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教頭が飲酒・ひき逃げの構造的な問題を考えてみる

 連日教員の不祥事の話を書くのは辛い。
 今度は川口市の小学校教頭(54歳)。飲酒運転でひき逃げ、相手は死亡。まだ続報がなく詳細は不明だが、どう転んでも重罪でしょう。

 「不祥事根絶アクションプログラム」を発表した途端、立て続けだからね。困ったものだ。
 お読みになった方は分かると思うが、そもそも「不祥事根絶アクションプログラム」では、校長・教頭といった管理職は、教員を指導・監督する立場として位置づけられており、かれら自身が不祥事を起こすことは想定されていない。改訂版出さなきゃだめみたいだね。

 今回のような飲酒・ひき逃げは、管理職であろうがなかろうが、また、先生であろうがなかろうが、それとは無関係に許されないことである。
 その上で。
 管理職というものについて考えてみた。

 校長・教頭といった管理職になるためには、登用試験を受けなければならない。
 高校のことしか分からないのだが、埼玉県の場合、校長・教頭及びその一歩手前の主幹教諭は結構だぶついているようだ。私の知っている時代に比べると教頭在任期間が延びている。学校数が徐々に減っているのも一因だろう。

 ただ、最近は登用試験受験者が減る傾向にあると聞いている。もともと採用人数が少ないこともあるが、管理職は人気がない。
 管理職になると担任を持ったり、授業をしたり、部活をみたりという先生本来の仕事が基本的にはなくなる。児童・生徒との接点が極端に減る。つまり、先生であって先生ではなくなる。だから、それが嫌で管理職になりたくないという先生は多い。

 企業だったら、課長や部長になろうとか、末は役員や社長になろうと志す人も多いと思うが、それは昇進と給与がある程度連動しているからだろう。
 先生の場合、管理職以外は全員「平(ひら)」という構造で、給与は昇進ではなく年齢で決まるので、同じ年齢なら管理職も平教員も給与の差がそれほどない。

 好きな仕事ができて、給料も悪くない。自分のしたことの責任は取らなきゃいけないが他人のやったことの責任まで取る必要はない。先生の世界は、構造的に「だったら平のままがいいや」となりやすい。

 そういう中で、これはと思う先生に声をかけ、説得して管理職への道を歩ませるのは、上司としての校長や教頭の重要な任務の一つなのだが、なかなか容易なことではないらしい。時々、「なぜ、こんなのが」という人物が管理職になってしまうのも、構造的な問題だろう。

なるか教員の不祥事根絶

 埼玉県教育委員会が教員による不祥事防止への具体策として、「不祥事根絶アクションプログラム」を策定し、7月20日発表した。全部で30項目ある。

 21日付埼玉新聞1面トップがこの記事だったが、何というタイミングの悪さだろう、他の面に「わいせつ容疑で高校教諭を逮捕」の記事が載っていた。
 まあ、それは措くとして、こういう取り組みは悪くないと思う。先生たちが気を引き締めるきっかけになる。
 そんなことではなくならないとおっしゃる方は、ぜひ実現可能な名案をお出しいただきたい。

 プログラムの策定に当たって、全公立学校の職員から意見を募集したところ、1万6780件の意見や提言が寄せられ、それがプログラムに盛り込まれたという。
 残念だな。なぜ私にも聞いてくれなかったんだ。

 とりあえず30項目全部に目を通してみた。
 いろいろ言いたいことはあるが、ここでは2例だけ取り上げてみよう。

 No.1「過去の不祥事の分析と研修等への反映」 
 そう。分析は大事だ。ここが一番重要かもしれない。校種別・年代・経験年数のほか、不祥事の内容別に詳しく分析すれば根絶の手がかりが得られるかもしれない。ここは第三者の専門家を交えてやるべきことだ。

 No.5「面接試験における工夫」
 採用面接の面接官として企業経営者・人事担当者、PTA代表、保護司を起用する案だが、私は反対だ。その後の指導育成に責任を持たない人の意見は、はっきり言って無責任になるからだ。
 面接を担当する先生方に、面接の技法に関する専門的トレーニングを積んでもらったほうがいい。そのトレーニングの場に心理学の専門家などと並んで企業経営者や人事担当者を招くのはいいだろう。
 現在、面接を担当しているのは県教委の先生や現場の管理職の先生と思われるが、ここに思いっきり若手を起用するという手もある。これは企業でも実際に行われていることで、若者の目には、年寄りの目には見えないものが見えるのである。PTAのオジサン・オバサンを入れるくらいなら、こっちを考えてほしい。

 もう一つ加えて欲しかったのは、生徒からの情報収集だ。
 先生に一番接しているのが生徒。先生同士が知らない先生の一面を知っているのが生徒。小学生だと厳しいが、中高生はかなり冷静に見ている。

 私は20年近く「生徒アンケートによる授業評価」の仕事をしている。その際、自由記述欄を設けて生徒の意見・要望・感想を収集する。公立学校でもすでに授業評価は実施されているはずだが、評価の対象となっている先生自身が実施するアンケートでは本音は拾えない。第三者が介在する必要がある。

 「いい年して彼女いないなんてかわいそう」
 「アニメの話ばかりしないでください」
 「男子は呼び捨て、女子はちゃん付けって何だよ」
 「女子をなめまわすように見るのはやめてください。気色悪いです」
 「ビデオが趣味なのわかるけど、そればかり見せないでちゃんと授業やってください」
 「授業中に猫の死骸がどうとかの話をするな」
 「学校にそんなに文句があるならやめれば」
 ある先生に関して、こんな情報が集まってくると、何となく危険なにおいが漂ってくるでしょ。アクションプログラムの中に「管理職等のリスクマネジメントに対する支援」として4項目ほどあるが、このような生徒からの情報が集まってくると、指導のきっかけになり、未然防止につながるかもしれないので、ぜひ検討してほしい。

 先生を雇っている塾長の皆さん。
 あちらは不祥事で経営が傾くことはないが、民間は経営に直結するのでアクションプログラムを一読することをおすすめします。
 ↓
 不祥事根絶アクションプログラム(埼玉県教育委員会)

中学生の無免許運転事故死、あの岡山県だったか

 7月1日早朝、岡山市北区の国道で中学生5人が乗り、そのうち1人が運転していた乗用車が中央分離帯のポールに衝突する事故があり、女子中学生1人が死亡、4人が重傷。

 ニュースの中で「全員、免許を持っていませんでした」と言っていたが、免許持ってる中学生がどこにいる。
 痛ましい事故だが、無関係な一般人が巻き添えにならなかったのがせめてもの救い。

 岡山と聞いて、ちょっと引っかかるものがあった。何だっけ?
 そうだ、あれだ。
 今年2月、鳥取県で中学2年生が軽トラックを運転して(当然無免許)、同乗の中学生が死亡する事故があった。その時に調べたデータの中に、たしか岡山県があったような…

 無免許運転は刑法犯ではないだろうが、少年非行の多い県はどこだろうと思って調べたのがこれだ。
 「中学生・高校生の刑法犯検挙・補導人員及び人口比」(警察庁)

●中学生ワースト順
(数字は検挙・補導人員を生徒数で割ったもので、1000人当たりの人数と考えればよい)
 1 沖縄 11.2
 2 高知 7.4
 3 広島 6.9
 4 大阪 6.4
 5 鳥取 6.2
 6 福岡 5.9
 7 滋賀 5.8
 8 岡山 5.4
 
9 兵庫 5.3
 9 愛媛 5.3
 全国平均 3.7

●高校生ワースト順
 
1 福岡 6.4
 2 神奈川 5.0
 2 岡山 5.0
 
4 兵庫 4.8
 5 沖縄 4.8
 6 埼玉 4.5
 7 東京 4.2
 7 奈良 4.2
 9 大阪 4.1
 10 千葉 3.8
 全国平均 3.6

 中学生・高校生共にワースト10に入っているのが、大阪・兵庫・福岡・沖縄・岡山の5県。埼玉も多いが、東京・大阪・神奈川・福岡・兵庫・千葉と並べてみると、ほぼ人口順といった感じで、何となく腑に落ちる。愛知が入ってないのが不思議なくらい。となると、やはり岡山が特異な存在に思える。

 もう一つ、別のデータ。
 岡山県警察生活安全部少年課による「平成28年における岡山の少年非行」の中にある「刑法犯少年の非効率の推移」というもの。ここでは、少年人口(10歳~19歳)1000人あたりに占める刑法犯少年の割合について、岡山県の全国順位(ワースト順)が示されている。
 平成24年 全国1位 10.7人(1000人当たり)
 平成25年 全国1位 9.4人
 平成26年 全国1位 8.8人
 平成27年 全国3位 5.7人
 平成28年 全国3位 4.6人

 岡山県知事・伊原木隆太氏(元はマラソンや駅伝で有名な天満屋の社長だった人)は、2013年8月の岡山県広報紙「晴れの国おかやま」にこう書いている。
 「岡山県は、かつて全国に知られた教育県でした。その岡山の教育が、今、暴力行為などの問題行動の発生率や不登校の出現率が全国で最も高く、学力面でも全国低位という危機的な状況に陥っています。子どもは地域の宝であり、教育は未来をつくることに他なりません。だからこそ、県民の皆様の「教育を頼む」という声は切実であり、教育の再生は、間違いなく県政の最重点課題です」

 その成果は少しずつ出ているようだが、岡山県と岡山県の先生方には引き続き頑張ってもらおう。

男バス暴力事件、指導者たる先生方の見識が問われる問題

 今、スポーツネタ、部活ネタは一番ホットだから、普段ならスルーされるか小さなニュースで終わることが大きな扱いになってしまう。

 この際だから、各学校における常識や、その競技における慣例などが、現在の世間の常識や風潮からズレていないかを、ウチは関係ない大丈夫じゃなくて、今一度見直す機会にしたらいいだろう。

 が、それにしても、公式戦の最中に審判殴っちゃいかん。延岡学園男子バスケット部。
 インターハイ出場が決まっている強豪校で、殴った張本人がアフリカ(コンゴ)人留学生とあっては、マスコミもネット民も放ってはおかない。

 インターハイ出場を辞退すべきかどうかは微妙なところだ。
 部と関係ない生徒や教員の不祥事で辞退とか、ベンチにも入っていない部員の不祥事で辞退というのは行き過ぎと思うが、今回は戦力としてゲームに出ている選手ということだから、出場辞退まで行ってしまうかもしれない。

 当該の選手は1年生というから、まだ日本に来たばかりだろう。日本語もおぼつかないはず。一人で異国にやって来て、精神的にも不安定な状態だったと想像する。むろん暴力は否定されなければならないが、同情の余地はある。
 本人以上に、学校側の留学生受け入れ体制や監督コーチの指導が問われる問題だ。

 スポーツ留学生の存在は、全体的な競技力向上という点でプラスに働くこともあるから、一概に否定できない。一定のルール(歯止め)を設ければいいのであって、留学生を禁止しろとか、国内での越境を認めるなというのは極論だろう。それでは競技そのものがつまらなくなる。

 勝利至上主義はいけないというが、だったらスポーツなんかやめろという話だ。レベルはさまざまだが、みんな勝つために、また記録を伸ばすためにやっている。スポーツの面白さはそこにある。
 ただし、アマチュアの生徒・学生たちが、学校において、先生の指導の下で行っているものであるから、一般とは異なるルール作りは必要だ。
 指導者である先生方の見識が問われている。

学校の危機管理、もう一度勉強し直すとするか

 日大ダメだな。
 日本初の危機管理学部を擁する大学が、まったく危機管理できていないとは正にブラックジョーク。
 
 本ブログは先生応援を旨としており、時に苦言を呈することはあっても基本的に学校叩きや先生叩きはしないのであるが、この度の日大アメフト事件については擁護のしようがない

 同学部HPに、「危機管理学を学んだ人材の卒業後の主な進路として想定される」ものとして、「一般企業のコンプライアンス(企業としての信頼を守るための法令順守)、CSR(企業の社会貢献や社会的責任に関する活動)に携わる担当者」が挙げられている。
 無理でしょう。
 教える側がこの体たらくでは。

 責任者出てこい。
 そう思っている人多いんじゃないかな。
 ここまで世間をお騒がせしてしまった以上、ことの真相はともかく学長とか理事長が出てくるのが普通だろうに。
 マスコミもなぜそれを要求しない。普段はすぐに社長を出せというクセに。まさか巨大なスポンサーに忖度してんじゃないだろうな。

 学校の校長先生や理事長さん。
 何かあるたびに、いちいち表に出て謝罪していたんでは身が持たない。事件や事故の性質、その時々の世間の風潮、そういったことを勘案し、波紋が広がらないうちに自ら会見なり謝罪なりして鎮静化を図るべきなのだが、「出たほうがいいか」「出る必要はないか」、この判断が難しい。
 結果論ならいくらでも言えるが、そういう立場を経験したことのない私には、瞬時に適切な判断を下せる自信がない。

 20年ぐらい前だと思うが、危機管理(特にマスコミ対応)をテーマにした専門家によるセミナーを思い立って学校の先生の参加を募ったが、全然集まらず大赤字を食らった記憶がある。
 当時は危機管理などと言っても「なに、それ?」という時代であったからやむを得ない。マスコミ対応もテレビ・新聞・週刊誌だけ考えておけば良かった。

 しかし時を経て、ネットという得体の知れない巨大メディアが幅を利かせるようになった。
 もう一度チャレンジしてみるか。
プロフィール

梅野弘之

Author:梅野弘之
受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

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