学力の低い学校の先生は学力が低い、わけではない

 公立高校教員の人事異動の話(埼玉県限定)。

 「偏差値の高い学校の先生は優秀で、偏差値の低い学校の先生は出来が悪い」と、本気で思っている人が塾関係者の中にもいるので、実際のところを教えよう。
 まあ、教えようなどと偉そうな言い方をしているが、実は新聞を見れば誰でもわかることである。

 一例として、去年の春(平成29年4月)、県立浦和に異動になった先生方の前任校を見てみよう。
 川越、久喜工業、新座、越谷東、川越初雁、川口青陵。
 進学校と言えるのは川越だけで、あとは学習・進路指導よりも生活指導の方が大変だと思われる学校だ。昨日まで使っていた教材がそのまま使えそうなのは川越に移った先生だけ。

 実は、このような異動は埼玉県では一般的なもので、進学校から進学校、伝統校から伝統校という異動は滅多になく、「進学校から指導困難校」、あるいはその逆に「指導校難校から進学校」とういう異動が頻繁に行われているのである。

 なぜ、このような人事が行われるか。
 これが公平な人事だから。

 言って分からない生徒や言っても聞かない生徒を指導するより、言えば分かる生徒や言わなくてもやる生徒を指導する方が、数倍楽でしょう。
 進学校に行けばハイレベルな授業が求められるけど、その分、頭髪がどうの、スカート丈がどうのといった指導からは解放されるし、毎朝通学路に立って登校指導する必要もないし、警察から呼び出しくらったりすることもない。数倍楽というのはそういう意味。

 一方で精神的にすごく楽な仕事をしている先生がいて、もう片方に精神的にヘトヘトになっている先生がいたとしたら、それは不公平なので、みんなで苦労は分かち合おうという考え方は、それほど間違ってはいない。教員としての幅を広げるためにも、いろんなタイプの学校を経験したほうがいい。

 ただ、つい昨日まで東大や難関私大の問題をバンバン教えていた先生に、小学校レベルの問題を教えさせるというのは、ちょっと勿体ない。逆のケースも結構つらい。
 最近の教員志望の人たちの中には、公立のこうした人事を嫌って、転勤のない私立進学校を希望する人もいるという。

 いわゆる学力の低い学校の先生は、先生自身の学力が低いからではなく、人事異動の仕組み上、そのような学校に籍を置いていたわけだから、少し時間をおけば、進学校でも十分対応できるのだが、その少しの時間がもったいない。私立にはそのような無駄がない。

 公平性と経験の継続性。
 両立は難しく、実際に人事を担当されている方の苦労は並大抵ではないと想像するが、特に進学校の人事異動に関しては、対私立を意識した戦略があってもいいだろう。

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受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

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