては全国屈指のものになるだろう。完成した暁には日本全国の学校関係者が視察に訪れることになろう。

 既存の3校に学ぶ生徒たちは、2年生あるいは3年生からこの新校舎に移る。ちなみに在校生の制服は今まで通りということだから、既存3校と新校、合わせて4つの制服が混在することになる。

 募集(全日制)については次のとおり。
 理数科 1クラス 40人
 普通科 8クラス 320人
 普通科文理スポーツコース 3クラス 120人
 以上だが、普通科の中に、入学後の選抜による「特進クラス」(3クラス:120人)を設置予定である。

 理数科や特進クラス設置に見られるように、全体として「進学校路線」を目指すことは明白だ。
 文理スポーツコースを設置したのは、市立川口の陸上競技やボート、川口総合の陸上競技・ソフトテニス・卓球・柔道など、県陽の新体操など、既存の強豪部活の実績を引き継ぐ狙いがあるからだろう。

 今春入試(平成29年度入試)における既存3校の志願者数は次のとおりだ。
 市立川口 364人
 川口総合 256人
 県陽   190人
 合計   810人
 仮に同人数が、来るべき30年度入試で定員480人の新・川口市立高校を志願した場合、倍率は1.69倍となる。29年度入試の最高倍率は、市立浦和の1.70倍であるから、それと並ぶ高倍率となる。

 かつて県立高校の統合が盛んに行われた時期があったが、その場合、統合される一方、あるいは両方が募集困難(定員割れ)に陥ってのものだった。しかし、今回の3校は、いずれもそのような状況にはなく、むしろ地域の人気校であったわけだから、新・川口市立高校は初年度から高倍率になることが予想される。

 新・川口市立高校が「進学校路線」を取ろうとした場合、さしあたり蕨・川口北との競争になるのは明らかだ。蕨は国公立に80人前後、川口北は50人前後の合格者をコンスタントに出している県下有数の進学校だ。
 こうした現状を考えると、部活では既存3校のDNAを引き継ぐとしても、学習及び進学指導面では、これまでとはまったく異なるコンセプトを打ち出さないと、受験生・保護者や、中学校・塾の先生の理解は得られないだろう。

 入れ物(施設・設備)は申し分ない。日本一を誇ってもいいくらいだ。あとはスタッフ(指導陣)をどれだけ集められるだ。浦和、大宮をはじめとする県を代表する進学校から、今まさに全国を相手に戦っている先生方を招集できるかどうか。
 既存3校の先生方には大変失礼な言い方かもしれないが、初年度ロケットスタートを切るには、そういった新しい力の結集が必要である。

 おまけ。
 私は教員生活のほとんどを川口の学校(川口北高)で過ごした。そんなわけで、新・川口市立のみならず川口北・県立川口など川口と名の付く学校には頑張ってもらいたいと思っているのである。


むしろ可能性を広げる専門学科

 先週から今週にかけて専門学科の高校を3校訪ねた。
 私はかなり授業見学をするほうだと思っているが、専門学科の授業、特に実習授業には、普通科の授業とは違った面白さがある。

 とにかく生徒は真剣だ。居眠りしてる子なんて一人もいない。
 もっとも、居眠りなんかしたら危険な場面も多いから、するわけない。
 ただ単位をとるだけではダメで、資格を取ることを目標にしているから、その点でも真剣みが違う。

 専門学科を選ぶと、何となく進路が限定されるような気がする。
 それに比べ、普通科の方は、幅広い進路選択が可能という印象が強い。

 たしかにそれも誤りではないが、いろんな専門学科を見てくると、必ずしもそうではないんじゃないかと思えてくる。
 専門的な知識と技術を身につけ、多くの資格をとることによって、むしろ可能性がどんどん広がっているのではないか。

 多くの大人が社会に出てから、「考えてみたら、何の資格も技術もないな」、「履歴書の特技・資格欄に何にも書くことないや」と、あわてて、しかも高い金を払って、資格取得に走る。ユーキャン喜ぶ。

 だが専門学科卒は、社会人になる前にすでにいくつもの資格を取得している。資格取得のプロセスも知っている。
 これって立派な武器だろう。

 向き不向きってものがあるから「専門学科>普通科」と決めつけるつもりはないが、多少なりとも興味があったら、一度実地に見てみるべきだろう。そこに自分の世界があるかもしれない。

 以上、専門学科取材のまとめである。


農業系だが、デザインセンスが必要かも

 専門学科を訪ねるシリーズ。3日目(最終)。
 (詳細は「よみうり進学メディア6月号」に掲載予定)

 今日の訪問校は鳩ヶ谷高校(川口市)だ。
 普通科と情報処理科、園芸デザイン科という組み合わせだが、今回のメインは園芸デザイン科。
 
 川口という都市部の学校で、なぜ園芸デザイン科なのかと思われる方も多いと思うが、近くの安行(あんぎょう)は、全国的にも有名な植木の町で、花・植木の生産農家(会社)や造園会社がたくさんある。
 だから、このあたりに園芸デザイン科を持つ学校があっても不思議はない。特に、私などは川口の学校に勤務していたので、まったく違和感がない。

 2年次以降は、「フラワーデザイン」、「グリーンデザイン」、「ガーデンデザイン」といった専攻ごとに分かれ、知識や技術を深化させて行く。もちろん、専門学科であるから、それぞれ国家資格の取得を目指す。
 一度では覚えられないと思うが、一応紹介しておくと、フラワー装飾技能検定、園芸装飾技能検定、造園技能検定などが、かれらの目指す資格だ。

 卒業後の進路は、専門学校や就職が主流だが、千葉大(園芸学部)、東京農大など大学に進む者もいる。

 生徒数は1学年1クラス(40人)と少なく、それがさらに3つの専攻に分かれるので、専門科目はどれも、うらやましいほどの少人数授業だ。これなら落ちこぼれる子もいないだろう。
 農業に関する知識や技術は、入学後に自然に身につきそうだが、学科名にデザインとあるだけに、ある程度美術的なセンスがあったほうがいいかもしれない。

 バリバリの農業女子を育てるというふうではなく、それがまたいいところなのだろう。圧倒的に女子に人気の学科である。

 鳩ヶ谷高校 造園実習
 造園実習

 鳩ヶ谷高校 石庭
 校内に石庭

 鳩ヶ谷高校 写真部
 ここの写真部は全国レベル

 鳩ヶ谷高校 コサージュ制作
 コサージュ制作

 鳩ヶ谷高校 コサージュ出来上がり
 出来上がりをもらってきた。買ったら数千円かな。





匠の技を盗め、進修館高校を訪ねて

 専門学科を訪ねるシリーズ。2日目。
 (詳細は「よみうり進学メディア6月号」に掲載予定)

 今日の訪問校は創立122年の進修館高校(行田市)だ。
(訂正:創立102年の誤りでした。でも、古いことにはかわりない。5月11日訂正)

 アポが8時50分という早い時間だったので7時出発。
 外環道、東北自動車を使い、8時30分に到着。

 ちょうど生徒の登校時間とぶつかるなと思ってたが、誰一人見かけない。
 あとで聞いたら、遅刻する生徒がほとんどいないということだ。
 校長先生は、「皆勤賞が大勢いる」と胸を張っていた。

 進修館高校は、行田市内の3高校が合併してできた学校で、普通科、総合学科、工業系専門学科からなる複合型の学校だ。この組み合わせ、他では見られない。
 冒頭、創立122年と書いたが、3高校の前身の一つである行田女子の創立から数えて122年ということだ。(122年ではなく102年の誤りです)

 今日のメインは、工業系の専門学科である「電気システム科」、「情報メディア科」、「ものづくり科」の取材だ。
 実習授業を一通り見学させてもらったが、学校が広いので移動が大変。
 道路をはさんで隣り合っていた学校が一緒になったので、校舎も体育館もグランドも全部2セットあるが、生徒は1学年320人なので、教室にもかなり余裕がある。

 実習授業を見ていると、先生と生徒の関係が、「師匠と弟子」の関係のように見えてくる。
 学びの目的は、知識の習得と同時に、技の習得であるから、先生は実際にやってみせなくてはならない。そのため、先生方は日々研鑽を重ね、技術の向上に努めている。つまり、「現役の匠(たくみ)」なのである。

 弟子たる生徒は、その匠の技を自分のものにしようと、一挙手一投足に目を凝らし、一言一句を聞き逃すまいとする。
 この関係性、この雰囲気、工業系専門学科に特有なものではないか。

 これまでも数多く工業系専門学科を見てきたが、今日もまたいい勉強になった。疲れたけど。

進修館01
 東西の校舎を結ぶ通路。眼下には公道が走っている。

 進修館03
 手先の器用さが求められるかもしらんな。

 進修館04
 先生の「匠の技」を目に焼き付ける。

 進修館05
 工業女子。オレンジの作業着は上級者だけが着られるらしい。

 進修館06
 「お仕事中、失礼します」と言いそうになる。
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梅野弘之

Author:梅野弘之
受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

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