完全無欠な選抜方法は存在しない

 人にはさまざまな能力がある。歌がうまいのも能力、絵が上手なのも能力、早く走れるのも能力。能力とは学力だけではないのだ。
 そこで、入学試験においても、学力以外の多様な能力を評価しようではないかという考え方が出てくる。

 面接や作文・小論文、討論(ディスカッション)、ディベート、発表(プレゼンテーション)、実技。こういったものを選抜の材料として加えて行けば、学力試験(ペーパーテスト)では分からない、さまざまな能力が見えてくるだろう。

 だが、これをやると入試はどんどん複雑で分かりにくいものになって行く。実施する側も、受ける側も、負担は増大するだろう。そして、おそらく評価者の主観が入り込む可能性が高まるだろう。
 「なぜ、あの子が受かって、うちの子が落ちたんだ」という不満が出やすいのは、こちらのタイプの入試である。

 多様な能力評価と対極にあるのが、学力試験(ペーパーテスト)一本の入試だ。点数の高い順ということにしてしまえば、単純で分かりやすいし、主観が入り込む可能性はきわめて低い。
 しかし、これだと生徒の能力を多面的に見ることができない。また、現実問題として学力試験の対象にならない教科がないがしろにされる恐れがある。

 結局のところ、どこからも、誰からも文句の出ない入試方法などないのだから、学力試験一本と、多様な能力評価の間のどこかに、「落としどころ」を見つけるしかない。

 受験生や保護者、また中学校や塾の先生方も、完全無欠な入試方法など存在しないことは先刻承知である。
 ただ、ルールは事前に、明快に、示してほしいと思っている。

 私が現役で教員をやっていた時代に比べれば、入試に関わる情報公開は、はるかに進んでいるが、まだまだ改善の余地は残っている。

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