採点基準の話のついでに問題にもツッコミを入れる

 埼玉県公立入試は2日目に実技や面接を実施する学校がある。
 昨日の学力検査の結果を自己採点している受験生も多いことだろう。それが普通だ。「終わったことは関係ねえ」と言ってる子は先が思いやられる。

 県教委は即日、問題と正答及び採点の手引きを公開している。
 採点の手引きは、先生たち用の手引き(ガイドライン)であり、私が教員だった昔は、マル秘か取扱注意であった。
 先生たちは、手引きを参考にしつつ、さらに学校としてのより詳細な採点基準を定めた後、採点作業に入る。

 受験生が自己採点する場合は、公開されている採点の手引きを参考に、「減点法」により採点して行く方法を勧める。
 採点の手引きに「内容に応じて部分点を認める」と書いてある問題以外は、基本的に〇か×のどちらか、すなわち3点の問題だったら3点と0点のどちらかしかなく、中間の1点や2点はないということだ。

 減点法の典型例が国語の大問5条件作文だ。採点の手引きにも「16点からの減点法で行う」と書いてある。
 ここまで書いてあるからプラス何点とか、これが書けているからプラス何点とかいう「加点法」ではなく、この条件を満たしていないからマイナス何点、ここが違っているからマイナス何点という、満点から引き算して行く方法である。

 減点法で行うと明記されていなくても、「内容に応じて部分点を認める」問題の採点は、基本として「減点法」の考え方に立って行われるので、自己採点もその方法に沿ったほうがいい。

 たとえば、社会大問1問4に「資料1と資料2から読みとれる冷帯(亜寒帯)と寒帯の樹木の生育の違いを、気温と関連づけて書きなさい」という問題がある。
 配点は5点。正答例は「冷帯では、夏には気温が上がるため樹木が育つが、寒帯では、夏でも気温が上がらないため樹木は育たない」となっている。

 この問題のねらいを考えてみよう。
 教科書には、このように書いてある。
1 世界には「森林の育つ気候」と「森林の育たない気候」がある。
1 それは「気温や降水量」に違いによる。
2 乾燥帯に森林が育たないのは一年中降水量が少ないからであり、寒帯に森林が育たないのは、一年中気温が低いからである。
 
 では、以上を踏まえ、昔を思い出して採点基準を考えてみる。
 まず、「冷帯=樹木育つ、寒帯=樹木育たない」という内容が書かれていないものは、問いにまったく答えていないのでマイナス5点。冷帯と寒帯を取り違えているものも同様。
 樹木の生育については正しく答えているが、問題文に「気温と関連づけて」と条件をつけているので、気温に触れていないものはマイナス3点(以上)。
 「寒帯では一年中気温が低いので樹木が育たない」など、どちらか一方にしか触れていないものは、「違いを書きなさい」という問題の主旨に正しく向き合っていないのでマイナス2点。
 降水量について書いたものは、その内容が正しくても「気温と関連づけて」という条件に合わないのでマイナス1点。
 「夏には気温が上がるため(夏でも気温が上がらないため)」は、「夏の気温が高いため(夏の気温が低いため)」でも可。寒帯については「夏でも10℃以下」、「一年を通じて気温が低い」なども可。
 だいたい、こんな感じで採点基準が作られるんじゃないか。

 話のついでだが、この問題の資料2、すなわち「寒帯にみられる景観」の写真はいかがなものか。トナカイ?のような動物(家畜)が写っているではないか。草食動物がいるということは、草は生えるということだ。写真を見た瞬間、ステップ気候かと錯覚してしまったくらいだ。これを見た受験生が「寒帯では樹木は育たないが草は育つ」と答えてもバツにはしにくい。学校でも、「夏の間にわずかにコケが生える程度」と習っているはずである。よって寒帯の景観を見せる写真としては不適切であると指摘しておこう。ツンドラ気候(ET)がよく分かる湿地帯にコケが生えている写真はなかったのか。


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受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

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