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私立は弱い公立に勝ったんじゃ意味がない

 最近、「都立復権」という言葉をよく目にする。
 日比谷高校が半世紀ぶりに東大合格者全国トップ10入りしたので、このあたりを指してのことだろう。
 そういえば半世紀前、私が高校生のころの東大合格者全国1位は、開成でも麻布でも灘でもなく日比谷であった。

 だがその一方。40校近く(38校だったか?)が定員割れを起こし、追加募集をしてもまったく定員が埋まらなかった。
おいおい、都立復権してないじゃないか。

 要するに、経営学で言うところの「ヒト・モノ・カネ」という資源(リソース)を、日比谷をはじめとする進学重点校に集中した結果、大学進学面で私立に対抗しうる都立校が出現したということで、都立全般の人気が高まったわけではないのである。

 公立学校は広範なニーズに応えなければならない。商業科も工業科も、定時制も、特別支援学校も、一定のニーズがある限り、それに応えるのが公立の使命だ。
 その理屈から言えば、大学進学に強い公立があってもいいということになる。

 大学進学に強いというなら私立にいくらでもあるではないか、と言われればそうなのだが、多くは一貫校であり、いかに私立無償化が進んでも、そこには歴然とした公私間格差が存在するから、低廉な学費で学べ、かつ大学進学に強い公立も必要ではないかというわけだ。

 さて埼玉県の話である。
 現在のところ、東京都で行われているような進学指導重点校の制度はない。似たようなものがかつてはあり、今もあるが、東京都のように徹底したものではない。

 東京都の場合、進学指導重点校は入試において学校独自問題(英数国)を課している。これも人気になった一因と言われている。なかなか手ごわい問題だ。
 埼玉県も、これに倣ったというわけでもないだろうが、29年度入試から学校選択問題の制度を導入した。ただ、希望する学校はすべて認めたので20校まで拡大してしまった。動機や目的が異なるから止むを得ないところだが、東京都的な効果を狙うなら、半分近くまで絞り込み、かつ一部であっても学校独自問題を入れたほうがいいだろう。

 県内私立の関係者は、公立の凋落をお望みかもしれないが、公立の人気と実力が低下したために相対的に私立の地位が向上したのではダメなのである。なぜなら、埼玉県の地理的条件から、都内私立という屈強な相手と戦わなければならないからである。
 5校から10校以内の強い公立があって、それと競い合って私立が伸びて行く状況が望ましい。

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受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

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