なぜ県外私立に通うと補助が出ないのか

 政治ネタが続いたので今日は教育の話。

 政令市であるさいたま市の教育長に細田真由美氏が就任。細田氏はこの3月まで大宮北高校校長を務めた。
 県の教育長には小松弥生氏が就任したばかりだから、今月、期せずして二人の女性教育長が誕生したわけだ。

 
 ところで、6月県議会が開会中である。
 公明党の萩原一寿議員(公明・川口市)が、「県は県内私立高校に通う生徒に対し、父母負担軽減事業を拡大したが、県外高校に通う生徒は対象外だ。同じように県税を払っているにもかかわらず公平性を欠く。県外私立に通う生徒にも父母負担軽減を行うべきではないか」と質した。

 これに対し、上田清司知事は、「関東各県は県内の私学振興という観点から県外生には補助を行っていない。本県も厳しい財政事情を踏まえ県外生への補助を行っていない。限られた財源をどこに重点を置きながら県内私学の振興を図って行くべきか、重要で悩ましい問題だ。県内私学にどのような影響が出るかも研究しなければならない」などと答えた。

 筋論としては萩原議員が指摘する通りだろう。同じ県民なのに、県内に通うと補助がもらえるが、県外(主に東京)に通うともらえない。不公平である。
 しかし事は政治の話であるから、正論かつ現実的な結論を導かなくてはならない。ここが上田知事も言うように悩ましいのである。

 財政上の問題はとりあえずおくとして、上田知事は県内私学の振興と言っているのだが、これはどういうことか。

 教育関係者であれば先刻承知のことだが、歴史の浅い埼玉県内私学は、都内私学と比べ、常に弱い立場にあった。
 多くの受験生が、県内私学を第一希望にしたり、公立希望者が併願先として県内私学を第一に考えるようになったのは、ごくごく最近のことなのだ。
 つまり、県内私立は、都内私立と互角の戦いができるほどには育っていないので、多少のアドバンテージを与えることもやむを得ないのではないかというのが上田知事の立場だ。

 私立なのだから自由競争させればいいではないか。
 同じ条件だったら、都内私立に通う生徒が増えるかもしれないが、それが受験生・保護者の選択であり、結果として生徒が集まらず、経営困難に陥る学校が出てきても仕方ないではないか。
 これも正論なのであるが、もしこれが現実となったら、これはこれで大変困った問題を引き起こすのである。
 
 県公立の総定員は約4万人だが、これに対し、希望者は毎年4万6千人ほどいる。つまり、少なくとも6千人は結果として私立という選択をせざるを得ないのが実情だ。すなわち、県公立と県内私学が力を合わせて高校進学希望の需要にこたえているのだ。

 ならば希望者全員分の受け皿を県公立として用意すればいいではないかと意見も出て来ようが、莫大な予算を要するので現実的には不可能だ。だから、今はむしろ減らす方向に向かっている。

 では、それは無理としても、前述したように、都内私学や近県私学に通うという手もあるではないかという話だが、それによって埼玉県内私学が衰退してしまったら、われわれ埼玉県民は、高い交通費と長い通学時間をかけて遠くの学校に通うことを余儀なくされるわけで、それでいいのかとなる。

 正論をぶつけ合うだけでは解決に至らないので、限りある財源の中で、どこに落としどころを見出すかという政治的な解決を目指すしかない。最終的な結論を出すのは、知事でも議会でもなく県民である。

 結局、政治ネタかよ。

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