中学校の先生は、受験にどう関わるべきか(前編)

 埼玉県内の中学校の先生が、受験指導から離れて行ったのは、平成4~5年の、いわゆる「偏差値追放」、「業者テスト追放」あたりからだろう。

 今の受験生には想像もできないだろうが、業者テスト(具体的には北辰テスト)が、中学校の授業時間内に、中学校の先生の監督の下で行われ、中学校の先生はその結果を見て、生徒・保護者に受験指導をしていたのである。
 
 さらに言えば、中学校の先生は、生徒の成績を私立高校に持って行き、今で言う、確約のようなものを取って来ることまでしていた。

 だから、当時の中学校の先生の力は圧倒的で、12月の三者面談は、親子で裁判の判決を聞きに行くようなものだった。
 「●●高校は危ないから、○○高校にしなさい」
 「ハ、ハッー」
 てなものである。

 じゃあ、塾の先生は、どうしてたの?
 いい質問だ。

 塾の先生は、いわゆる内申点も分からないし、模試の偏差値も分からないし、私立高校にも行ったことがないから、勉強を教えることはできても、受験指導はほとんどできなかった。どこを受けるかについては、塾の先生に相談する話じゃないでしょうというのが世間一般の考え方。

 ところが、前述のように、学校で業者テストを受けさせることが禁止され、中学校の先生が私立高校に事前に相談に行くことが制限されたため、徐々に、中学校の先生は受験指導から遠ざかって行き、塾が肩代わりするようになったというのがこれまでの流れ。

 今、受験生や保護者の間から、中学校の先生は頼りにならないという声が多く聞かれるが、こうした経緯を考えれば当然である。

 だが、それから20年。少し流れが変わって来そうなので、その話をしておかなければならない。

 県教育局や中学校校長会などが打ち出した新たな方針は、中学校の先生が、受験指導に積極的に関与せよというものだった。
 しかし、中学校現場にしてみれば、「いや、関与しようにも中学校は、何も資料を持っていませんよ。武器も持たずに素手で戦えというんですか」という話になる。

 そこで、学力検査の点数は、高校側から出身中学校に知らされるようになった。また、各地域で校長会テスト(いわゆる「公的テスト」)が行われるようになった。さらに、それらのテストでは偏差値も出せるようになった。中学校の先生が積極的に私立高校に出かけ情報収集をはかることが奨励された。

 というのが、現在の状況なのであるが、はたして、この方法は、受験生に対して、どんな利益をもたらすことになるのか、また、中学校の先生にどんな影響をもたらすのか、次回、そのあたりをかんがえてみたいと思う。

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