数字(視聴率)のためなら事実を捻じ曲げるテレビ

 正月の3日だったか、TBSで「消えた天才 一流アスリートが勝てなかった人 大追跡」という番組をやっていた。
 MCはバナナマン。

 スポーツ選手(最近はアスリートと言ったほうがいいのか)には、ピークというものがあって、早熟タイプは小中や高校生の頃から活躍し、晩成タイプは大学や社会人になってから活躍する。
 だから、今を時めくトップアスリートも、昔は勝てなかった相手がいるのは当然なのだが、桐生祥秀が絶対勝てなかった相手なんて言われると、誰だっけと気になってしまう。だからまあ、企画としては面白い。

 最後に登場したのは、「プロ野球史上最高の天才選手!」
 史上最高の天才って誰だろう?
 が、すぐに野村克也氏と古田敦也氏の映像が流れたので、ピンと来た。ヤクルトの伊藤智仁投手だ。
 元プロ野球ファンだからな。150㎞超のストレートと、どうやったら打てるんだいというような高速スライダーは今でも忘れられない。

 故障で選手寿命は短かった。それは当時監督だった野村克也氏の酷使が原因であり、そのことを25年経った今、謝罪するというのが番組的ストーリーだ。

 ひどい内容だ。嘘ばっかり。
 意図的なのか、制作者が無知なのか。

 まず、野村監督が周囲の反対を押し切り、一存でドラフト1位に指名したということになっていたが、その年のドラフトは、野手なら松井秀喜、投手なら伊藤智仁というのは、衆目の一致するところで、当たり前の選択だ。実際、伊藤智仁は3球団が競合した。

 高校を出て社会人野球で実績のあった伊藤智仁は、開幕から一軍ローテーションに入り大活躍した。しかし、連投に次ぐ連投で肩をやられ、前半だけで7勝2敗の好成績を収めたが、以後、戦列を離れた。
 ここはその通りだ。

 だが、番組では、その後復活することなく、たった2ヶ月半で選手生命を終えたという作りになっていた。
 嘘つくなよ。
 伊藤智仁は、ちゃんと復活したよ。新人から4年後、カムバック賞も獲ってる。実働7シーズンと短かったが、決して2か月半で消えたわけじゃない。引退後は、去年までずっとヤクルトのコーチをしていたよ。野球界に残っていたよ。
 なのに、番組では、それには一切触れず、あたかも2か月半で消えた悲劇の天才という扱いだ。

 気をつけていないと、テレビというのは、こういう出鱈目を平気でやっちゃうんだね。
 私はたまたま、かつてプロ野球ファンだったから、この番組の嘘に気づいたが、知らない競技や、知らない業界の話だったら、すっかり騙されてしまっただろう。

 視聴率のためなら、事実を隠し、真実を捻じ曲げるのも平気。これがテレビの正体。そうは思いたくないけどね。

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受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

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