学校と塾とで異なる「教務」という言葉の意味

 突然だが、「教務」という言葉(用語)について考えてみよう。
 私は、元公立高校の教員で、後に民間人となり塾関係者ともお付き合いするようになった。

 学校の先生も、塾の先生も、共に「先生」と呼ばれる職業であるが、そこで使われている用語の中には、同じ用語でも意味合いが違うものがある。その最たるものが「教務」という用語である。

 ある時、塾の先生が「仕事の効率化を図ることにより、先生方が『教務』に全力を傾けられる体制を作りたい」と言うので、一瞬「あれれ?」と思った。
 教務は大事だけど、それに全力っていうのはまずいでしょう。

 私の知っている「教務」というのは、カリキュラムを編成したり、年間行事予定や時間割を作ったり、指導要領などを管理したり、その他諸々の事務的仕事。企業で言えば、庶務や総務といったところ。
 要するに、進路指導部や生徒指導部がやらない仕事は、とりあえず教務部ね。みたいな感じ。
 そんな雑多なことを任される部署だけど、校内的な位置づけは結構高くて、校長・教頭に次ぐポジションは教務主任というのが暗黙のお約束。

 そんなわけだから、私にとっての「教務」は、生徒を直接指導することのない仕事なのだが、塾の先生の言う「教務」は、それとは逆に、生徒を直接指導する仕事、すなわち「授業」を主に指していたのである。

 まあ、業界が違えば、使う用語もその意味も違って当然だから、どっちが正しいとかいう問題ではない。


 教務の話題をもう一つ。
 私立学校では、生徒募集や入試、広報などを担当する独立した部署があるのが普通で、大抵は専任スタッフがいる。
 ところが公立学校ではこれに相当する独立した部署がない。例外もあるが、ほとんどの学校では、教務部の中の一部門、一担当として生徒募集や広報がある。私立と公立の生徒募集というものの位置づけの違いでそうなっているのだろう。

 塾の先生方が、何かの事情で、入試や説明会などについて学校に問い合わせをする場合、私立なら「入試担当の先生」、「募集担当の先生」と言えば、すぐにしかるべき先生に取り次いでくれるが、公立だと電話を受けた事務職員の方が、「はて、誰に取り次いだものか?」と迷ってしまう。

 一番手っ取り早いのは「教頭先生、お願いします」で、大方これで解決するのだが、なにせ教頭先生は忙しい。ほとんど過労死寸前だ。そこで、次の手段として、「教務主任の先生、お願いします」を使う。公立学校において教頭先生に次いで何でも知っていて、何でもやっちゃうのは教務主任である。

 以上、あくまでも私自身が見た聞いた範囲であるが、教務にまつわる話であった。

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