大学改革に必要なのは入試だけではない

 大学には「教育力」が求められる。が、これは小中高でも一緒だ。
 小中高にはなくて大学のみに求められるのは「研究力」である。

 本来は「研究力」あっての大学なのだが、どうも近頃は「教育力」ばかりが求められる。これはつまり、大学の「小中高校化」である。

 たとえば、大学がいい会社に就職させますと言っているのは、高校がいい大学に合格させますと言っているのと同じだ。
 進路指導部、すなわち就職指導部の次に来るのは生徒指導部だ。大学生は生徒とは呼ばないから学生指導部か。
 そのうち頭髪・服装検査や持ち物検査が始まることだろう。

 昔、小学校で獲得していた知識や技能が中学校に先送りされ、中学校のものが高校へ、高校のものが大学へと順送りになり、結果、大学が最後のツケを払う羽目になった。
 現在の大学入試改革を考える際には、こうした視点も欠かせないのではないか。
 ちゃんとやることやってから大学に来いよ。

 その気持ち分からんでもない。
 好きな研究に打ち込めると思って大学教授になったのに、補習はやらなきゃいかん、学生募集のために高校を回らなきゃいかん、下手したら保護者面談までさせられる。これじゃあ高校教員と変わらんじゃないか。一体、いつ研究するんだよ。

 しかし、大学教授の本当の災難は、まだこれからだ。国は授業料をタダにして誰でも大学に入れるようにしようとしているのだ。大学の「小中高校化」はこれからなんだよ。好きな研究なんて夢のまた夢だ。

 現在進められている大学入試改革は、「大学教育を変えましょう」、「高校教育も変えましょう」、「ならば、この二つを接続する大学入試も合わせて変えましょう」というものだ。
 中央教育審議会の答申ではこれを「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革」と言っている。

 「教育を変えましょう」だけだったら、これほど世間の耳目を集めることはなかったと思うが、「大学入試も変えましょう」となると、注目度は一気に高騰する。

 入試はたしかに切実な問題ではあるわけだが、文部科学省の大学改革プランの中には、「大学教育の質的転換と大学入試改革」と並んで、「研究力強化:世界的な研究成果とイノベーションの創出」というのもあるわけで、ここにももう少し注目が集まってもいいように思う。

コメントの投稿

非公開コメント

main_line
main_line
プロフィール

梅野弘之

Author:梅野弘之
受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
当ブログを訪問された方
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード