見せることによって「させる」という教育法

 「範を垂れる」(はんをたれる)という言い方がある。
 熟語にすると「垂範」(すいはん)。お馴染み「率先垂範」の「垂範」である。

 先日、開智未来中高の授業見学のことを書いた。その中で、中学1年生が学校紹介のスライドを作り、発表していたことも書いたと思うが、私は、かれらの発表の中に登場したある言葉が強く印象に残っている。

 この学校では、早朝(始業前)アカデメイアという大教室で生徒たちが自習をする。発表では、これがわが校の特色だと紹介しているわけだが、ここに「校長先生も一緒に勉強しています」というコメントが入るのだ。印象に残っているというのはここである。

 まだ中学1年生である。先生が勉強する姿がよほど珍しかったのかもしれない。しかも先生の中でも一番偉い校長先生が目の前で勉強しているのだから。

 私も元は教育者であるから、関根均校長のねらいはよく分かる。校長は、あえて「見せて」いるのである。自身の勉強なら校長室でやれば済む話だ。それをわざわざ生徒の前でやってみせる。
 教室を見回るのでもなく、質問を受けるのでもなく、ひたすら勉強する姿を見せる。

 生徒が嬉しそうに、そして、ちょっと自慢気に、「校長先生も一緒に勉強しています」と発表しているところをみると、この作戦?は、見事に成功を収めていると言えるだろう。

 うちの子は勉強しないと愚痴をこぼしているお母さん方。年がら年中「勉強しろ」としか言っていないお父さん方。
 勉強する姿を見せるという教育法もあるんですよ。
 生活態度や価値観、ものの見方考え方、こういったものは、かなりの割合で子どもにコピーされますよ。

 目の前の子ども姿は、縮小された、あるいは拡大された自分自身の姿かもしれない。
 だから、子どもたちに「させたいこと」があるなら、「垂範」すればいい。

 言うことによって「させる」。
 見せることによって「させる」。
 結局は、「させる」ように仕向けるわけだが、見せることによって「させる」方法は、なかなか効果的なので、ぜひ試してもらいたい。

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