難し過ぎじゃないか「学校選択問題」の数学

 私は数学が専門じゃないから、その点を割り引いて読んでほしいが、今年の埼玉県公立入試の「数学」(学校選択問題の方)は、ちょっと難しくし過ぎたんじゃないかと思う。
 今日、改めて問題を見てみて、そう思った。

 出題者は、今年初めて「学校選択問題」を導入することになって、一般の問題(標準の問題)、あるいは去年までの問題との違いを明確に出さなきゃいけないという意識を、強く持ち過ぎたのかもしれない。

 私も模擬試験の出題者という立場にあった。(もちろん自分で作るわけじゃないが)
 「学校選択問題」対応型の模試と謳った以上、誰が見ても、こいつは今までと違うなと思うような出題にしなければならないと思った。「何だよ、これじゃ今までの問題と変わらんじゃないか」と言われたらまずいことになるからだ。
 その結果、どういうことになったかと言うと、初回のテストが何と平均点25点という有様だ。
 受験生が手間のかかる問題に慣れていないということもあったので、回を重ねるごとに点数は少しずつ上がったし、こちらもやや難易度を下げるよう配慮もした。それでも、最後まで平均点が50点を超えることはなかった。比較的上位層が受けるテストにもかかわらずだ。

 そうした経験も踏まえて言えば、最初に言ったように、違いを出そうという意識が強すぎたのではないかと思うのである。
 私は特段、出題者を非難しようというのではなく、似たような経験をした者として同情しているのだ。

 普段ならサラッと通過できるはずの大問1で、いきなりガツンとやられた受験生は多いだろう。
 (7)②の「解の公式」を導く問題。「解の公式」を使って方程式を解くのは誰でもできるが、これは意表を突いた問題だ。
 (8)②の「差が2である2つの素数」の間にある自然数は6の倍数であることの理由を説明する問題。
 少し時間をかければ答えにたどりつけるが、なにせまだ大問1だ。冒頭の計算問題が暗算では解けないのは最初から分かっていたが、この段階でここまで手間暇のかかる問題が出ると予想した人は少なかっただろう。

 大問2は、一般の問題(標準の問題)と共通であるから、これはできる。少し落ち着きを取り戻す。

 しかし、大問3でまたもやショックを受ける。証明問題なのだが、伝統の「折り返しの問題」ではなく、埼玉県では出題例の少ない空間図形の問題ではないか。
 相似の証明だから、とりあえず「角」に注目すればいいわけだが、線で結んでみたものの、平面じゃないものだからイメージがわかない。
 立方体なんだから、「∠●〇=∠▲▼=90°」が一つ使える。あと一つ、∠のイコールを見つければいい。
 と、口で言うのは簡単だが、平常心で考えられたかどうか。ここを難なくクリアできるようじゃないと、(2)の線分の長さを求める問題、(3)の体積を求める問題も相当厳しかっただろう。

 「ヤバい。このままじゃ50点も取れないかもしれない。どうしよう」
 と、最後の大問4の関数の問題に希望をつなごうとするが、最終問題の(2)②の立体の体積を求める問題(解き方を説明する問題)でとどめを刺される。時間切れで手がつかなかった人もいるかもしれない。

 数学の時間が終わった後の受験生の落胆ぶりは想像に難くない。サッと切り替えて社会に臨めたかどうか。

 この1年間の私の経験に照らせば、大問1だけでも十分に差を見きわめられたと思う。大問3、大問4は、出題者に力が入り過ぎたために、受験生を必要以上に苦しめる結果になった。
 もちろん、この程度の問題をスラスラ解けるような子が大勢いれば、嬉しい限りだが、そうはなっていないだろう。
 点数的にはかなり低いレベルの争いになりそうな今回の「数学・学校選択問題」であるから、受験生はあまり落ち込まない方がいい。

 以上。繰り返すが、数学は専門ではない者の見解である。
 不安でたまらない受験生諸君は、中学校や塾の数学の先生による専門的な立場からの分析を聞いてもらいたい。

理科の出題分野を予想してみる

 今週末の講演原稿がほぼ完成。
 高校受験生対象。

 せっかく集まってくれるんだから、ずばり予想をしてあげたいね。2回シリーズの講演で、前回は英語・数学・国語の話だったから、今回は理科・社会。

 理科は、各分野からの小問集合で20点。残りは、いわゆる地学・生物・化学・物理の4分野から20点ずつ。
 第一分野(化学・物理)の方がやや難しく、第二分野(地学・生物)の方がやや易しい、というのがこれまでの傾向。

 であるから、大問2(地学)と大問3(生物)で、点数を積み上げることをまず考えてみる。

 大問2の出題内容(過去6年間)
 23年度 大地の成り立ちと変化
 24年度 気象とその変化
 25年度 地球と宇宙
 26年度 大地の成り立ちと変化
 27年度 地球と宇宙
 28年度 気象とその変化

 昨年度はこれまでの流れから、気象とその変化からの出題の可能性が高いと予想し、これは見事的中。
 まあ、誰だってそう考えるよな。自慢にならん。
 29年度は、大地の成り立ちと変化からの出題が予想される。

 大問3の出題内容(過去6年間)
 23年度 植物の生活と種類、生命の連続性
 24年度 植物の生活と種類
 25年度 動物の生活と生物の変遷
 26年度 動物の生活と生物の変遷
 27年度 植物の生活と種類、生命の連続性
 28年度 自然と人間
 植物→植物→動物→動物→植物と来ているから、植物だろうと予測するが、これははずれた。29年度は、今度こそ植物と思うが、油断できない。

 とまあ、こんな話をする予定だ。

埼玉新聞に入試問題予想記事を掲載

 本日、埼玉新聞に企画特集「公立入試、来年はここが出る 真夏の大予想」前編が掲載された。
 昨年から始まったもので、塾の先生方に、公立入試問題を予想してもらうという企画。

 時期的に、問題予想は早すぎるという意見もあるが、傾向が分かれば対策も立てやすくなる道理であるから、受験生の皆さんは、ぜひ参考にしていただきたい。

 明日(10日)は、後編が掲載される。

「真夏の大予想」前編
 

理社に大きな変化 28年度埼玉県公立入試平均点

 27日、県教委から、平成28年度埼玉県公立入試の平均点が発表された。

 全日制の5教科平均点は269.4点(27年度:259.1点より+10.3点)。
 平成22年度に5教科500点満点になってからは、25年度の275.5点に次ぐ高得点である。
 26年度は249.6点と低かったが、その後27年度259.1点、28年度269.4点と、約10点ずつ上昇している。

 全日制の各教科の平均点は次のとおり。
 国語57.9点(昨年度56.0点より+1.9点)
 社会63.7点(昨年度49.1点より+14.6点)
 数学51.1点(昨年度48.1点より+3点)
 理科39.2点(昨年度50.3点より-10.8点)
 英語57.4点(昨年度55.6点より+1.8点)

 理科を除く4教科で昨年を上回ったため、全体として約10点の上昇につながった。
 国語、英語は、ほぼ例年並みと言えるが、社会と理科に大きな変化があったのが、28年度の大きな特徴と言えるだろう。

■社会
 23年度の57.5点を大きく上回り、過去最高である。
 24年度49.0点、25年度50.3点、26年度49.5点、27年度49.1点という流れから見ると、易し過ぎたのではないか。
 社会・平均点の推移
■理科
 23年度の45.2点を大きく下回り、過去最低である。
 24年度48.7点、25年度63.4点、26年度46.1点、27年度50.3点、そして28年度39.2点と、1年おきに上がったり下がったりを繰り返しており、安定した出題が望まれるところである。
 理科・平均点の推移
■数学
 初めて50点を超えた。
 24年度に36.5点の最低を記録した後、25年度42.4点、26年度45.0点、27年度48.1点と少しずつ上がり、ようやく50点を超えた。
 学校ごとに採点基準が異なるので一概には言えないが、「正答率が極端に低い問題がある」などの批判に応え、出題に工夫を重ねてきた結果と言えそうだ。
 数学・平均点の推移

 ※28日午前公開しましたが、午後にグラフ画像を追加しました。

平成27年度埼玉県公立高校入試、どうなる平均点

過去3年間より難しかった?
 県教委が発表した予想平均点は、国語56点、社会55点、数学・英語・理科が各50点で、5科合計は261点となっている。
 過去3年間の5科合計の予想点は、24年度279点、25年度265点、26年度269点であったから、それらより低いとみているわけである。

 しかし、これはあくまでも予想点であるから、実際の平均点(後日、県教委が抽出調査により求めたもの)とは、当然違ってくる。
 そこで、過去3年間の予想点と実際の平均点との差異をみてみよう。
 24年度 予想279点 実際237.9点 予想よりマイナス41.4点
 25年度 予想265点 実際275.5点 予想よりプラス10.5点
 26年度 予想269点 実際249.6点 予想よりマイナス19.4点
 なかなか予想通りとはいかないようである。
 24年度のマイナス41.4点は極端だとしても、10点から20点程度の差異が生じる可能性があるということだ。
 学力検査が500点満点になった22年度から26年度まで5年間の実際の5科平均点の平均は251.7点である。このうち、もっとも高い25年度と、もっとも低い24年度を除いた3年間の平均をとってみても252.6点であるから、今年もだいたいその前後に収まるとみるのが妥当である。

■数学は過去3年間、実際の平均点が予想点を上回ったことがない。
 24年度 予想50.0 実際36.5 予想よりマイナス13.5点
 25年度 予想50.0 実際42.4 予想よりマイナス7.6点
 26年度 予想50.0 実際45.0 予想よりマイナス5.0点
 27年度 予想50.0 実際 ?
 以上のように、毎年予想は50.0であるが、実際は26年度の45.0が最高であった。ただ年々その差は狭まっている。今年の問題は、大問4(3)はかなり苦戦しそうだが、それ以外は比較的取り組みやすかったと思われるので、予想点の50点にかなり近づきそうだ。

■社会も過去3年間、実際の平均点が予想点を上回ったことがない。
 24年度 予想57.0 実際49.0 予想よりマイナス8.0点
 25年度 予想55.0 実際50.3 予想よりマイナス4.7点
 26年度 予想55.0 実際49.5 予想よりマイナス5.5点
 27年度 予想55.0 実際 ?
 過去3年間、予想点を上回ったことはないが、実際の平均点は49~50点で安定している。記述問題の割合や、文章で答える問題の数も昨年と変わらないので、50点前後になると思われる。過去3年間出ていなかった人物名を答える問題が3問出た。聖武天皇・北条泰時はやや意表を突いた出題だったかもしれない。

■英語も過去3年間、実際の平均点が予想点を上回ったことがない。
 24年度 予想55.0 実際44.1 予想よりマイナス10.9点
 25年度 予想55.0 実際53.7 予想よりマイナス1.3点
 26年度 予想50.0 実際45.0 予想よりマイナス5点
 記述問題の割合や、文章(日本語または英語)で答える問題の数は、昨年よりやや減っているので、実際の平均点は昨年より上がる可能性が高いが、予想の50点を超えるかどうかは微妙である。

■国語は過去3年間、予想点、実際の平均点とも5教科中最高。 
24年度 予想62.0 実際59.7 予想よりマイナス2.3点
 25年度 予想58.0 実際65.6 予想よりプラス7.6点
 26年度 予想59.0 実際64.0 予想よりプラス5.0点
 27年度 予想56.0 実際 ?
 国語は過去3年間、予想点も実際の平均点も、5教科の中でもっとも高くなっている。今年は過去3年間でもっとも低い56.0点を予想しているが、問題が特に難しくなっているとも思えないので、予想点を上回る60点台となる可能性が高い。

■理科は過去3年間、実際の平均点の変動がもっとも大きい
 24年度 予想55.0 実際48.7 予想よりマイナス6.3点
 25年度 予想52.0 実際63.4 予想よりプラス11.4点
 26年度 予想55.0 実際46.1 予想よりマイナス8.9点
 27年度 予想50.0 実際 ?
 平均点が非常に高かった25年度は、記述の割合が低く(64.7%)、文章で答える問題も少なかった(5問)。一方、平均点が低かった26年度は、記述の割合が高く(72.7%)、文章で答える問題が多かった(11問)。今年は、記述の割合は昨年と変わらないが、文章で答える問題が5問と減っているので、平均点は上がり、予想点の50点を超える可能性が高い。 

 
 以上、過去の予想点と実際の平均点との差異に注目して、今年の点数をうらなってみた。
 冒頭に書いたように、県の予想点は過去3年間より低くなっているが、高い予想の時は実際には下がり、低い予想の時は実際には上がっているので、その順番で行くと、今年は実際の平均点が、予想の261点を上回ることになる。各教科とも下がる要素が少ないので、その可能性は高い。
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梅野弘之

Author:梅野弘之
受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

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