FC2ブログ

2日遅れのクリスマスプレゼントをもらった話

 2日遅れのクリスマスプレゼントといったところかな。
 昨日、36年前に担任した教え子が訪ねてきてくれた。
 
 「父が、生きているうちに娘がお世話になった先生にお礼を言っておきたいと申しております。近くに行く用事があるので帰りに寄っていいですか?」
 どうぞどうぞ、狭くて汚い事務所ですけど。

 お父さん88歳。
 お元気です。頭も足腰もしっかり。
 お母さんは?
 36年前に交通事故で亡くなっています。


 私は自分のクラスの授業に出ていた。
 そこに、事務職員の人がやって来た。生徒に「ちょっと、待っとれ」と言って廊下に出る。「今、病院から電話があって、Mさんのお母様が亡くなられたそうです」
 そうか。覚悟は決めていたが、奇跡が起きるってこともある。でも、駄目だったか。

 事故の後もMは毎日学校に来て普通に授業を受けていた。
 「無遅刻無欠席」にこだわっていた私も、さすがに「病院に行ってなくていいのか」と聞いたが、Mは「傍にいても何もできないし」と言う。

 「そういう問題じゃない。たとえ意識がなくたって傍にいてあげることが力になるんだ。学校なんかどうでもいい。来るな。病院にいろ」。そう言うべきだった。

 「あと、自習しとけよ」と言い授業を中止した私は、Mを車に乗せ病院に向かった。15分か20分の道のりが果てしなく遠いものに感じられた。
 「とにかく、すぐに病院に来てくれという話だ。詳しいことは分からん」。嘘だ。だが、死を伝えるのは私の役割ではない。

 Mを病院に送り届けた私はロビーで待った。この先は身内でもない私が立ち入ってはいけない世界だ。
 しばらくしてMが現れた。私は、何も言えず、ただただMを強く抱き締めた。この瞬間にかけるべき言葉は今も思い浮かばない。


 というわけで先生方。
 この仕事をやっていると、30年も40年も経ってから、かつての教え子が思いがけず訪ねてきてくれるという老後の楽しみがあるわけですよ。残業代はつかなかったが、これで十分元は取れる。


 今日の動画「教員悩ます保護者との関係」

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

梅野弘之

Author:梅野弘之
受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
当ブログを訪問された方
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード