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深く学ぶと可能性は横にも広がる 芸術総合高校

 芸術総合高校は、芸術系学科4つから成る専門高校である。
 数日前も書いたように、「芸術を総合的に学ぶ」のではなく、「音楽」、「美術」、「映像芸術」、「舞台芸術」を、それぞれ「専門的に学ぶ」のである。

 しかし、こういうのは「お役所ネーミング」の典型だね。
 とりあえず何でも「総合」と付けちゃうのだが、かえって分かりにくいと思う。
 埼玉県立芸術高校。これで十分。
 場所を入れたければ、所沢芸術高校でもいいかな。

 と、今さらのツッコミはこの程度にしておいて、同校は開校17年目の学校である。
 「音楽」と「美術」は他校にもあるが、「映像芸術」と「舞台芸術」は、県内にただ一つ。

 施設にはしっかりお金をかけている。
 外部講師、つまり、その道のプロを先生として招いているのだが、その数約70数人。ここにもしっかりお金をかけている。
 お金の話を持ち出すのはどうかと思われるかもしれないが、「充実」を言い換えれば、そういうことになる。

 芸術は、資格とか検定とかは関係なく、実力本位の世界であるから、高校からその道に飛び込むのは、勇気がいるかもしれない。
 親や中学校の先生も、「芸術で食って行くのは大変だぞ」と言うのが普通だ。

 しかし、それを言うなら、「スポーツで食って行く」のも、「文筆で食って行くのも」、「物理や数学で食って行くのも」、「英語で食って行くのも」、みんな一緒だよ。
 専門の知識や専門の技術で食って行くのは、どれも大変なんだ。芸術だけ特別扱いするのはおかしい。

 その昔、「でもしか先生」という言葉が流行った。「ほかにやりたいことがないから先生にでもなるか」、「何の特技もないから先生しかできない」ということで「でもしか先生」。
 で、この先生という言葉を、普通科に置き換えて、「でもしか普通科」というのがあるんじゃないかと考えてみたりする。
 「特にやりたいことがないから普通科にでも行くか」、「これといって得意がないから普通科しか行けない」。

 早い時期から方向をしぼるよりも、幅広く可能性を残しておいた方がいいという考え方もあるが、「でもしか普通科」では、可能性を広げることにはならんだろう。
 それよりも、好きな学科に行って好きな勉強をしたほうが、むしろ可能性は広がるんじゃないか。

 この学校で学べば、表現力とかコミュニケーション力とかプレゼン力が、普通科よりも身につくだろう。そうした能力は、仮に演奏家や画家やダンサーにならなくても、十分に他の職業で活かせるものだ。
 つまり、一つの分野を深く掘り下げて行くと、結果として、可能性は横にどんどん広がって行く。

 そういう観点から、専門学科というものを見直してみる必要があるのではないかと、一連の取材の中で感じたのである。

 芸術総合001
 廊下をはさんで、個人レッスン室が17もある。

 芸術総合002
 外部講師による個人レッスンが多い。講師の中には人間国宝もいるという。

 芸術総合003
 公立学校とは思えない舞台芸術のレッスン室。この日、プロの演出家が指導に来ていた。蜷川幸雄さんみたいにビシビシ指導していた。

 芸術総合004
 パソコンはウインドウズだけじゃなくマックも用意されているのが、この学校ならでは。

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受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

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