「検討しているところでございます」って感じ悪いんだけど

 「慇懃無礼(いんぎんぶれい)」という言葉がある。
 読めるけど書けないね。練習しておかなければ。
 意味は、表向き丁寧で礼儀正しいように見えて、実は尊大で無礼なこと。

 ここのところ、国会における官僚答弁の場面が多く報道されるのだが、やたら「ございます」を連発するんで、それが耳障りで不快だ。

 「ありがとう」を「ありがとうございます」と言えば、より丁寧だし、言われた方も気分がいい。
 でも、「承知してございます」、「検討してございます」、「記憶してございます」は、なんだかなぁ。「~しています(おります)」で、いいんじゃないの?

 教員の世界でも、現場で先生やってる間は、そんな言い方一度もしたことないやつが、たまたま指導主事とかになって教育委員会に入ったりすると、急に「ございます言葉」を使い始める。みっともない。
 上司や先輩がみんな使ってるから仕方ないのかな。
 で、そのうち、「ぼくたち、下々の輩と違って、使ってる言葉からして違うんだからね」という特権意識すら芽生えてくる。

 下々「検討しています」
 ぼくたちエライ人「検討しているところでございます」
 「ございます」の前に「ところ」を入れると、よりエライ人感が出てくる。

 同業者内や仲間内でのみ通用する言葉を「符牒(ふちょう)」という。つまり業界用語だ。お客に知られたくない情報を、仲間内でやり取りする場合に用いられるが、自然に外部に漏れるので、その言葉を知っていると業界通っぽく見える。最近では、芸人やテレビ業界の符牒を一般人が普通に口にするようになった。
 まあ、こういうのはいいだろう。あまり上品ではないが。

 「ございます」言葉は業界用語の一種と言えなくもないが、すげえ感じ悪いぞ。と思っているのだが、私の感覚がおかしいのか?
 その職業独特の言い回しみたいなものはあって当然かと思うが、「ございます」言葉は、どうも見下されてる感があって好きになれない。

突然「沈香も炊かず屁もひらず」って言葉を思い出した

 ふと思い出した言葉。
 「沈香も炊かず屁もひらず」。
 読み方は「じんこうもたかずへもひらず」。

 沈香(香木)のような良い香りもないが、屁のような悪臭もない。つまり、特別に悪いこともしなければ、良いことをするわけでもなく、無害で平凡なことのたとえである。

 よく他人を表するとき、「いい人」とか「真面目」を使う。
 「〇〇さんって、どんな人ですか」
 「うん、真面目ないい人だよ」
 なかなか便利な表現だ。
 でも、その人がどんな人か何も説明していない。というか、つまんない人間とか、無能だとか言っているようにも聞こえる。

 その一方。
 「いや~、仕事がめっちゃ早くて決断力もあるんだけど、酒癖・女癖が悪くてね」
 こっちの方が説明になっている。

 仕事の能力があるが、私生活には問題がある人。
 仕事の能力はないが、私生活には問題のない人。
 さあ、どっちをとるか。

 仕事の能力があって、私生活にも問題がない人がいいに決まっているが、そんなに大勢いるわけじゃない。
 どっちか選べと言われたら、仕事の能力はあるが、私生活には問題のある人の方かな。
 問題の程度にもよるが、そっちは直せる可能性がある。ことによったらある日スパッとやめることだってできる。でも、能力の方は、それを身に付けたり伸ばしたりするのに長い年月と努力を要する。
 だから、私の場合は、沈香をとって屁のほうは大目に見る。

 誤解のないように言っておくが、悪事に目をつぶるなどとは言っていない。悪事にその能力を使われたらとんでもないことになる。
 大事なのは、その能力を世のため人のために使っているかどうかだ。自分のためじゃなく他人のために使っているかどうかだ。そうであれば、屁の一発ぐらい許してやろう。

年をとると新語・流行語を使わなくなるものだ

 今年もユーキャン新語・流行語大賞が発表された。
 年間大賞に選ばれたのは「忖度」と「インスタ映え」。まともじゃないか。
 だが、「忖度」はともかく、「インスタ映え」は、われわれ年寄りは使わんな。

 珈琲店で。
 私「コーヒーとスフレパンケーキ、一応写真撮っとくかな。でも、いまいちインスタ映えせんよな」
 友人「インスタントより旨いだろう」
 私「いや、そういう話じゃなくて…」
 と、こんなかみ合わない会話になる。

 今回、新語・流行語とされた言葉を、このブログでどれだけ使ったかを調べてみた。
 まず年間大賞の「忖度」。
 3件見つかった。
 「インスタ」は2件ほどヒットしたが、「インスタ映え」は0件。

 トップテンに選ばれた言葉では、「プレミアムフライデー」が4件、「〇〇ファースト」が1件。「プレミアムフライデー」には、よほど恨みつらみがあるようだ。
 それ以外の「35億」「Jアラート」「ひふみん」「フェイクニュース」「Jアラート」「睡眠負債」については、知らない言葉はなかったが、ブログでの使用は0件。

 候補に上がった言葉では、「うんこ漢字ドリル」「働き方改革」「アウフヘーベン」が使用されていた。さすがにこのレベルには、聞かれても説明不能な言葉も多かった。

 このブログは、毎日書いているとはいえ、教育や受験がメインテーマなので、まあこんなものかと思う。

 教員だった若いころだったら、世の中で話題になった言葉は、日々の授業などでほとんど使ったと思う。年をとると同じ話ばかりすると言われるが、使う言葉が増えないんだからそうなるだろう。
 逆に言えば、新しい言葉をどんどん取り入れれば、若い人から同じ話ばかりと言われないかもしれない。ただし、これも注意しないと、無理してるとか痛すぎるとか言われるそうだ。

また会えるからこその「一期一会」

 「一期一会」(いちごいちえ)という言葉がある。

 元々は茶道から来た言葉だそうだ。
 「茶会に参加する時には、その機会は何度も繰り返されることのない一生一度の出会いと考えて、ホスト(亭主)もゲスト(客)も、共に誠意を尽くしましょう」
 こんな意味。

 これはネタではなく、今までに一人だけマジで「いっきいっかい」と読む人に出会った。その人には以来会っていないので、文字通り「一期一会」の出会いであった。

 ふだん、「じゃあ、また」と言って別れるが、年を取ると、その「また」が二度と訪れない可能性がある。年寄り同士だとなおさらだ。
 あと10年生きるとして、年に一度しか会わない人とはあと10回、2年に一度の人とはあと5回。と、こんな計算が成り立つ。
 だから、人と会うたびに、これが最初で最後かもしれないと自然に思えるようになってくる。
 出会いに感謝する気持ちも生まれてくる。

 その点、若い人たちは、その気になれば何回だって会える。
 が、だからこそ「一期一会」なのである。一瞬一瞬が「一期一会」なのである。

 この人との出会いは1回だけかもしれないから、その瞬間を大事にしましょう。そういう解釈もありだが、むしろ本来の「一期一会」は、毎日会っている人との関係を言っているように思う。

 明日があるかもしれないが、今日のこの出会いはただ1回である。明日のあなたとの出会いはまた別の出会いである。
 そんなことを年中考えると疲れるが、時々ちょこっと考えてみると、人間関係がまた違ったものになるかもしれない。

小池都知事、なつかしい言葉使ってるね

 小池百合子都知事は何歳?
 そうか、1952年(昭和27年)生まれの65歳か。
 私は1951年(昭和26年)生まれだから、同じ時代に生まれ、同じ時代を生きてきたんだな。道理で話が合うと思ったよ。話したことないけど。

 記者会見で「アウフヘーベン」とか言っていた。意味を問うたら、辞書で調べろだと。
 でも、辞書で調べるまでもなく、われわれ60代後半以上にとっては、これがドイツ語で、ヘーゲル哲学の用語で、日本語にすると「止揚」というのは、割と常識的な知識なんだ。若いころ、流行ったからね。なつかしいな。

 会見では、「ハーマン・カーン」なんて人の名前も出てたね。
 久しぶりに聞いたよ、この名前。
 おう、それなら知ってると思った若い人もいると思うけど、「ハマーン・カーン」じゃないから。ガンダムじゃないんだよ。それに男だし。
 「ハーマン・カーン」はアメリカの未来学者。『超大国日本の挑戦』という本を著し、「21世紀は日本の世紀」などと持ち上げるもんだから、人気になった。私も大学生のときに読んだ覚えがある。これまた、なつかしい。

 若い人たちは、小池百合子さんが何か新しい言葉を使っていると勘違いしているかもしれないけど、昔覚えた「古~い」言葉を使ってるだけだから。

 ついでに「しがらみのない政治」について。
 パソコンで「しがらみ」と入力して、パチッと変換すると「柵」と出てくる。そうだったのか。「しがらみ」を漢字で書くと「柵(さく)」なんだ。
 柵にまとわりつくいろんなもの。

 しかし、「世のしがらみ」などと言うが、生きて行くと「しがらみ」だらけになるんだよ。助けたり助けられたり、世話したり世話になったり、応援したり応援されたり、そうやって人間関係を築いて行くうちに、どうしても出来ちゃうのが「しがらみ」。

 「しがらみのない政治」というのは、何も小池百合子さんが初めて言ったわけじゃなく、前から多くの政治家が使ってきたものだ。
 選挙では、政治経験の浅い新人候補がよく使ってきた。
 「政治経験がなくて大丈夫か」
 「いや、その分、業界や企業や団体とのしがらみがありませんから、思い切った改革ができます」
 こんなふうに使う。

 小池新党(希望の党)からは、たくさんの「しがらみのない候補者」が立候補してくると思うが、裏を返せば、政治経験も、人脈とかネットワークも、あまり持たない人が出てくるということでもある。そこに不安がある。

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梅野弘之

Author:梅野弘之
受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

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