英作文は「感想文の世界」から「論文の世界」へ

 これは英語を超えた英語の問題である。
 私はそう思ったんだが、塾の先生方、埼玉県公立高校入試・英語「学校選択問題」の英作文を見て、どう思いました?

 【問題】
 次のAI(人工知能)についての英文を読んで、あなたの考えを(条件)と(記入上の注意)に従って、40語以上50語程度の英語で書きなさい。
 Today AI is used for a lot of different purposes, such as computers and machines. Some people say that AI should be used more. What do you think about this idea?
 (条件)賛成か反対か自分の立場を明らかにして、その理由が伝わるように書きなさい。
 (記入上の注意)省略

 この問題のすごいところは、英文で「AIは、コンピュータとか機械とか、いろんな目的で幅広く使われています」と言っているのみで、そもそもAI(Artificial Intelligence)とは何かという点については一切説明していないことだ。つまり、「それは当然知ってるでしょう」というわけだ。

 その上で。
 「Some people say that AI should be used more. What do you think about this idea?」
(もっと使われるべきだという人もいるが、あなたは、その考えについてどう思う?)と意見を求めてくる。
 「これだけ話題になっているんだから、『未来社会とAI』とか『AIと人間の関わり』とか『AI社会の課題』とか、そういうことは一度や二度、考えたことはあるでしょう」というわけである。

 ここまで英語力ほとんど関係なし。

 ふだん学校で、社会や理科や国語や技術家庭やその他の時間で、このような問題について考えたことがあるか。意見を発表し議論したことはあるか。レポートは書いたことがあるか。そういう前提がある生徒ならば、後はそれを英語で述べるだけで、さほど難しい問題ではない。
 だが、一度もそういうことを経験していない生徒は、突然の問いかけに困惑したであろう。

 学力検査問題(標準的な問題)の英作文が「感想文の世界」であるとすれば、学校選択問題の英作文は「論文の世界」である。
 単に英単語や英文法を知っているというだけでなく、社会(世の中)に目を向け、さまざまなテーマについて自分なりに考え、意見や主張を持つということをしておかないと、こうした「英語を超えた英語の問題」には対応できない。

コメントの投稿

非公開コメント

No title

入試分析のセミナーなどに出ていると、こういった問題の変化があるかもという話題が出てきます。
机に向かって学習するだけではなく、多様な話題に触れる、多様な視点をもつ人を育てることが必要なんだな、と感じます。
プロフィール

梅野弘之

Author:梅野弘之
受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
当ブログを訪問された方
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード