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新大学入試、試行テスト国語記述問題は高校入試レベル

 先日、大学入試共通テストの試行調査が行われた(予行演習)。
 昨年度に続き2回目。

 確認だが、新しく始まる大学入試共通テストは、以前のセンター試験だね。もっと遡れば共通一次試験。
 これと別に大学独自の試験があるわけだから、難関目指すなら、こんなのは軽くクリアできなきゃいけない。
 それでも、記述が増えるとか、英語に「話す」が加わるとか、大騒ぎになっている。

 塾の先生方は(もちろん高校の先生方も)、すでに問題をチェックしていると思うが、私も遅ればせながら見てみた。

 今回私が調べてみたのは、「国語の記述問題は、どんなレベルなの?」ということだ。

 記述問題は3問あった。
 埼玉県公立高校入試は、その倍以上あるぞ。なので、たったそれだけかよ、って感じ。

 問題文の出典
 文章Ⅰ 鈴木光太郎「ヒトの心はどう進化したのか」
 文章Ⅱ 正高信男「子どもはことばをからだで覚える」
 資料  川添愛「自動人形の城」
 
 埼玉県公立高校入試で、これらと近そうなものを挙げると、長谷川眞理子「ヒトはなぜヒトになったか」(28年度)、藤田正勝「哲学のヒント」(26年度)、岸田一隆「科学コミュニケーション」(24年度)あたりか。
 いずれも大人が読むような本(論説)であり、今回の試行試験の問題文は、公立入試国語大問3の論説文と同程度だ。

 問題文の長さ
 文章Ⅰ 57文字×19行
 文章Ⅱ 57文字×22行
 資料  57文字×6行
 言い忘れたが、今回の試行テストの記述は、文章Ⅰ・文章Ⅱ・資料の異なる3つの問題文を読んで設問に答えるという形。

 昨年の埼玉県公立高校入試・大問3の問題文は、44文字×67行であった。単純に掛け算すると2948文字。
 これに対し、今回の試行テストの問題文は、57文字×(19+22+6)行だから、単純計算で2679文字。
 つまり、高校入試でも、試行テストと同じかそれ以上の分量を読まされているということだ。

 求められる記述量
 問1 30字以内
 問2 40字以内
 問3 80字以上、120字以内

 公立高校入試でも「35字以上45字以内」などは普通にあるので、30字や40字は大したことはない。
 問3「80字以上、120字以内」は、段落の分け方や書くべき内容、書き始めの語と書き終わりの語などが規定されているので、高校入試の条件作文のようだ。
 だったら、作文は「195字以上、225字以内」だから、それに比べたら、それほど長いとは言えない。

 というわけだから、塾の先生方。
 今回の試行テストの問題を、「これは他県の長文読解問題なんだけど」とか言って、知らんぷりして生徒にやらせたら、国語得意な子は結構できちゃいますよ。普通の子でも、手も足も出ないということはない。特に問1なんかは、中学生でも通過率80%は行けちゃうんじゃないかというような楽勝問題。

 前回試行の反省から、難易度を下げたということもあるが、「記述だ、難しい」と大騒ぎするほどのもんじゃないな、というのが私の感想だが、先生方はどう思いました?

 
 試行テストの問題はコチラから

公立入試の国語は何番から始めるのがいいか

 埼玉県の塾の先生方に質問。
 「公立入試の国語の問題は何番からやるように指導していますか?」

 私の結論を先に言っておくと、「大問2の漢字や文法を真っ先に片付けなさい」でいいと思う。
 理由は、いくら物語文(小説)と言ったって、緊張する1時間目の試験で、内容がスラスラ頭に入って来ないでしょう、だから、割と簡単なところでウォーミングアップして、それから長文に入っていったほうがいいから。

 ちなみに、東京都や神奈川県、栃木県は大問1「漢字の読み書き」から始まる構成。千葉県も冒頭のリスニングの次は漢字。つまり、数学の問題が秒速で解ける簡単な計算問題から始まるのと同じ。

 それにしても、なぜ埼玉県は大問2に漢字を持ってくるんだろうね。
 解く順番は自由ですということなんだろうが、2年前、理科・社会の試験時間を40分から50分に延長したとき、後半の問題ほど正答率が悪いからとか言ってなかったか? その考え方の元にあるのは、放っておけば受験生は頭から順番に問題を解いて行く習慣があるということなんじゃないかな。

 とりあえず埼玉県教育委員会には、国語の大問1には、現在は大問2となっている漢字の読み書き等を持ってきてあげてくださいと要望しておこう。
 数学だって、大問1に証明問題は持ってきてないでしょ。英語もリスニングの次は、やや短い方の読解問題、理科もいきなり実験・観察問題じゃなくて知識中心の問題からとなっているから、それに合わせれば、大問1と大問2の順番は入れ替えてあげたほうがいい。その方が受験生に優しいと思うけどね。

 で、話を戻すと、まだ目が慣れていなくて、身体(というか頭)も温まってない状態で、ハードな長文問題に入って行くより、漢字や文法で目と頭をならしてからの方がいいのではないか。

 まあ、この手の話では、いろんな見解があって、どれが正しいとは言えないわけだが、塾の先生方は日ごろどんな指導をされてるんだろうと思ったので、ちょっと書いてみた。

国語論説文が全然頭に入って来ないんだが

 国語の長文問題を解いてみる。
 小説文と論説文、2題出るのはほぼ全国共通。論説文の方が出来が良くないのも共通。私がよく間違えるのも論説文。

 そもそも、論説文は題材となっている文(問題文)を読んでも、頭に入って来ない。
 小説文の方は、だいたいが主人公が中高生のことが多く、ということは、青少年向きに書かれた本であることが多いのに対し、論説文の方は、大人向けに書かれた本がほとんどだ。だから、出てくる言葉も言い回しも難しい。
 設問うんぬん以前に、文章が頭に入って来ないのだ。
 これじゃ、読解もくそもない。

 国語の先生に聞くと、接続詞に注意して読めとか、いろいろアドバスしてくれて、それはその通りだと思うのだが、そもそも文章が頭に入って来ないという出発点の障害はどう乗り越えたらいいのか。

 たとえば、設問だけを見ても、こんな調子だ。
 「意志は自分以外のものに接続されていると同時に、そこから切断していなければならない、とあるが…」(東京都)
 「自然哲学からソクラテス哲学への展開、とあるが…」(神奈川県)
 「彼が『芸術的隔離性』と呼ぶ日常空間から離脱する芸術の特性、とありますが…」(埼玉県)
 う~ん、頭がクラクラする。
 
 まあ、さすがに私は大人だから、今まで見たことも聞いたこともない言葉(語彙)に出くわすことはない。たまにあるけど。
 しかし、表現というか言い回しには難儀する。
 何だよ、もっと分かりやすく言えないのかよ。と、読みながら腹が立ってきて、解く気力が失せる。

 解決策。
 言葉の意味や言い回しは分からなくても解ける方法を編み出す。 
 これが近道だし、入試対策としては「あり」だろう。研究してみよう。いや、塾の先生に聞くのが早いか。

 語彙を増やして、難しい言い回しに慣れて、問題文がスラスラ頭に入って来るようにする。
 これは時間がかかりそうだから、入試対策としては不可。
 ただ、先々まで考えると必要な力だ。

 個人的な心がけとしては、新聞で1日1記事、まるで興味のない分野の記事を無理やり読んでみる。
 新聞記事と論説文の書き方はまるっきり違うので、入試対策としての効果はまったく期待できないが、よく分かんない話を我慢して読む訓練になる。
 
 ちなみに新聞記事は、大事なことや結論は先に書く。後になればなるほど、どうでもいい字数合わせの内容になる。

小学校で習う漢字だけで高校入試は乗り切れそうだ

 5月26日付ブログで、国語の漢字練習に時間をかけ過ぎない方がいいと書いた。

 でも、どうしてもやりたいという受験生は、小学校で習った漢字を復習しておきなさいというのが今日の話だ。

 小学校で習う漢字は1006字である。
 ずいぶんと習うもんだね。これだけ知っておけば大人になっても困らない。

 1年 80字
 2年 160字
 3年 200字
 4年 200字
 5年 185字
 6年 181字

 これだけの漢字を知っていると、どういうことになるか。
 県公立高校入試の、漢字の読み書き問題で確認してみよう。

 ●28年度 (1)~(3)は読み、(4)(5)は書きの問題である。以下同じ。
 (1)均衡 「均は」5年生
 (2)俊敏
 (3)諭す
 (4)紅潮 「紅」も「潮」も6年生
 (5)操る 「操」は6年生
 ●29年度
 (1)輪郭 「輪」は4年生
 (2)旋律 「律」は6年生
 (3)裁つ 「裁」は6年生
 (4)簡潔 「簡」は6年生、「潔」は5年生
 (5)専ら 「専」は6年生
 ●30年度
 (1)養蜂 「養」は4年生
 (2)隆盛 「盛」は6年生
 (3)萎える
 (4)権益 「権」は6年生、「益」は5年生
 (5)射る 「射」は6年生

 こんな具合であって、年度にもよるが、小学校で習う漢字をマスターしておけば、10点中6点ぐらいは取れるのである。

 以上、今日のブログは問題例としてあげた漢字を除き、すべて小学校で習う漢字で書いてみた。
 ほら、大人になっても困らないでしょ。

埼玉県公立入試、配点と通過率から何か見えて来ないかを調査

 本日、塾の先生方向け。

 そんなこと、とうの昔から分かっておるわいという方がいるのを承知で、配点と通過率の関係を調査。
 30年度の詳細データは未発表のため、29年度埼玉県公立入試・国語で調べてみる。

 タテ軸に1問ごとの配点、ヨコ軸に通過率をとり、プロットした結果が下のグラフ。

 2018平成29年度入試 国語の配点と通過率グラフ

 ●作文は大量点とれる 
 配点が突出しているのが大問5の作文だが、通過率は全24問中5番目の高さ。
 つまり、意外に易しく大量点獲得のチャンスだぞ、となる。もっとも、裏返せば出来ないと悲惨だぞ、でもある。

 ●論説読解、攻めるか捨てるか 
 配点6点は4問だが、すべて長文読解(大問1と大問3)の中にあり、かつ表現力を問う問題である。「〇字以上、〇字以内で書きなさい」というタイプの問題。小説読解(大問1)の方はまずまずの通過率だが、論説読解(大問3)の方は出来が悪い。
 また、配点5点は2問だが、これも長文読解の中にあり、記号選択ではあるが、長文全体の内容把握が求められる問題。こちらも小説読解の方はよく出来るが、論説読解が出来ない。
 平均点よりやや上、70点台狙いなら小説読解で確実に点数を取る作戦でいいが、80点以上の高得点狙いなら論説読解の攻略が求められそうだ。

 ●漢字練習に時間をかけ過ぎない
 配点2点は5問あり、すべて漢字の読み書きだ。
 1問ぐらい出来なくたって、大したことはない。全部出来ても高々10点だ。コツコツ練習すれば将来的には役立つが、受験勉強の生産性(そんな言葉あるか?) という観点からは、このためだけに大量の時間を投ずるのは得策ではないと思う。


 入試は数字(点数)の勝負なのだから、数字に基づいて論理的に説明してあげましょうという話であった。
 思いつきで始めてみたものの、グラフの作成に意外と手間取ったので今日は国語のみ。順次他の教科も調べてみるつもりだ。

 
プロフィール

梅野弘之

Author:梅野弘之
受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

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