いらぬお節介を焼くのが先生という仕事

 ずいぶんと昔の話である。
 と言っても、すでに教員を辞めサラリーマンも辞め、自分で会社を始めたころの話だから、15年か20年ぐらい前だったと思う。

 仕事である公立高校を訪ねた。用件は忘れた。
 その学校は、問題山積で、いわゆる指導困難校と呼ばれていた学校だ。
 待てよ。思い出した。たしか進路講演会をやったんだ。そうだそうだ。

 校長先生から、欠席が多く勝手に早退しちゃう生徒もいるから人数が少ないだろうということと、聞く態度が悪いけど残っているだけましな生徒たちだから我慢してくれと事前に言われた。
 まあ、こっちも素人じゃないから。大丈夫ですよ。
 と言ったものの、集まった生徒を見て仰天。当時から茶髪がどうのこうの言われていたが、そんなもんじゃない。金髪もいれば、グリーンやイエロー、紫までいる。ここまで来ると逆に痛快だね。

 話した内容は忘れたが、イェーとか叫びながら結構ノリは良かったように記憶している。

 さて、本題はここからだ。
 私が一番ビックリしたのは生徒じゃない。その場に先生がいないことだ。もちろん、全然いないというわけじゃない。3~4人にはいる。でも、クラス数から考えたら担任、副担含めて10人以上いないと計算が合わない。

 この学校には講演も含めて前後4時間以上滞在したのだが、先生を見かけないのだ。休み時間も昼休みも、とんと先生の姿を見かけない。
 先生、どこ行った?

 後で校長先生に聞いたら、「授業時間以外はみんな職員室にこもっている」ということだ。
 なぜか。
 生徒と関わりたくないからだ。さすがに授業はやるが、それ以外はなるべく生徒を避ける。

 たしかに、職員室を一歩出たら、金髪はいるは、ピアスはいるは、超ミニはいるは、大変なことになっている。ちょっとでも注意しようものなら「ウッセー」とか言い返されるし、「ざけんなよ~」とかすごまれる。かと言って、見ぬ振りすればさらに生徒になめられる。ならばいっそ生徒のいないところに避難しよう。

 これじゃ学校が良くなるわけはない。ということでこの学校はその後廃校になった。

 私自身、そこまでの学校に勤務した経験はないので偉そうなことは言えないのだが、生徒と関わるということが先生として一番大事なことなんじゃないかと思う。とにかく関わる。うるせえと言われても、余計なお世話と言われても、接近戦を挑む。もともと、いらぬお節介を焼く仕事なのだ。

 昔のような荒れた学校は少なくなったが、荒廃していようが、平穏であろうが、先生がいちいち関わるのが学校という世界なのである。今風に言えばコミュニケーションということなのかな。

 先生の仕事は授業だけじゃないぞという昨日の話の続きだ。

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