ポケットに手を突っ込んで歩かない理由

 年をとってくると、若い時には思いも寄らなかったことを考えたりする。

 ポケットに手を突っ込んで歩かない。
 これ何かは、最近になって心がけるようになったことだ。
 理由は、転んだ時に危ないから。

 外を走っているとき、稀に転倒するようになった。若い時だったら、ちょっとした窪みに足を取られても、簡単に立て直すことができ、転ぶことはなかった。今の倍くらいのスピードで走っていたはずだが、ちゃんとバランスを取ることができた。
 しかし、今は、ずっとゆっくりだが、それでも立て直しが利かず、前のめりに倒れることがある。

 走っているときは、基本的に両手フリーの状態だからまだいいが、歩いているとき、両手をポケットに突っ込んでいたら、すばやく防御の体制が取れない。だから、手を突っ込んで歩かない。今は寒いから、つい突っ込みたくなるが、手袋でそれを防ぐ。

 少し前までは、年寄りが家の中で転んで骨折なんて話を聞いても、そんなアホな、どうやって家の中で怪我すんだよくらいにしか思っていなかったが、「あるよな~、あるある」とすっごく良く理解できるのである。

 何で下りのエスカレータなんて要るんだよ、上りだけでいいだろう、というのは若いころの話で、下りこそ必要なんだと、今になって分かるのである。

 20年くらい前だったか、老人疑似体験というのをやったことがある。足におもりをつけて、肘・膝の関節にサポータをつけて、特殊なメガネとヘッドホンをつけてという、あれだ。
 目は見えない、耳は聞こえない、手足は自由に動かない、って、そんなことあるかよと思ったが、あるのだ。

 昔できたことができなくなる。
 もちろん、逆のことだってあるが、圧倒的にできなくなることの方が多い。

 中高生はいいな。
 昨日までできなかったことが、どんどんできるようになるんだからな。うらやましいよ。

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