三重県公立高校が「全国募集枠」を設定、31年度から

 三重県の県立高校が再来年(平成31年度)の入試から、一部の学校で県外生の受験も可能な制度に変更する模様である。

 県立学校が他県の生徒を受け入れていいのかという議論は、当然起こってくるだろう。

 現在でも「隣接県協定」を結ぶことで、相互に他県生を受け入れる制度が機能しているが、これは、もっぱら生徒の通学の便等を考慮したものであって、三重県の制度とは主旨が異なる。

 県を越えての入学は、私立ではよくあることだが、公立高校では、前述の特別な事例を除けば原則認められていない(一家転住の場合はもちろん可)。
 三重県では、すでにスポーツ強豪校において、事実上の越境入学が行われていた。つまりルール違反。
 そこで、検討の結果、現状を追認する形で、他県生の受験を可能にする制度に変更したものと思われる。ちなみに、三重県県教委では、現状追認ではないと言っている。

 さて、こうした「全国募集枠」を設けることは、地方公立高校にとって得なのか損なのかという話である。

 主にその県の税金で運営されている県立高校に、納税者ではない他県の生徒を受け入れるのはいかがなものかという異論がまず出てくるだろうが、授業料無償化を適用しないとか、少し余計に入学金や授業料を納めてもらうとか、お金の問題はお金で解決するという方法がありそうだ。

 なぜ今「全国募集枠」なのか。
 三重県では、スポーツ強豪校など25校で、「全国募集枠」を設けるとしており、同県教育長は「スポーツの越境入学から始まった問題だが、結果としては学校や地域の活性化を考える良い機会になった」と述べている(伊勢新聞記事より)。

 なるほど、私立と同じことをやろうというわけか。
 とすれば、その瞬間、公立の負けである。特待生やスポーツ奨学生で全国から有望選手を集めている私立に勝てるわけがない。

 ただ、当初三重県だけが「全国募集枠」を設けているという状態であれば、物珍しさも手伝って一定の受験生を集められる可能性はある。
 しかし、ことがうまく運べば、近隣府県や全国の都道府県が同じような制度を設けるかもしれない。
 他県から受けていいが、他県を受けてはいけないとも言えないだろうから、そうなると、流入だけでなく流出も考えなければならず、戦いの相手が全国の公立高校ということになる。

 普通に考えれば、弱小勢力は保護主義の下で戦ったほうがいい。流入がない代わりに流出もないという状況のほうがリスクは少ない。

 以上のことから、「全国募集枠」の設定は、公立高校にとって起死回生の策とはならないのではないかというのが、今のところの私の考え方である。

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