感謝はすぐにできるが、恩返しには時間がかかる

 恩返しの話である。

 長く生きておれば、こんな私でも少しは他人のためになることをやってあげられる。
 そこで相手は言う。
 「有難うございました。このご恩は一生忘れません。いつか必ずご恩返しします」。
 私は答える。
 「そうか、役に立ったか。それは良かった。で、恩を返す相手だが、私ではない。誰でもいいから私以外の他人に返してほしい」。

 私が何かをしてあげた。その人は窮地から救われた。あるいは大きく飛躍した。
 当然、感謝される。お礼の金品をいただくこともある。
 逆の立場だったら私も同じようにするが、しかし、これはまだ恩返しではない。

 恩返しとは、私がしてもらって役立ったこと、嬉しかったこと、その同じことを、今度は別の誰かにしてあげることである。
 BがAに受けた恩をCに返す。CはBから受けた恩をDに返す。
 恩返しのリレーだ。報恩の連鎖だ。

 と、口で言うのは簡単だが、実際にこれを行うことは難しい。
 なぜなら、自分がしてもらったのと同じことを他人にしてあげるためには、恩人と同じだけの器量をもたなければならないからだ。
 感謝は今すぐできるが、恩返しは急にはできない。自分自身が成長し、恩人と同じ高みに到達するのを待たなければならない。

 私には恩人がいる。いろいろなことをしてもらった。そのおかげで今日がある。
 むろん感謝はした。しかし恩返しはまだ終わっていない。
 それは、私自身が恩人たちの域に達していないために、受けた恩と同じことを誰かにしてあげられないからだ。

 恩返しとは難しいものである。

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受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

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