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「カエルの楽園」って、日本のことだったか

 どんなに話題になっていても、この人の本を朝日新聞が取り上げることはないだろう。
 百田尚樹「カエルの楽園」(新潮社:定価1300円)。

 巻末に「この物語はフィクションであり、実在の人物・団体等とは一切関係ありません」とわざとらしくことわっているが、ソクラテスという名のアマガエルが主人公であるから、実在であるはずがない。

 だが、ソクラテスが理想の世界を求めて、たどり着いた平和な楽園「ナパージュ」は、どう見ても日本である。読み進むうちに、「JAPAN」(ジャパン)をひっくり返して「NAPAJ」(ナパージュ)だと分かる。
 ナパージュの陰の権力者である「デイブレイク」の主義主張は、朝日新聞そのものだ。「Day(日=日本)」を「Break(壊す)」するからデイブレイク。かもしれない。

 ツチガエル(日本人)は、「三戒」を信奉する。「カエルを信じろ、カエルと争うな、争うための力を持つな」。まあ、憲法9条だな。
 ウシガエルが徐々にツチガエルの領土を侵食してくる。これを中国と思えない人は、よほど世情に疎い人だ。

 という具合であるから、実在の人物・団体等とおおいに関係ある物語である。

 帯に「これは私の最高傑作だ」とあるが、本気ではあるまい。ふざけているのだ。中身はもっとふざけている。本屋で中身をチラッと見れば、それはすぐに分かる。
 
 だが、著名な文筆家が、ただのおふざけで本を出すわけがない。
 著者は常日頃、安保法制や集団的自衛権に反対する人々を批判している。口汚く罵っていると言ってもいい。
 今度はそれを、寓話(ぐうわ)という手法でやってみたというところだろう。

 百田の言い分は聞き飽きたという人や、奴の言うことは信用ならんと考える人も多いだろう。
 政治や経済や国際関係を専門に研究している人ではなく、要は文化人タレントに分類されるような人であるから、かれの言説から真理を学ぶということは、だぶんない。
 ただ、寓話には、ものごとの本質をあぶり出すという効果もある。

 わが日本は、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」(憲法前文)、「国権の発動たる戦争を放棄し」(憲法9条)、「陸海空軍その他の戦力を保持しない」(同前)ことにしたのであるが、果たして、それだけで未来永劫の平和と繁栄が保証されるのかどうか。そのあたりを問い直すには、手ごろな一冊ではある。

 

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受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

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