埼玉県公立入試、2019年度から追試を導入

 早くも再来年(2019年度)の埼玉県公立入試日程が発表された。
 現中2が受ける試験だ。
 学力検査は2月28日(木)、実技・面接が3月1日(金)、合格発表が3月8日(金)、このあたりまでは例年通り。学力検査が2月になったのは、単に曜日の巡り合わせによる。

 目を引くのは、「急病等やむを得ない事情により、学力検査を受検できなかった志願者に配慮し追検査を新たに実施する」とされている点だ。追検査は3月5日(火)で、合格発表は本検査と同時に行われる。

 追試の件が、注目され始めたのは昨年のことである。それ以前から実施していた自治体もあるが、埼玉県などは実施していなかった。

※面倒な人は、以下はスルーしてください。
平成28年3月9日、衆議院文部科学委員会において、次のような質疑があった。(ソースは衆議院の議事録である)

浮島智子議員(公明党)「(前略)神奈川県の相模原市で、2月の18日、インフルエンザで体調を崩した学生(筆者注:中学生は「学生」ではなく「生徒」と呼ぶのが正しい)がそのまま高校受験をされました。そして、そこで十分に力を発揮することができず、落ち込んでしまったその学生は、家に帰ってきて命を絶ってしまいました。そして、その後、お母様も後を追って命を絶ってしまったという事件が起こってしまいました。そこで、まず高等教育局長にお伺いをさせていただきたいと思います。例えば大学の入試センター試験では、受験生の受験日直前にインフルエンザに罹患した場合、どのような対応をとられるのか、お伺いさせていただきたいと思います」
常盤政府参考人「大学入試センター試験におきましては、インフルエンザ等を含む病気や負傷により試験を受験できない者などに対して、本試験とは別日程、原則といたしましては本試験翌週の土日で追試験を実施しているところでございます。(後略)」
浮島智子議員「(前略)今回の件は、もし高校受験でも追試験が認められていたら防げたのではないかと私は思っております。そこで、今回の件のように、高校受験において受験生が試験の直前にインフルエンザに罹患した場合は一般的にどのような対応になっているのか、また、実際にインフルエンザに罹患して別室で受験を受けた受験生はどのくらいいるのか、局長にお伺いをさせていただきたいと思います」
小松政府参考人(筆者注:小松親次郎・現文部科学審議官。当時は初等中等教育局長。氏の配偶者が小松弥生・現埼玉県教育長)「高等学校の入学者選抜に関する実施方法等につきましては、都道府県教育委員会等の実施者がそれぞれの判断で決定することになります。そういった中で、都道府県教育委員会等によるインフルエンザに罹患した生徒への対応について、詳細なところまでは把握できておりませんけれども、私どもが都道府県等から伺っているところ、把握しているところを申し上げますと、お尋ねのように、まず一般的に、全ての都道府県において本人の申し出による別室受験は実施されております。それから、都道府県の中には、追試験を行う、あるいは前期、後期に別日程で複数受験機会を確保するといったような取り組みが行われているということでございまして、実施者の判断において受験機会の確保に努めていただいているものというふうに承知をしております。なお、各都道府県において具体的に別室受験等を行った人数等については、申しわけございませんが、把握できておりません」
浮島智子議員「そこで、馳大臣にお伺いさせていただきたいと思いますけれども、今御答弁ありました、把握ができていない。高校受験は都道府県の教育委員会が行うことであるため、文科省としては一律に仕組みをつくって整備をしていくということは難しい側面もあると思います。でも、まず各教育委員会の実態を把握し、直前にインフルエンザに罹患した受験生の特別措置のあり方について関係者や有識者で検討すべきだと思いますけれども、御見解をお伺いさせていただきたいと思います」
馳浩文部科学大臣「検討いたします」
浮島智子議員「ぜひとも検討していただき、そして、このようなことが二度とないようにしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。(後略)」
※面倒な人は、以上をスルーしたと思います。それで結構。


 文科省は国会での質疑を受けて、28年5月~6月、公立高校入試がある66都道府県市を調査した。
 別室受験は64都道府県市が実施しており、昨年入試では約2700人が別室受験した。別日程で追試を行ったのは11府県市で、昨春入試では124人がインフルエンザを理由に追試を受けた。

 文科省はその後、各都道府県市の教育委員会に対し、28年10月の通知で、すでに追試を実施している自治体の例を参考に、インフルエンザに罹患した生徒の受験機会を確保するように要請した。
 ただ、これは時期が時期なので、急な対応は難しかったと考えられる。
 
 国会でのやりとりにもあるように、高校入試の日程や実施方法については、都道府県等の教育委員会が決めるべきものなので、文科省の命令で一律に実施させることはできない。だから、「通知」という形をとっている。「通知」は「お知らせ」である。

 が、「通知」という形であっても、文科省の意向なのであるから無視するのは難しい。加えて、世の中の風潮というものがある。
 埼玉県教育委員会としても、文科省の意向や世の中の風潮に忖度し、今回の決定に至ったものと思われる。

 追試を行っていなかった自治体は、次のような理由をあげていた。
 「日程的な余裕がなく実施が困難」が43%で最多。「試験当日の別室受験で受験機会が確保できる」と、「本検査と追試の難易度に違いが生じ、公平性の確保が難しい」がそれぞれ22%だった。

 日程はたしかにきつくなる。
 追試該当者が出た学校では、一方で採点・集計作業を進めながら、もう一方で追試を実施することになる。
ただ、追試該当者はそれほど多くないと予想されるので、それに割く人員も限られるから、何とかなりそうだ。

 本試験と追試験の難易度に差が出る。
 受験生側の関心は主にここにあるだろう。
 インフルエンザに罹患してもチャンスが与えられるのは朗報だが、異なる問題で合否を決めることに対しては、不公平感がぬぐえないだろう。

 この点について私は、大局的に見れば、それほど大きな問題にはならないだろうと見ているのだが、長くなったので、続きは明日にする。

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