FC2ブログ

新聞を読むと学力が高くなる、ってホントにそうか

 全国学力・学習状況調査の結果を受けて、新聞各紙が次のような報道をしている。
 「新聞を読む子は、正答率が高い

 新聞離れが進む今日、気持ちは分かるが、これは読者に誤解を与えそうな記事だ。

 実際の数字を見てみよう。

 20100807新聞と小学生
 20180807新聞と中学生

 たしかに、新聞を毎日読む児童生徒の平均正答率は高い。
 だがこれは、「新聞を読む」(原因)と「学力が高い」(結果)の因果関係を証明するものではない。
 つまり、新聞を読んでも、学力が高くなるかどうかは分からない。

 いやしかし、両者に相関関係はあるんじゃないか?
 これも簡単には言えない。
 「学力が高い」に関する様々な要因について検証し、その結果、「新聞を読む」との間にだけこのような関係が成立していれば、相関関係がある(高い)と言っていい。
 だが、たとえば、下図のような関係なのかもしれない。

 20180807学力と新聞 図

 各紙とも、数字を示すことで因果関係や相関関係をにおわせているが、新聞を読むと学力が高くなると断定しているわけではないので、決してフェイクニュース(うそのニュース)というわけではない。
 が、「じゃあ子供に新聞を読ませようかな」と読み取ってくれたらいいなという強い願望が現れた記事だ。


 3年前(2015年)に刊行された『「学力」の経済学』(中室牧子)という本がある。お読みになった方も多いと思うが、さまざまな教育問題を経済学などで用いられているデータ分析を用いて解いて行こうというものだ。たとえば、「子供をご褒美で釣っていいのか」というような問題を、「私の経験では…」ではなく、科学的根拠(エビデンス)をもとに論じる。そういう本だ。上の相関関係を示す図も同書の一部を参考にさせてもらった。

 

 こういうベストセラー本が出ると、類似本や反論本が出るのが出版界の常で、こんな本もある。こちらはKindle版(パソコンやスマホで読むやつ)でお安くなっています。

 

 

全国学テ、大阪市の成績の悪さを「さいたま市民」として考えた

 大阪市・吉村洋文市長は今年度の全国学力検査の結果を受けて、次のように発言した。

 「今年度の結果は、 政令指定都市の中で昨年度同様最下位であり、非常に残念である
 「公教育の成果を測る指標として、 全国学力テストを活用しているのであるから、この結果の重大性を教育委員会だけでなく、各学校長や教職員にも認識してもらいたい」
 「来年度に向けては、地道な取組み継続するとして、制度面を大胆に変えて、現場の意識改革を図る必要があると考えている」
 「『結果』に対して『責任』を負う制度に転換しなければならない」
 
 このように述べ、さらに3つの具体策を示した。
 「①全国学力テストの目標の達成・未達成を業績評価などに反映、②1つの教育委員会を4つのエリアにブロック化、③8つ程度の特別な中学校(中高一貫教育校)を創設する」
 
 吉村洋文・大阪市長、8月2日の会見をもっと詳しく

 発言内容をフリップ化したものがあるので、こちらが分かりやすい 

 
 学力テストの結果を賞与などに反映させるという点については、当然反発が予想されるわけだが、その前に大阪市の状況がどれだけ悪いかを見ておこう。 
 大阪市教育委員会のまとめがある。

 全国学力・学習状況調査「大阪市の結果概要」(平成30年8月1日)

 が、それよりも、政令都市20市との比較が分かりやすいと思い、中学3年生の結果をまとめてみた。
 平均正答率は小数点以下は発表されていない。
 
 ◆中学3年生の正答率比較
 20180805全国学テ政令市

 たしかに残念な結果である。
 別に順位競争をしているわけではないが、この結果を見て何とも感じないような市長じゃ困る。その点では、吉村市長、真っ当な反応だ。
 それはそうと、さいたま市はいいね。これは公立だけの結果だが、栄東・開智・大宮開成・淑徳与野といった私立勢も加えたら、さらに高くなる。大阪市が、結果がいい政令市の例をいくつか挙げているが、その一つがさいたま市だ。さいたま市に視察に来れば? もう来てるかもしれないけど。

 当ブログの主たる読者は学校や塾の先生と思われるが、先生だったら、「大阪市の先生が特別ぶったるんでる結果じゃない」ことは分かりますよね。
 地域性とか家庭の問題とか、いろんな要素がからまっての結果だから、学校の先生さえ頑張れば解決するという単純な問題ではないのですよ。

 私はこの「全国学力・学習状況調査」では、「学習状況」の方に注目していて、「生徒質問紙」と「学校質問紙」の回答・集計結果をよく見ている。

 大阪市が全国と比べ、低い数値である質問項目(中学生)を調べてみた。

 Q「家で、自分の計画を立てて勉強していますか」
 ※数値は「している」と「どちらかというと、している」の合計 
 大阪 41.0% 全国 52.1%
 
 Q「家で、学校の授業の予習、復習をしていますか」
 大阪 40.9% 全国 55.2%

 大阪の中学生は家で勉強しない。
 これをどうするかだ。

 地域との関係も気にかかる。
 Q「今住んでいる地域の行事に参加していますか」
 大阪 29.0% 全国45.6%
 Q「地域社会などでボランティア活動に参加したことがありますか」
 大阪 61.1% 全国73.6%

 大阪の中学生は地域との関りが少ない。
 これも何とかしないと。

 もう一つ、就学支援について。
 就学支援を受けている生徒の割合を学校ごとに聞いたもの。
 20180805就学支援 表
 グラフ化すると、こんな感じ。
 20180805就学支援 グラフ

 就学支援を受けている生徒の割合が10%未満までであると答えた学校が、さいたま市だと51.0%、全国だと35.9%であるのに対し、大阪市は6.1%である。また、30%以上であると答えた学校が、さいたま市だと3.5%、全国だと10.2%であるのに対し、大阪市は32.8%である。
 大阪市は就学支援を受けている生徒の割合が多い。
 このあたりも問題がありそうだ。

 以上、ダラダラと書き連ねてきたが、学力テストの点数が上がらないのを、先生へのアメとムチ政策だけで解決しようというのは、無理があり過ぎじゃないかというのが、さいたま市民としての感想だ。

先生の思いは、なかなか生徒には伝わらんね

 平成30年度全国学力・学習状況調査(4月17日実施)の結果が7月31日、発表された。昨年(8月28日発表)より1か月早いのは、2学期からの指導に生かせるようにということだ。
 やれば出来るじゃないか文科省。
 上司は出会い系通いや接待など夜の仕事に忙しいが、やるやつはやってる。

 とにかくデータ盛りだくさんで、ネタの宝庫。当分困らないぞ。
 都道府県別正答率も気になるところだが、他でもさんざんやっているので、別のアプローチだ。
 
 先生の思いは、なかなか生徒に伝わらんね、という話。
 (以下、中学校調査のデータである)

 学校質問紙に次のような質問がある。
 (29)調査対象学年の生徒に対して、前年度までに、学校生活の中で、生徒一人一人のよい点や可能性を見付け評価する(褒めるなど)取組をどの程度行ったか。
 ①よく行った        55.5%
 ②どちらかというと、行った 42.2%
 ③あまり行っていない    2.2%
 ④全く行っていない     0.0%
 その他             0.1%
 学校側は①②合わせて97.7%が「褒める指導」を行ったと答えている。

 一方、生徒質問紙には次のような質問がある。
(2)先生は、あなたのよいところを認めてくれていると思う
 ①当てはまる 32.4%
 ②どちらかといえば、当てはまる 49.6%
 ③どちらかといえば、当てはまらない 13.7%
 ④当てはまらない 4.3%
 生徒側は①②合わせて82.0%が、「先生はよいところを認めてくれている」と答えている。

 先生:よい点を評価している 97.7%
 生徒:よい点を認めてもらっている 82.0%
 その差、約15%。なおかつ生徒の18.1%が認めてもらっていないと思っている。
 グラフにするとこんな感じになる。
 20180801全国学テ2
 20180801全国学テ1

 自分が考えるほど、相手には気持ちが伝わっていない。
 これは世の中どこにでもある話だ。
 親子関係でもそう。
 学校や塾における上司と部下の関係でもそう。

 先生の側に「思い」があることは分かったから、あとは伝える技術だ。 コミュニケーション力と言ってもいいかな。
 
 言葉で伝える。
 態度や行動で伝える。
 100%伝わることはないし、時には誤って伝わってしまうことだってあると思うが、引き続きいろいろな方法を試みてほしい。
 

全国学力テスト、入試によく出る宮下奈都作品が題材に

 昨日(4月18日)、全国学力・学習状況調査が行われた。対象は小6児童と中3生徒。

 よく「全国学力テスト」などと略され、「教科に関する調査」に注目が集まるが、併せて「質問紙調査」も行われているので、その結果も見ておきたい。

 たとえば、塾の先生方が興味を持たれると思われるこんな質問がある。
 質問(17)学習塾(家庭教師の先生に教わっている場合も含みます)で勉強していますか
 回答 ①学習塾に通っていない
     ②学校の勉強より進んだ内容や、難しい内容を勉強している
     ③学校の勉強でよく分からなかった内容を勉強している
     ④上記②③の両方の内容を勉強している
    ⑤上記②③の内容のどちらとも言えない。
 参考までに、28年度の調査では、①と回答した割合は32.5%、27年度では32.6%(都道府県別埼玉県のデータ)であった。
  調査結果の発表は年度によるが8月から9月になると思われる。


 中学生国語のB問題(活用)の中に、宮下奈都「スコーレNo.4」を題材とするものがあった。
 宮下奈都は2015年に「羊と鋼の森」で直木賞候補となり、翌2016年同作品で本屋大賞を受賞した人気作家である。
 高校入試でよく出る作家であり、「終わらない夏」、「よろこびの歌」なども過去に入試の題材として取り上げられている。平成23年度(2010年度)の東京都立入試では、「スコーレNo.4」が使われていた。
 国語の長文問題は事前に読んでおけば有利というものではないが、生徒から「何を読めばいいか」と尋ねられたとき、推薦していい作家の一人ではないか。

全国学力テスト(28年度)の結果が発表された

 平成28年度の全国学力調査(正確には「全国学力・学習状況調査」の結果が発表された。

 埼玉県の結果を見てみよう。(数値は平均正答率)
 ◆小学6年
  国語A 71.6%  全国 72.9%
  国語B 56.7%  全国 57.8%
  算数A 75.9%  全国 77.6%
  算数B 46.3%  全国 47.2%
 ◆中学3年
  国語A 74.9%  全国 75.6%
  国語B 65.6%  全国 66.5%
  数学A 60.3%  全国 62.2%
  数学B 43.2%  全国 44.1%
 以上のとおり、小学校・中学校ともに全教科で全国平均を下回った。2年連続である。特に、算数A・数学Bにおいて全国平均との開きが大きかった。

 さまざまな批判がある全国学力テストである。指摘されている欠点については賛同できる点も少なくない。
 しかしその上で、文教政策立案の根拠として、こうした調査は必要であると考える。

 およそあらゆるテストには出題傾向というものがある。
 ましてこのようなテストでは、経年変化を見るために、毎年、レベルや内容をそろえなえればならない。
 とすれば、対策をとることは、そんなに難しいことではない。
 また、テストというものはもともと準備をして臨むものであるから、先生方が、ある程度対策を取ろうとするのは止められないのではないか。

 よく耳にする言葉に「過度な競争」というのがあるが、これは「競争」それ自体を否定しているのではなく、「過度な」ものになってはならないということだ。
 どこまでが「適度」で、どこからが「過度」なのか。その線引きは難しいが、隣の学校に負けないようにとか、隣の市町村に負けないようにと努力するのは、それほど悪いことではない。

 まだ十分時間が取れなくて、学習状況調査の結果までは見ていないが、私としては毎年、こちらの方が参考になる。いずれ報告しようと思う。

 参考までに都道府県別結果である。
 教科ごとの順位をから、平均順位を求め、高い順に並べたものだ。
 (画像が荒くて見にくいと思うが、だいたいでいいだろう)
 平成28年度全国学力テスト・中学生・都道府県別順位

プロフィール

梅野弘之

Author:梅野弘之
受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
当ブログを訪問された方
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード