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県立学校へのタイムカード導入がまたもやピンチ

 埼玉県立学校における教員の勤務管理システム導入が再びピンチを迎えている。
 例のタイムカードの件だ。

 このブログで何度か書いているように、私は「今さら導入してどうなる」という考えだから別に構わんが、その経緯がどうも気に入らんな。

 順を追って説明しよう。

 前年度(平成30年度)は、当初予算では計上されたが、その後、予算特別委で付帯決議が出され執行停止となった。
 今年度(平成31年度)、再び当初予算に計上されたが、またもや付帯決議により執行停止に追い込まれそうだ。
 まだ最終決定ではないが、2年連続で予算化はするが、執行停止という事態になりそうなのだ。

 付帯決議を出しているのは自民党県議団だ。
 埼玉県議会では自民党が単独過半数を占めているのだが、上田清司知事は、旧民主党を基盤として知事になった人。ということで、もともと対立の構図。
 で、この両者、4年前の県知事選で上田清司知事が自ら定めた多選禁止条例を破って四選を果たしたあたりから、対立が露わになっている。
 そう言えば、小松弥生教育長就任に待ったをかけたのも自民党だった。

 「出退勤時間を管理するだけは、教職員の勤務状況は改善せず、本県の教育力向上につながらない」というのが予算執行停止の理由で、これだけ見ればまったくその通りなのだが、本当にこれだけか。
 自民党県議団が、教員の働き方改革について何か代替案を持っているとは聞かないので、どうも嫌がらせにしか思えない。こんなことをやっていると、それこそ本県の教育力向上につながらんぞ。

 今年の夏、知事選挙が行われる。
 まさかそれはないと思うが、上田清司知事の五選出馬の噂もくすぶっている。
 埼玉県民でありながら埼玉県政に疎い私であるが、近く行われる統一地方選や夏の県知事選をにらんだ駆け引きの中で、「教員の働き方改革」が政争の具として使われているとしたら残念なことだ。

再び言う、タイムカードじゃダメなんだよ

 だからさ、タイムカードじゃダメなんだ、って。

 以下、産経新聞からの引用―
 県教育委員会の小松弥生教育長は15日の記者会見で、教員の働き方改革の一環として導入を目指している県立学校へのタイムカード導入について「来年度予算案の中で改めて盛り込んで説明させてもらいたい」と述べ、改めて意欲を示した。県議会の最大会派、自民党県議団の反発で実現していないが、県教委は平成32年2月の全校一斉の導入を目指す。
 タイムカードの導入は今年度予算で当初、5年間で総額1億4400万円を計上していた。新年度予算案ではICカード発行を業者への委託から県教委に切り替えるなどして約5千万円減額し、総額9530万円とした。
 小松教育長は会見で、労働関連法制の改正や文部科学省による公立学校の教員の勤務時間の上限に関するガイドライン制定などに言及し、「教職員の出退勤時刻の客観的な把握が必要だ」と導入の意義を強調した。
―引用、ここまで。

 ちょうど1年前にも、この話、書いている。 →今さらタイムカード導入してどうする
 企業では半世紀前からタイムカード使ってるでしょ。でも、長時間労働なくならない。それで今、働き方改革って話になっているのに、今さら導入してどうすんのよ。というお話。  
 
 小松弥生さんは文部科学省出身だから、古巣の方針には好意的・肯定的なんでしょう。気持ち分かります。私も公立教員出身だから、公立学校や先生方には協力的だからね(そうでもないだろうの声もあり)。
 それと、何かをやるとき「では、とりあえず調査を…」というのもお役人らしいやり方。

 調査は悪くない。
 私も結構調査好き、統計好きな方だ。
 記録を取っておかないと、何時間だったものが何時間に減りましたということが検証できないから、まあ、これはいいことにしよう。ちょっと金がかかり過ぎだけど。

 でもね。何年もかけて調査をして、「はい、こんな結果が出ました」「さて、どうしましょう」じゃ、遅いんだよ。その間にも、体を壊したり精神をやられたり、下手すりゃ命を失ったりする教員はいるわけだよ。そっちを真剣に考えてくれ。

 どうしてもタイムレカード入れたいっていうなら、仕方ない、それは認めよう。
 その上で。
 同時並行で、先生の仕事を簡素化・合理化する方法を即実行してもらおうじゃないか。

学校のどこがブラックなのよ

 学校は全然ブラックじゃないよ。

 ブラック企業とかブラック職場という場合のブラックには明確な定義があるわけではないので、誰でも簡単に使える。
 学校の先生(特に公立の場合)は、身分がしっかり保証されていますよ。今の時代、これほどしっかりと終身雇用が維持されている職業は少ないですよ。つぶれる心配はほぼ無いし。
 給料だって悪くないですよ。国や地方が民間企業(中小零細の除く)の平均値で決めてますから。能力給じゃなくて年齢給だから、年齢が同じなら、基本的に給料は同じ。
 有給休暇も最初から年間20日。1時間とか2時間とか時間単位で取れますよ。産休、育休も民間より長いですよ。

 これのどこがブラックなのよ。
 
 もしかしたら、世間の目を民間のブラック企業(大企業も含めて)から逸らすための陰謀ではないかと思ってしまう。

 ただし、改善すべき問題点はある。
 学校や先生が、昔に比べ、いろいろなことを引き受け過ぎているのではないか。そこは一度考え直してみなければならない。

 よく、働き方議論の中で、「地域」という言葉が登場する。学校や先生が担っている業務の一部を「地域」が肩代わりする。
 まあ、一つの解決策ではあるが、「地域」って、そんなに万能か。そもそも「地域社会」や「家族」といった、広い意味での教育の担い手が崩壊したから、学校が肩代わりせざるを得なくなったという面があるわけだから、そう簡単に「地域」に戻すことはできないのではないか。
 
 つまり。
 社会(世の中)の諸々の問題が、学校という場所において、分かりやすい形で出てきてしまっているわけだね。学校や先生の怠慢や能力不足で起きた問題じゃない
 今は、残業(長時間勤務)や部活が焦点になっているが、これが本質じゃないということを、先生方は分かってますね。

 私が現役の教員だったら、ブラックだとか何だとか騒ぐ連中に、「うるせえ、外野は黙ってろ」と言うだろうね。いや、言うとまずいから思うだけかな。
 まあ、そういう私も今や外野の一人なのだが、安易な学校批判、先生批判は、おのれの人生を半分否定することになるから、それはやらないよ。

教員の残業代訴訟、意見陳述文読みイスからずり落ちそうになった

 先生応援ブログを名乗っている以上、学校であれ、塾であれ、先生と名の付く職業に就いている人は、とことん応援するが、こりゃあダメだ。

 「教員の時間外労働に残業代が支払われていないのは違法だとして、埼玉県内の市立小学校の男性教員(59)が、県に約242万円の未払い賃金の支払いを求めた訴訟の第1回口頭弁論が12月14日、さいたま地裁で開かれた」
 このニュースのこと。

 男性教員の意見陳述文
 その冒頭部分はこうだ。
 「12月14日、今日は何の日かご存知ですか。忠臣蔵、赤穂浪士の討ち入りの日です。討ち入りの日と重なった。そう思いました
 しかし、今は、民主主義の時代です。正しいことをしっかりと主張し、証明していけば、真実が認められる時代なのです。大勢の人たちが見守ってくれる中で、自由に討論ができるのです。素晴らしい時代になりました。
 私は、この裁判で、公立学校の教員の無賃残業を無くしたいです
 今、全国で過労死が問題になっています。教員の中にも苦しんでいる方がたくさんいます。なぜ解決しないのでしょうか。民間企業では、社長が責任を持って問題解決に向けた取り組みを始めています。しかし、教員の世界は今も残業代が出ません。無賃労働状態です。社長が問題を解決しようとする覚悟がないのかもしれません」

 ※全文をお読みになりたい人は、今のところ、ここで読めます。
  男性教員の意見陳述文全文

 私は、読み始めて、思わず椅子からずり落ちそうになったよ。
 高校生の作文か。
 いや、そんなことを言っては高校生に失礼か。

 「今日は何の日かご存知ですか
 先生にありがちな入り方だ。言っとくけど、ここは教室じゃないから。相手は児童じゃないから。

 「討ち入りの日と重なった。そう、思いました
 だから何だよ。大石内蔵助になった気分ってことか。

 「しかし、今は、民主主義の時代です
 元禄の世と比べてどうする。

 「無賃残業を無くしたいです
 国語の先生なら、こういう場面では「したいのです」、「したいと考えます」と言いなさいと教えるよ。

 というような具合で、この後、自分がいかに大変な仕事をしてきたかを延々語るのだが、とても読んじゃいられない(ガマンして読んだけど)。

 間もなく定年退職する先生の老後の趣味にお付き合いしても仕方ない。以後、無視する、でいいだろう。

 ただし、私の中では学校や塾の先生方の働き方は、引き続き大きなテーマである。

 
 今日の動画「お金持ちになる方法を聞かれたら」

先生の残業、学校だけの問題ではない

 月45時間以内、年間360時間以内。
 公立教員の残業時間ガイドラインとして検討されているのがこの数字。

 実現不可能。非現実的。
 そう思われた先生も多いと思う。私も経験者の一人としてそう思った。
 しかし、最初から無理と言ってしまうと思考停止に陥るので、「できたら、いいよね」と前向きにとらえることにした。
 残業がゼロで、有給が全部消化できて、給料も減らなければ、そりゃいいに決まっている。

 残業時間の問題は残業代とセットで考えなければならないが、そのあたりの踏み込みが甘い。
 公立教員の場合、「教職員給与等特別措置法(給特法)」に基づき、給与月額の4%相当の「教職調整額」が支払われる。時間外手当(残業代)の代わりである。残業をしなくても、死ぬほど残業しても、この率は変わらない。
 4%とは、給与月額30万円なら1万2000円、50万円なら2万円だ。時給1000円のコンビニバイトなら12時間分から20時間分だ。これで月80時間とか100時間とか残業する教員がいるとは驚きだが、実際、大勢いるのだ。
 私もそうだった。
 
 時間外手当(残業代)を支払うとなれば、誰が考えても巨額の財源が必要なのは明らかだ。そこで、残業をしない、あるいは少なくする方法で解決しようというのだが、先生の日々の業務量を考えたら、月45時間だって危うい。

 そこで出てきたのが変形労働時間制という考え方だ。
 忙しい時の勤務時間を延ばし、夏休みなどに学校閉庁日を設け、年単位で勤務時間を調整しようというものだ。

 はて、先生やってて忙しい時があったのは覚えているが、暇な時ってあったっけ?

 教員を増量すれば解決するでしょう。
 でもそのためには巨額の人件費を確保する必要がある。

 業務を外注すれば解決するでしょう。
 でも、これにも莫大な費用がかかる。

 だから先生の意識、学校の考え方を変えてください。そういうこと。
 まあ、先生方は真面目だから、文科省や教育委員会の方針が正式に決まれば、何とか実現しようと頑張るだろうね。
 が、先生方の努力だけでは限界がある。

 私たち民間人、というか、学校外にいる人間に必要なのは、「先生しっかりやれ」「学校ちゃんとやれ」と押し付けるのではなく、納税者として何ができるか、選挙民として何ができるか、住民として何ができるか、専門家として何ができるか、保護者として何ができるか、と、わが身に引き寄せて一緒に考えることである。

 梅野弘之の先生応援ブログ・動画版(2018年12月8日)
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梅野弘之

Author:梅野弘之
受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

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