アクティブラーニングへの誤解と偏見

 アクティブラーニングについて誤解と偏見がある。
 などと偉そうなことを言うと、そういうお前はどこまで正確に理解しているのかと突っ込まれそうだが、どうぞ突っ込んでいただきたい。

 アクティブラーニングの「アクティブ」は「活動」と訳さず、「能動(的)」と訳すほうが正しい理解を得やすい。「受動(受け身)」の反対の「能動」である。
 「活動」と訳すと、グループ学習や体験学習のようなものがイメージされやすく、それも一つの具体的手法ではあるが、そこに固執すると肝心な部分を見落としてしまう。

 アクティブラーニングを外形的な授業スタイルだけで見てはいけない。
 重要なのは、学ぶ姿勢が、受動的であるか能動的であるかである。
 だから、生徒が教室の中を移動しなくても、話し合いをしなくても、発表しなくても、能動的に授業に参加してさえいればアクティブラーニングは成立する。アクティブラーニングが目指すところは、そこのところである。

 大事なのは、身体を動かしているかどうかではなく、頭(脳)を動かしているかどうかである。能動的の「能」は、「脳」に置き換えることができる。

 探求型アクティブラーニングという手法がある。
 総合学習の時間などを使って行われるのがこの手のアクティブラーニングで、「被選挙権も18歳以下に引き下げるべきかどうか」みたいなテーマについて、調べ、話し合い、発表するというものだ。
 アクティブラーニングに誤解と偏見を持つ人は、もしかしたら、こうした手法に目を奪われ過ぎているかもしれない。

 しかし、こんなことを年がら年中やっている学校はないわけで、各先生が常日頃考えているのは、ふだんの授業をどうアクティブ(能動的)なものにするかである。
 生徒が何となく先生の話を聞き、ただ黒板をノートに写すだけの、ほとんど頭を使わない授業をどう改善するか。
 すなわち、ここで考えられているのは、知識活用型アクティブラーニングというべきものだ。
 知識を深め、定着させ、活用できるようにする。その手法としてアクティブラーニングはある。

 元埼玉県公立高校の教諭であり、アクティブラーニングの実践者、推進者である小林昭文氏の授業は、講義は最短時間で済ませ、あとは演習に取り組ませるというものだ。
 以前直接お話を聞いたことがあるが、私の記憶と理解に間違いがなければ、たしか大学受験のための知識を短期間で習得させる方法を考える中でたどりついた手法であると言われていた。

 埼玉県公立高校が取り組むアクティブラーニングの手法は、「知識構成型ジグゾー法」と呼ばれるものである。「知識」というワードが含まれていることに注意が必要だ。

 アクティブラーニングというと、知識は身に付くのだろうとか、知識をおろそかにしているのではないかと心配する人がいるが、いつの世の中でも、学問・学習はまず知識を身につけることだ。決まってるじゃないか。
 じゃあ、その知識をどうやって深めるか、定着させるか、活用できるようにするかという話になって、そこで初めてアクティブラーニングの出番となるわけである。

 学力が落ちると思ったら、誰がアクティブラーニングなんかやるものか。学校の先生は、そこまで「ノー天気」じゃない。

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