競争入札は完全無欠な制度ではない

 建設工事の入札において、なぜ談合がなくならないのか。
 企業側のモラルの問題もあろうかと思うが、競争入札制度というものが、必ずしも完全な制度ではないからかもしれない。それは、抜け穴があるとかそういう話ではなく、企業側にメリットをもたらさない仕組みだからという意味においてである。

 競争入札制度は、発注者である役所にメリットをもたらす。役所が使う金の出どころは税金であるから、これはとりもなおさず納税者のメリットということになる。
 よって、受発注の公平性や透明性を担保する競争入札制度は、なくてはならないものである。

 だが、発注者にさえメリットがあれば、受注者にメリットがなくていいのかと言えば、そんなはずはなく、仕事を請け負う企業側にもメリットがなくてはいけないわけで、両方が実現できて完全な制度ということになる。

 私は以前、公立高校の学校案内パンフレット制作を仕事にしていた時期がある。現在は、ほぼその仕事から撤退している。理由は簡単で、利益が出せなくなってきたからだ。
 パンフレット制作に関しては、かつては事実上の随意契約(ずいいけいやく)も可能だったが、その後、競争入札制度に変わった。結果、落札価格が非常に低くなり、当社にとって「うまみのある仕事」ではなくなった。

 パンフレットは量産品ではなく、オーダーメイドだ。他校と同じようなものを作ったのでは意味がない。もちろん、そんなことはお構いなしという学校もあるが、公立にだって、そこにこだわりを持つ学校は少なくない。

 そこで、当社としては、腕の立つデザイナーやコピーライターやカメラマンを動員し、デザイン性やメッセージ性を重視したパンフレットを提案することで、受注を増やして行った。
 難点は制作費が嵩むことである。
 だが当時は、県から出る公費に加え、学校独自の予算(PTA・後援会費その他)を合わせて支出することも可能であった。

 競争入札制度に変わってからは、価格のみの競争になった。受注したい企業は、価格見積のみを提出する。そして、一番低価格だった企業が落札する。提案の中身は評価対象外だ。仮にもデザイン性やメッセージ性、加えて募集を成功に導くためのアフターフォローを「売り」にしてきた当社にとって、これは大いに不利な仕組みだ。

 オーダーメイドなんだから、デザインを含めたコンペ(競争)にしてくれないかなと思うが、パンフレットごときでそこまで煩雑できるかという考え方にも同意できるし、公平性や透明性の担保という点について疑問が残るのも確かだ。
 そこで、公立市場からは静かに退場。
 それでも、「どうしても」と頼まれるケースもあるので、「赤字覚悟の大出血サービス」で対応するが、1~2校が限度だ。

 最後は愚痴みたいになってしまったが、競争入札制度は必ずしも完全無欠な制度ではないというのが私の考えだ。まだまだ改善の余地はある。
 もちろん、制度に問題があるからルール違反してもいいとは言っていないわけで、そこは誤解のないようにしていただきたい。

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受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

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