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正智深谷高校と仏教の話

 新聞取材のため正智深谷(しょうちふかや)高校へ。

 学校の駐車場に車を入れようとしたら、向こうから男子生徒の一団がやって来た。近くのグランドで体育の授業があり、その帰りのようだ。われわれは、生徒をやり過ごしてからと車を停めて待とうとした。すると、一人の男子生徒が他の生徒を制した上で、「お先にどうぞ」のサインを送ってきた。その動作が実にカッコいい。というだけでなく、実に手慣れている。たぶん常日頃からそのようにしているのだろう。いい風景だな。

 スポーツの盛んな学校である。
 男子バスケ、男女バレー、女子卓球、サッカー、ラグビーなど全国出場のクラブが目白押し。
 学業の方も、今年は久しぶりに東大合格が出るなど確実に結果を出している。

 この学校が、いわゆる仏教系の学校であることは意外に知られていない。
 校訓は浄土宗開祖・法然上人の教えに基づく「選択(せんちゃく)」「専修(せんじゅ)」。「選択」は正しいものを選びとること。「専修」はひたすらに打ち込むこと。
 全国の仏教系学校の中には、信徒の子弟を教育するためにつくられた学校もあるが、この学校はそこまで宗教色は強くない。あくまでも教育のバックボーンに仏教精神を置いているということである。

 とは言え、代々僧籍を持った方が校長を務めることが普通だったこの学校で、民間企業出身の加藤慎也・現校長は異色の存在である。
 その加藤校長。今年の夏一念発起し京都の本山で3週間にわたる厳しい修行をおこなってきたという。
 「日頃生徒たちに仏教や仏教精神について語っているが、自分自身、本当にその真髄を理解しているのだろうか」
 ずっとそんな思いがあったそうだ。

 自身の修行が本当に学校のため、生徒のためになるのかという迷いもあった。多忙な校長が1か月近く学校を空けていいものかという現実的な悩みもあった。しかし、決断し実行した。
 ご本人も立派だと思うが、送り出した学園側や先生方も立派だと思う。

 数学や英語を教えるだけが教師ではない。教師はその存在自体が教育である。
 途中で辞めた私が言っても説得力に欠けるが、そういうものだと思う。
 加藤校長から、教師としての、いや、人としての在り方・生き方の素晴らしいお手本を見せてもらったと思う。

 念のため。今日の取材目的は同校の進路指導について聞くことであった。

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学校法人と宗教法人の区別の重要性

智香寺学園正智深谷高校の二代前の学校長(埼玉工業大学副学長と兼任)は当時プロテスタントであるといっていました。学校法人と宗教法人は区別されるべきだからでしょうか。また、智香寺学園は浄土宗の宗門校ですが、学校法人の職員は必ずしも浄土宗の寺院の檀家であるとはかぎりません。学校法人と宗教法人は区別されるべきですので、当然のことなのかもしれません。
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受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

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