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さすが進学校・越谷北の授業は全員予習済み

20180925越谷北英語授業

  県立越谷北高校で英語の授業を見てきた。

 「よみうり進学メディア」の取材なのだが、理数科があってSSH指定校の越谷北のことだから、てっきり数学か理科を推薦してくると思いきや、意表を突いて英語で来た。
 そうか。尾城一幸校長、総合力の高さを売り込もうという魂胆か。
 そりゃ、国公立100人に届こうかという学校だ。どの教科にだってエース級が目白押しだろう。

 で、そんな中、今日見学したのは教員歴7年目、塩野谷淳先生の授業だ。同校が初任で7年目ということは計算上30歳前後となるが、実際は38歳。大学卒業後、サラリーマン(専門商社)を経て、この道に入った。今や定年も実質65歳に延びた時代だ。回り道はプラスにこそなれ、決してマイナスになることはあるまい。

 2年生理系の「コミュニケーション英語」。同校普通科は2年次から1クラス35人編成となる。
 授業スタイルは、いま流行りのアクティブではなく伝統的な講義形式。
 なのだが、自作の映像(動画あり)を駆使したスピーディーな展開で、生徒のノリも良いので生き生きした授業になっている。
 ハイスピード授業が可能なのは、全員が予習をしてきているせいもある。進学校はこうでなくては。

 Keynoteとimovieを使った教材は、手の込んだもので、笑いを取るような画像もさりげなく差し込まれている。あくまでもサラッと。
 私もパワポやアイムービーで資料を作るが、手間がかかるんだよ。経験者として言えるが、相当時間をかけている。勤務時間内で作れるのか。大丈夫か「働き方改革」。
 などと、余計な心配をしてみる。
 しかし、授業の成否は教材研究の段階で決まっているからね。教員やってる限り、永遠に続く苦しみだ。

 塩野谷先生は、外務省(もしかしたら文科省)が行っている「日本人若手英語教員米国派遣」(事業名、正確かどうか)に選ばれ、米国で研修を受けた経験もある。オールイングリッシュで授業できるんだろうけど、今日は日本語も多かった。私は助かった。全部英語でやられたら記事書けない。

 授業後、インタビューしたが、逆にいろいろ質問された。こういう若手はこわいよ。もちろん、いい意味だけど。
 この貪欲さ。
 己の授業力向上にかける意気込みがひしひしと伝わってくる。

 そういえば、校長はじめ他の英語の先生4~5人もずっと後ろで授業を参観していた。どういう経緯でそうなったかは聞きそびれたが、この雰囲気もいい。「他人の授業を見て」、「自分の授業を見せて」、先生は伸びて行く。

直球一本やりの若手の授業も頼もしい

 20180919開智未来野中先生

 開智未来中学高校の塾説明会。
 この学校では毎回、説明会に先立って公開授業がある。私のねらいはこちら。

 グルグル回るか、一つをじっくり見るか。
 どちらにするかは時と場合によるが、基本的には「じっくり見る派」だ。

 いつも勉強になる加藤友信校長による情報の授業も見たかったが、今回は1年目の若手・野中先生の世界史を見ることにした。
 しかし、1年目の若手を公開授業に持ってくるとは開智未来も大胆だね。だって、新人の授業なんて、申し訳ないけど穴だらけですよ。いちいち論評する気にもならない。

 それでも、こうして外部の目にさらそうというのは、期待の表れなんだろう。
 開智未来の世界史と言えば、人間国宝級の工藤智先生の授業が有名だが、その薫陶を受けた野中先生を将来の大黒柱に据えようということだと理解した。
 
 技術的には未熟だが、教室の隅々まで響く張りのある声は若者らしく爽やかだ。動作も機敏だ。
 そんな外形的なことより授業の中身だろうと思われるかもしれないが、中身は言葉と表情と動作によって生徒に伝えられる。
 かぼそい声、変化のない表情、緩慢な動作では、どんなに良い中身であっても生徒には伝わらない。だから、外形的なことは大事なのだ。

 まだ若いから仕方がないし、それでいいと思うが、すべて剛速球みたいな授業になっている。少しは変化球も投げたらと思うが、この年で、そうたくさんの球種を持っているはずがない。だから、生徒の方は、たぶん「一つ一つは理解できるけど、結局何が大事なの?」と思っている可能性がある。若手の授業ではよくあることだ。

 今は言わない。ここでは触れない。あえてサラッと流す。
 ベテランの先生は、このあたりの呼吸が実に巧みなわけだが、数えきれない失敗を経てたどりついた境地だからね。若手にそれを求めてはいけない。
 多少コントロールは悪くても、今はど真ん中に直球をグイグイ投げ込みなさい、と、そんなところかな。で、それはできていたと思うよ。ガンバレ未来の星、野中先生。

センシティブなテーマの扱いに熟練の技を見た

 20180918松山女子

 松山女子高校に行ってきた。

 特進クラス2年生・現代文の授業。
 担当は柿崎伸夫先生。

 特進と聞いて、オヤっと思われた方もいると思うが、今どきは公立にだって特進はあるんですよ。
 ただし、私立とは異なり、入学後に希望をとり、成績順で編成するという形で8クラス中1クラス(40人)がそれに当たる。週2回7限まで授業がある。

 今日の授業では、「虐待」という、きわめてセンシティブなテーマを扱っていた
 この「危険!取扱注意」の題材を、展開の読みにくいアクティブラーニングの形式でやろうというのだから、先生の方にも相当な覚悟があるのだろう。
 一歩間違えれば、生徒を傷つけ、取り返しのつかない事態を招いてしまうかもしれないのだ。

 だが、そこは教員生活31年目の大ベテランだ。
 先生は、生徒一人ひとりの発言を細大漏らさず拾い上げ、それに対し、慎重に言葉を選び、表情や仕草にも細心の注意を払い、巧みに板書を交えながら、さらには立ち位置さえ微妙に変えながら、答えて行く。
 これは、ちょっとやそっとで真似できるような技ではないな。
 後で聞いたら、先生は演劇部の顧問もされているそうだ。なるほど、上質の舞台を観ているような気分になったのはそのせいか。

 難しいテーマだが、生徒の表情は明るい。グループ討議の場面を観察していると、全く発言しない、いわゆる「お客さん状態」になっている生徒が一人もいない。一人一人の発言回数も非常に多い。

 ただし、生徒たちは時々方向を見失う。
 自分たちはどこに向かい、どこに着地すればいいの?
 無理もない。大人が考えたって難しい問題に挑んでいるのだから。
 しかし、こんな時でも、先生は安易に助け舟を出したりはしない。とことん迷わせる。考えさせる。
 やがて生徒は、先生の小さな一言の中にわずかな光明を見出し、そこから再び前進を始める。

 というような授業を、ビシッと50分の枠内に収めてみせるというのが、実は一番難しいところなのだが、先生がそれを寸分の狂いもなくやってのけたというのが、今日一番の感動ポイントだ。
 若手の勢いのある授業もいいが、こういう渋いのもいいね。

開智高等部、もしかしたらこれがホントのアクティブラーニングかもしれない

20180905開智高等部
 何、このバッグ? 2泊3日、校内の専用宿泊所で合宿中らしい。

 午前中、開智高校(高等部)の塾対象説明会に出席。
 そのまま残り、午後は「よみうり進学メディア」用の授業取材。

 見学したのは高校2年の化学。理系トップレベルのクラスで男女合わせて28人。ちょうどいいサイズだ。
 塾の先生はよくご存知だが、公立の先生のためにお知らせしておくと、この学校の上位クラスは偏差値70以上ないと入れない。そういうレベル。
 
 チャイムと同時に始業の挨拶。で、次の瞬間、「今日は(取材が入っているので)いつもより黒板ていねいに書くよ」(笑)と言いながら、もう本題に入っている。
 前回の復習もないし、小テストもないし、生徒の集中を高める前フリもなし。いきなり本論。こういうの、一度でいいからやってみたかった。

 授業のスタイルは、いわゆるアクティブ形式でもなければ、はやりのタブレットを使うわけでもない。生徒が教科書の問題を解き、先生がそれを解説して行くという伝統的なスタイル。
 と、言葉にすれば、なんか、つまらなそう。
 なのだが、さにあらず。これほど活気にあふれた授業はそうそう見られるものじゃない。

 先生からの発問(生徒に質問すること)はかなり多い。それに対する生徒の反応(リアクション)も素早い。先生は、「指名されたい人、指名されたくない人は、それぞれそういう素振りを示してね」と言っておきながら、わざと下を向いている生徒を指したりするが、生徒の方も慣れたもので、「やっぱり来たか」と、友達の助けを借りながら、何とか答える。この授業は、相談自由なので、生徒は適宜前後左右の友達と相談している。
 先生が板書を間違えたときは、間髪入れず生徒が指摘してくる。「あっ、そうだ。ゴメン」と素早く訂正され、また何事もなかったように次に進む。

 生徒が机を寄せ合ったりはしていないけど、この授業、立派にアクティブラーニングになってるね。
 午前中の説明会で、先生が指示命令して「教える授業」から、生徒が「自ら学ぶ授業」への転換を図ってきたという説明があったが、この授業を見て、「なるほど、このことを言ってたのね」と納得した。

 授業後、担当の式先生に聞いたら、東大や旧帝大レベルに受かる力を持った子たちで、早慶なら普通に受かるんじゃないかということだった。
 最初にも言ったように、そういう最上位クラスの授業という条件付きではあるが、この学校の授業改革が着々と進んでいる姿を目の当たりにした今日の取材であった。

新しい授業スタイルに挑む若手教員が頼もしい

 熊谷高校の公開授業を見てきた。
 これで3年連続。いや、もっとかな?

 1時間の授業見学と2時間の研究協議、これに往復の3時間が加わって計6時間。一日仕事だ。
 この学校は、伝統校・進学校だけあって、「神のごとき授業」を展開する達人がいくらでもいるわけだが、今日の公開授業は発展途上の若手教員が中心だった。見学に来ている他校の教員も若い人が多かった。もっとも、私から見れば、みんな若い。

 今日公開されたのは、埼玉県教委が東大と組んで進めている「知識構成型ジグゾー法」という、一種のアクティブラーニングの手法を取り入れた授業だ。
 この手法には一定の「型」がある。
 埼玉県の新任教員は、全員がこの手法について研修を受けているようだが、実際の授業でどれだけ活用されているかについては、私自身、調査不足でよく分からない。

 取り扱う単元や課題によっては、効果的な指導法であるが、生徒の活動に重点を置いているため、教える側の意図に反して、思わぬ方向に展開してしまうこともあるようだ。また、先生が一方的に教え込む授業スタイルに比べ、教材の準備も大変そうだ。
 たぶん、月に1回とか、学期に数回とか、そんな頻度でしか実践できない手法だろう。

 ただ、授業を見ていると、たしかに遊んでいる生徒は皆無で、みな積極的に授業参加している。もともと、そのような生徒がいない学校ということもあるが、その点を差し引いても参加への意欲は高い。

 よく大学受験には役立たないという人がいるが、意見交換したり、仲間に説明したり、全員の前で発表したりというプロセスの中で、知識はより深く、確かなものになって行くはずで、決してマイナスとは言えないだろう。
 ただし、授業の進みはたしかに遅くなる。その点をとらえて、大学受験にはマイナスというなら、ある程度は当たっている。

 ICT教育にしてもアクティブラーニングにしても、何でも新しいものに飛びつけばいいというものではないが、若い先生がいろいろな「授業の型」を身につけて行くのは良いことだ。

 熊谷高校公開授業04
 熊谷高校公開授業03
 熊谷高校公開授業05


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梅野弘之

Author:梅野弘之
受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

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