虎屋の羊羹は「裏切者!」という京都人の言い分

 虎屋の羊羹は東京銘菓であると思っている人が多いが、虎屋の発祥は京都である。
 現在の本店は、赤坂の東宮御所近くにあるから、誰だっそう思うよな。私も十数年前まではてっきり東京の老舗と思っていたが、やって来たのは明治維新の時だ。

 知り合いの京都人は、「虎屋は裏切者」とまで言っていた。御一新のとき、天皇陛下の下向に際し、京都を捨ててのこのこついて行った裏切者だというのである。ちなみに下向(げこう)とは、都から地方に下ることである。
 そういうわけで、間違っても、京都に行くときに、東京土産として虎屋の羊羹を持って行ってはいけない。

 その京都人は、今上陛下が退位された暁には、京に帰ってこられたらいいとも言っていた。陛下のお住まいはあくまでも京都で、東京にはお出かけになっているというのが京都人の感覚らしい。
 現在の皇居は徳川家の居城であったもので、そこに天皇が移り住まれた。元々の天皇のお住まいは京都御所であるというのが、その京都人の言い分なのである。

 すべての京都人がそうであるかは分からないが、「都=京都」に対し、「東京=地方」という思いを持っている人も多いようだ。
 「どこから来た?」
 「東京」
 「あっ、田舎からね」
 まあ、千年の都から見れば、東京はたかだか150年の都だから、京都人の言い分も分からなくはない。

 今上陛下が上皇(じょうこう)となられた後、常時京都に住まわれることは難しいが、京都に帰って来られる(京都人曰く)機会も増えるだろうと地元では期待が高まっているようだ。天皇家ゆかりの寺社が数多ある京都だから、いいかもしれない。

 そういうことになったら。
 そうだ、京都行こう。

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