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高校野球、「部員数の多いチームが強いだろう」を検証してみる

 私はそれほど熱心な高校野球ファンというわけではない。
 野球に詳しいわけでもない。取材したこともない。
 そんな私が、専門知識やチーム・選手情報抜きに埼玉県大会の今後を予想してみる。

 予想の仕方は簡単。
 「部員の多いチームが強いだろう」 
 昨日まで、北大会42試合、南大会52試合、計94試合を消化しているが、このうち、部員数が少ない方のチームが勝ったのは7例である。北大会2回戦で昌平(89人)が春日部共栄(122人)に勝利、南大会1回戦で武南(52人)が蕨(77人)に勝利など。
(※部員数は埼玉新聞の高校野球特集版による。昌平のデータはないが同校ホームページより89人)
 残りの87例は部員数の多いチームの勝ち。部員数の多いチームが勝利を収める確率は、2回戦を終わった時点で92.6%

 では、本日(7月14日)の南大会の勝敗を予想してみる。
 左側が勝ち、右側が負け。数字は部員数。青字が実際の勝ちチームである。
 ●南大会3回戦
    浦和学院96―34志木
    朝霞西50-43坂戸
    朝霞49-34城北埼玉
    川越工業69―47市立浦和
    埼玉栄89―35所沢西
    川口市立52―?川口青陵
    聖望学園76―34所沢
    狭山ヶ丘61―48川越
    西武文理63―58ふじみ野
    星野102―74立教新座
    大宮東111―56所沢商業
    川口73―62埼玉平成
    市立川越79―52武南
    西武台?―63坂戸西
    川越東98―24飯能南
    山村学園98―35川越南
 川口青陵と西武台は部員数が分からないので、この2チームの試合を除く14試合のうち、部員数の少ないチームが勝ったのは、市立浦和とふじみ野の2例で、残りの12試合は、部員の多いチームの勝ち。勝率12/14=85.7%
 
 次に、同じ方法で、明日(7月15日)の北大会3回戦16試合を予想してみる。
 左側が勝ち予想のチーム。数字は部員数。
 ●北大会3回戦
    花咲徳栄163―32八潮南
    春日部東95―53伊奈学園
    熊谷商業80―75正智深谷
    越谷南34―28秩父農工科学
    松山74―66白岡
    春日部59―44桶川
    東京農大三57-49熊谷
    叡明86―76滑川総合
    本庄東73―55栄北
    本庄第一52―13寄居城北
    昌平89―45久喜北陽
    独協埼玉59―27宮代
    早大本庄53―22越谷北
    熊谷工業52―49草加西
    秀明英光52―47越ヶ谷
    上尾91―25羽生第一

 さて、どんな結果になるか。
 ※7月15日加筆:北大会の結果が判明したので、勝ちチームを青字に修正しました。16試合中11試合が、部員数の多いチームの勝ちでした。勝率68.8%

「ボールが頭に当たったら死ぬぞ」の背景を考えてみる

 「ボールが頭に当たったら死ぬぞ」。
 そうだ。だから、野球ではバッターはヘルメットかぶってる。

 5月11日、読売新聞ニュース。以下引用。
 「金沢龍谷高校の野球部で4月、1年生の男子部員に対し、男性監督(40)による不適切な言動の指導があり、同校が男性監督を謹慎処分としていたことが10日、わかった。石川県高野連を通じて事態を把握した日本学生野球協会は11日、審査室会議を開いて同校への正式な処分を決める。同校によると、4月1日午後、ノックの練習中に、男子部員の集中力が欠けていると感じた男性監督が『ボールが頭に当たったら死ぬぞ』などと発言した。言動にショックを受けた男子部員は翌2日から練習を休み、母親が同校に経緯を説明した。男子部員は現在も不登校の状態が続いている」
以上引用おわり。

 「ボールが頭に当たったら死ぬぞ」が不適切な言動かどうかは、ひとまず措くとして、私はこの報道が、朝日や毎日ではなく、ほぼ読売一紙だけだったことに注目した。地元紙・北國新聞WEBサイトも調べたが見当たらなかった。
 高校野球大会を主催する朝日や毎日ならスルーだろうが、高校野球にそれほどコミットしていない読売だから記事にできたと推測。

 次に、5月11日に開かれた日本学生野球協会・審査室会議において、どんな処分が決定したかを調べてみた。
 ●対外試合禁止
  広島商業 部員の部内暴力
  神村学園(鹿児島) 部員の部内暴力
  小倉(福岡) 上級生の下級生への行き過ぎた指導
  酒田南(山形)部員の部内暴力
  精華(大阪) 部員の部内暴力
 ●謹慎
  希望が丘(福岡)の監督 新入生徒練習参加規定違反
  金沢龍谷(石川)の監督 部員への暴力と暴言
  高知の部長 報告遅れ
  鳥羽(京都)の部長 部内暴力と暴言
  校名非公表 顧問の人権侵害行為

 全10件。処分としては対外試合禁止が重そうだ。謹慎は部長や監督など指導者に対する処分である。

 読売は、事前に情報を得、取材し、日本学生野球協会の処分が決まるタイミングに合わせて、記事化したと思われる。強豪広島商業・神村学園の対外試合禁止よりも、全国的に無名の金沢龍谷の暴言の方が、記事としては注目度が高いという判断だろう。
 ちなみに、金沢龍谷は今年4月に校名を変更した。旧校名は尾山台である。石川県は、星稜、航空石川、遊学館、金沢が強く、金沢龍谷は2010年に一度石川県大会決勝に勝ち残ったのが最高。駅伝部は全国大会に何度か出場している。

 「ボールが頭に当たったら死ぬぞ」をネット検索すると相当数がヒットする。新聞は、読者が食いつきそうな話題を取り上げる。「死ぬぞ」や「不登校」というワードは今の時代、人々の関心を惹きやすい。その意味で読売の狙いは当たりということだろう。

 「ボールが頭に当たったら死ぬぞ」はその通りかもしれないが、先生方には、「スマホ見ながら歩いてると死ぬぞ」と生徒に厳重注意していただきたい。

高校生の飲酒・喫煙、野球部だと面倒な話になる

 高校生が飲酒、喫煙をしたら…
 そりゃあ当然、指導対象だな。自宅謹慎ぐらいかな。停学は処分にあたり調査書などにも記載されるので、将来を考えてなるべく避ける。退学させると、周りに注意する大人がいなくなる可能性が高いから、これもやりたくない。

 高校生の飲酒・喫煙はむろんいけないことに決まってる。だが、反省文書かされて、親も呼び出されて校長先生から説教食らう程度のことだ。

 ところが、この生徒が野球部の部員だと話は面倒だ。
 普通、指導対象になるのは本人だけで、その生徒のクラスメイトや、その生徒が属している部活にまで及ぶことはない。

 野球部はどうか。
 一人の飲酒・喫煙が、部全体に及ぶことがある。
 まあ例えばの話、部の合宿や遠征で、みんなで酒盛りしちゃって、ついでにタバコを吸い回しちゃいました、というような状況なら別だが、野球とは別のところでやらかしても「〇〇高校野球部員が喫煙」となり、高野連とか学生野球協会から、対外試合の禁止といった処分を受ける。
 連帯責任というやつだ。

 連帯責任の是非については、いろんな意見があると思うので、それはいったん措いておいて、そもそも生徒の非行を正すのは学校の仕事であり先生の役割である。そこへ、高野連だか学生野球協会だかが、ずかずか入り込んできて勝手に処分を決める。オマエら何様じゃ。と、私はいつも怒っている。「うちの生徒に何するんだよ」。

 高校の野球部の顧問や監督の先生方は、こういうのがおかしいと思わないんだろうか。

 実は、今日は市立川越の話を書こうと思っていた。
 同校は、中学生を練習に参加させていたのが理由で、選抜大会21世紀枠の推薦を辞退した。
 それが何だ。
 と、思ったが、高校野球的には重大な規則違反らしい。
 私にはよく分からん。

なぜ野球の練習時間は長いのか

 高校野球秋季大会は、決勝で花咲徳栄が市立川越を破り4年ぶりの優勝。
 夏は1か月近く甲子園に滞在し、帰校後も多くのイベントに引っ張りまわされて、新チームのスタートが遅れたにもかかわらずこの結果。しばらくは花咲徳栄時代が続きそうだ。

 先日、県立浦和の文化祭(浦高祭)に行った折、野球部の1年生から声をかけられた。テレビの入試番組などで私の顔を知っていたようだ。
 かれは、地区予選を勝ち抜き県大会に出るのだと嬉しそうだった。県大会では62年ぶりに2勝し、ベスト16に進出した。よくやった。
 ところで。
 毎日どれくらい練習しているかと尋ねると、9時ぐらいまでという答え。
 おいおい勉強大丈夫か。予習復習は必須の学校だろう。

 ということで、前置きが長くなったが、なぜ野球の練習は長いのかが今日のテーマである。

 精神論の部分はひとまずおいておこう。
 短い練習時間で強くなれれば、それが理想だし、目指して欲しいが、私は、野球の練習時間の長さは、競技の特質によるものだと考えた。

 野球には、攻め(オフェンス)と守り(ディフェンス)という二つの要素がある。
 が、これは他の球技や格闘技なども同様である。
 しかし、他の球技などでは、攻めと守りに共通する技術がある。分かり易いのは球技におけるパス。これは攻めにも守りにも使える技術だ。テニス型の球技だと、レシーブは守りの技術であるが、攻めの第一歩でもある。

 バレーボールにおけるブロックは守りの技術であるが、それで得点することもできるので攻めの技術と見ることもできる。テニスではリターンエースというのもある。

 このように、多くの競技において、攻めと守りは混然一体となって行われるため、練習においても攻めの練習は守りの練習であり、守りの練習は攻めの練習となる。
 つまり、極論すれば、攻めも守りもほぼ同時に練習することが可能だ。

 ところが、野球においては、攻めと守りは、はっきりと分けられている。攻めの技術と、守りの技術に共通点がない。バッティングの技術は、ゴロを捕ることには応用できず、フライを捕る技術はバッティングには応用できない。

 早い話、技術的に共通点のない2つの競技をやっているようなものなのだ。
 だから、攻めに2時間、守りに2時間、両方やると4時間ということになる。こりゃ、放課後から始めりゃ、8時9時になるよな。

 1 相手が邪魔しない競技で、かつ個人で争う競技(陸上など)は、比較的短い練習で済む。
 2 攻めと守りが必要な競技は、両方の練習が必要なので、その分練習時間は長くなる。
 3 チームで争う競技は、コンビネーション(連携)の練習が必要なので、その分、練習時間が長くなる。
 4 道具を使う競技は、身体能力を高めるほか、道具を扱うスキルを高めなくてはならず、その分練習時間が長くなる。

 以上は、一般論だが、これに加えて、野球は前述したように、攻めと守りは別の競技と言っていいほど違うので、どうしたって練習時間が長くなるというのが、とりあえずの私の結論だ。

「うちは打たれるのに慣れているから」の一言で勝利の予感

 野球ネタが続いて恐縮だが、今日の話は必ずしも野球オンリーというわけではない。

 花咲徳栄の岩井隆監督が、決勝戦の前日、「うちは打たれるのに慣れているから~」という内容の発言をしていた。
 私はこの発言を聞いて、気持ちがうんと楽になった。オマエが楽になってどうするという話だが、第三者の私がそうなのだから、当の選手たちにはずいぶんとリラックスできたのではないか。

 そうだよな。俺たちよく打たれてる。でも、それ以上に打てばいいんだ。そうやって勝って来たんだから、明日もそれで行こうぜ。
 と、選手たちが思ったかどうか分からないが、オマエら明日打たれるぞが、かえってプレッシャーから解放する言葉になった。

 花咲徳栄は昨年秋の新チーム以来、県内では浦和学院に2度、関東では慶応(神奈川)と早実に負けている。
 秋季県大会 浦和学院4-3花咲徳栄
 秋季関東大会 慶応9-1花咲徳栄
 春季県大会 浦和学院7-6花咲徳栄
 春季関東大会 早実10-9花咲徳栄(タイブレーク)
 「うちは打たれるのに慣れているから~」は、決して気休めではなく、強がりでもなく事実なのだ。なにせ、この夏の県大会でも相手を0点で抑えた試合はなかったほどだ。

 私が指導者だったら、圧倒的に力の差がある弱小チームに1点でも取られようものなら烈火のごとく怒るであろう。てめえらつまんねミスしやがって。
 あるいは、1点差負けの多いかれらに対し、余計な失点するから勝てねえんだと激しく責め立てるだろう。
 はたして岩井監督はどうなんだろう。今度お会いする機会があったらぜひそのあたりを聞いてみたいものだ。

 およそあらゆる競技でミスが出たほうが圧倒的に不利なのであるから、指導者としてミスをとがめるのは当然のことである。しかし一方、ほとんどの競技は、相手より1ポイントでも多く点を取れば勝ちなのである。すなわち、ミスは挽回できる。

 ミスを防ぐことは大事だが、ミスはただちに負けではない。これは勉強にも仕事にも通じる話だ。
 ミスをして平気な顔をしているようでは困るし、そこから何も学ばないのは愚かだが、「ミス? そんなもん後で取り返してやるぞ」の気持ちを育てるのも大切なことだ。

 岩井隆監督の何気ない一言から、そんなことを考えた私である。

プロフィール

梅野弘之

Author:梅野弘之
受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

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