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人が仕事を選ぶのではなく、仕事が人を選ぶのだ

 一昨日のエントリー「小学校の教科担任制、教員は増やしてくれるのか」に、長文のコメントを寄せてくださった読者さん。小学校図書館の現状、勉強になりました。

 突然だが、仕事は人を選ぶという話。
 人が仕事を選ぶんじゃなく、仕事の方が人を選ぶ。

 「仕事君」達はいつでも人を探している。すぐやってくれる人いないかな。上手くやってくれる人いないかな。
 「おい、鈴木さん(仮名)の所行ってみろよ。すぐやってくれるぞ」
 いいこと聞いた。すぐ行ってみるよ。
 「な、言った通りだろ。あそこが一番早い。それに正確だし」
 みんな! やってもらうなら鈴木さん(仮名)だ。
 かくして「仕事君」達は、こぞって鈴木さん(仮名)を目指す。

 なんで自分ばかり忙しいんだ。「暇こいてる奴」がいくらでもいるのに。
 ところが、この「暇こいてる奴」は、楽してシメシメとほくそ笑んでいるかと思いきや、本人忙しいと思ってる。まったく、手に負えんな。

 私も長いこと社会人をやってきて、また、いろんな学校を見てきて、たしかに負担のアンバランスはあるなと感じる。
 でも、これを平均化しようとすると、組織全体の戦力が落ちてしまう。全体のパワーを維持しようと思ったら、ブツブツ言いながらグズグズやる奴よりも、はいよっ、と言ってさっさとやってくれる人に任す方がいい。「仕事君」達もそれを喜ぶ。
 
 私には社長という肩書が付いているが、それは名称だけのことで、本来の意味での「長」の立場に立ったことはない。
 だがもし、そういう立場だったら…
 平均化は断念しよう。申し訳ないが、速さと正確さが優先だ
 ただ、人間の気力・体力にも限度がある。鈴木さん(仮名)に何かあったらどうしよう。これ以上の戦力ダウンはないわけだし。

 自称大忙しの「暇こいてる奴」には、ニッコリ笑って「いつもご苦労さん」とだけ言っておこう。
 鈴木さん(仮名)の話はしっかり聞くよ。自分に出来ることは何でもやってあげるよ。
 で、その上で言う。
 「忙しい中悪いけど、鈴木さん(仮名)、これやってくれないかな」

勇気をもって既存のサービスを取りやめる

 新たにサービスを追加するのも大変だが、いったん始めたサービスを取りやめるのはもっと大変だ。

 ということを「セブンイレブンは24時間営業をやめるべきかどうか問題」をきっかけに、全くの異業種である塾や学校が考えてみるのも悪くない。

 サービスは放っておけば拡大する。
 お客である塾生や生徒のためを思って。あるいは他塾・他校との差別化を狙って。または他塾・他校に後れを取るまいとして。

 きっかけは様々だが、時間を経てサービス内容は均一化し、常識化する
 つまり。
 目新しいサービスが、あって当然のサービスになる
 そうなると、もうやめられない。
 儲からなくても続ける。従業員(先生)の犠牲の上に立って意地でも続ける。そのうち、そのサービスを続けられなくなるどころか、経営も続けられなくなる。こうして撤退して行った塾がいかに多いことか。

 昨日のことだ。
 私はある私立学校に、窓口や郵送による出願を取りやめるように進言した。
 ちなみにこの学校、インターネット出願はとうの昔に導入している(わが社がシステム導入を請け負ったのだ)。

 導入当初の利用率は当然ながら低かったが、今や95%がインターネット出願だ。ここまでくれば、もうインターネット出願一本でいい。
 だが、数パーセントでも窓口や郵送を利用する人がいる以上、続けるべきだと主張する先生もいるらしい。

 私はこう言った。
 「それは、目の前に2つ3つの選択肢があるからであって、インターネット出願一本に限定してしまえば、皆さん対応されますよ。何か特殊な事情があってネットやカードが使えなければ、特例として配慮すればいいでしょう。たぶん、いても一人か二人ですから」
 「私の取引先である別の私立高校さんは、数年前、インターネット出願一本に切り替えましたが、それによる受験者の減少もレベル低下も確認されていません」

 実を言うと、私はこの学校の出願に関わる印刷物(願書、振込用紙など)も請け負っているので、取りやめられると売り上げ減になるのだが、それでいい。浮いた経費で、別のアイディアを実現させてください。そういう話だ。

 僅かな利用者のために、無駄な印刷費を使い、事務職員や先生に過大な労働を強いる
 問題はここだ。
 お客様第一もいいが、それによって働く人々が疲弊しては何にもならない。今の時代、「従業員満足」を追求することは、ブランドイメージ向上に貢献することはあっても、棄損することはあるまい。

 長期的なブランドイメージ向上というのは、かなり重要なことなので、短期的な収支だけに目を奪われないほうがいい。増えすぎたサービスは大胆に整理しましょう。
 というのが今日の結論。

正則学園さん、世間を巻き込む問題ではないですよ

 正則学園高校(千代田区)の教員ら約20人が、毎朝行われている理事長への挨拶を拒否した。

 それがどうした。という程度の話なのだが、なにせ今、「学校のブラックネタ」は旬なので、新聞やネットニュースは喜んで飛びついた。

 なお、この件でお気の毒だったのは、港区にある正則高校で、ホームページ上で「正則学園高校と本校は別の学校ですのでご承知ください」とお知らせしなければならなかった。正則学園高校(千代田区)と正則高校(港区)は、創立者も法人も異なる全く別の学校である。

 正則学園高校では、教員が早朝6時半ごろから一人ずつ理事長に挨拶する慣行が、数十年来続いていたという。
 よくまあ、続いたものだ。

 私はこの学校には行ったことがないので、特に語るべきことはない。いろいろと、やむにやまれぬ事情あって、こうなったんだと思う。だが、一般論として言えば、この種の問題は、世間を巻き込まず、他者の手を借りず、自力で解決すべき問題である。外部の力を頼り、世間に訴えるのは、最終手段であるべきだ。

 ブラックと呼ばれ糾弾される企業がある一方、ホワイトと称賛される企業がある。同じ国の、同じ法律、同じ制度の下にありながらである。
 こうした事実が示しているのは、法や制度がすべてではないということだ。

 仮に、現在の「働き方改革ブーム」により、残業に関する規定が整備され、一部業務の軽減がはかられたとしても、法が示すのは基本的には最低ラインである。また、実際の運用は当事者に委ねられるのが普通だ。

 法や制度の改正に過度に期待を寄せるべきではない。
 他力本願では、楽しい職場、働き甲斐のある職場にはなりませんよ。

 
 今日の動画「働き方は自ら変えるもの」

後を追う者の有利と不利

 年が明け、中高入試は本番モードへ。
 よく「忙しくなりますね」と言われるが、私のような仕事をしている者は、本番では何もすることはない。暇ではないが、忙しさという点では、夏から秋までがピークだ。

 埼玉県の場合、1月10日が私立中学校の入試解禁日。
 私立中学入試市場は必ずしも順調に拡大しているとは言えず、県内私立中学校30校のうち募集定員を満たしているのは6~7校というのが、ここ数年の実情だ。
 
 ただ、これは止むを得ない。
 30校中、平成15年以降創立が7校、20年以降創立が8校、つまり半数が10~15年の歴史しかないのだ。
 着々と進学実績をあげ県内私立をリードする栄東と開智は、これらの学校より10年早く中高一貫をスタートさせている。1年や2年は差のうちに入らないが、さすがに10年の差は大きい。

 10年差は、10年後に追いつけるか。

 先行者が立ち止まって待っていてくれれば可能だが、先に始める学校は、そのことが、いわば体質になっている。止まるどころか、さらにスピードを上げるだろう。
 他校はまだやっていない?
 「じゃあ、やるのは今のうちだ」。これが先行者体質。
 「じゃあ、まだいい」。これが追随者体質。「様子見体質」と言ってもいい。


 戦いの結末は明白だ。
 差は縮まるどころか、ますます開いて行くだろう。

 先行者には失敗のリスクがつきまとう。誰よりも早く失敗を経験する。
 追随者は、その失敗を回避できるが、それをメリットと考えていいかどうかは難しいところだ。
 2番手もまだ危険だ。3番手も、4番手も。

 だが、後続になればなるほど、先を行く者が切り拓き、踏み固められた道を歩むのだから、苦労は少ない。
 それに慣れてしまったら…
 ということを考えると、失敗回避を追随者のメリットとばかり言っていられなくなる。

 
 今日の動画「入試で教育は変えられるか」

学校に人事部がないのはなぜだ

 突然だが、昌平高校(中高一貫)の話である。
 埼玉県以外の方に説明しておくと、いま埼玉県の私立の中でもっとも勢いのある学校はと問えば、10人中8、9人はこの学校の名を挙げると思われる学校だ。

 部活の強化を図っており、今冬も女子バスケットと女子駅伝が全国出場を果たしている。ラグビーと、3年連続でJリーガーを輩出しているサッカーは惜しかった。男子バスケ、男子バレー、陸上、テニスなど強豪部活が目白押しだ。近く野球も台頭してくるだろう。

 学業の方でも、数こそ少ないが4年連続東大に合格者を出すなど急成長。中学校はすでにIB(国際バカロレア)認定校になっており、高校の方も次年度からIBコースを開設する。
 詳しくは同校ホームページで確認してもらおう。
 昌平中学高校ホームページへ

 と、えらく持ち上げているが、この学校、私にとって顧客(お客様)ではない。春日部共栄・花咲徳栄・獨協埼玉・開智未来・叡明といった埼玉県東部地区の私立からは、いずれも仕事をもらったり、広告をもらったりしているが(そういう商売なので)、この学校だけはそのような関係がない。

 事情を知っている人からは、「その割に、年中昌平に顔を出しているではないか」と言われるが、それは、まだ50代半ばの城川雅士校長には、行く行くは埼玉県私立界を背負うリーダーになってもらいたいと願っているからだ。「先生応援」を使命と決めている私は、ビジネス上の顧客ではないが、埼玉県私立界の将来を思い個人的には応援するのである。

 同校が部活や進学で急成長を遂げているのは、優秀な生徒・選手を集めたから。そう、その通りだが、それは原因であり結果でもある。優れた先生・指導者を招いたから、そこに優秀な生徒や選手が集まった。先にやったのは先生・指導者を招くこと。
 つまり、昌平高校は「招聘高校」である
 と、このギャグを言いたくて、長い前置きを書いた。

 私は、しばしば言っている。
 「教育は人なり」、すなわち「教育は先生次第」と言っているくせに、人事部がないのはなぜだ。生徒募集や広報にかける熱意に比べると、あまりにも成り行き任せではないか。もっと採用に力を入れたほうがいい。

 AI時代になったら、ロボット獲得競争になるの?
 そうじゃないね。どこまで行っても、企業間の競争は人間の競争であり、その前提となる人材獲得競争。決まってるでしょう。
 学校の最大のリソース(経営資源)は先生なんだから、先生獲得競争に勝利した学校が強いのは当たり前ってこと。

 少子化はなにも生徒募集だけに影響するわけではない。人材募集にも影響する。少ない若年労働者を各業界で奪い合うのだ。
 教育界に必要なのは、人員確保ではなく人材確保である。
 敵は他校ではない。他業種・他業界である。
 生徒募集と人材募集を両輪で回して行かなければならない。

 今日の動画「合理化になじむ仕事なじまない仕事」
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梅野弘之

Author:梅野弘之
受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

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