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「食育実践科」はイメージをどう伝えるかが課題だ

 昨日花咲徳栄に行ったのは昼めしを食うため。
 と書いたが、それだけでは申し訳ない。
 食育実践科の将来について、真面目に考えてみる。

 同校食育実践科は、厚生労働大臣が指定する「調理師養成施設」で、卒業と同時に調理師免許が取得できる。

 埼玉県内にある同様の学校(高校)は、県立越谷総合技術高校(食物調理科)、県立新座総合技術高校(食物調理科)、県立秩父農工科学高校(フードデザイン科)などである。
 平成30年度公立入試の結果を見てみる。
 県立越谷総合技術(食物料理) 受験者:47 合格者:39 倍率:1.21
 県立新座総合技術(食物調理) 受験者:47 合格者:40 倍率:1.18
 県立秩父農工科学(フードデザイン) 受験者:44 合格者:40 倍率:1.10
 定員割れする専門学科が多いなか、まずまずの結果だ。一定の需要(ニーズ)があるということだろう。

 花咲徳栄(食育実践科)は募集人員80人のところ73人。若干の定員割れだ。併願受験者を増やす作戦が考えられるが、いわゆる「併願の戻り」が多過ぎて、1人でも定員オーバーとなると、前述した「調理師養成施設」の指定が受けられなくなる。
 50人や60人では経営上の問題が生じるし、その一方で80人を1人でも超えたらアウトであるから、現状の県内私立の入試方式を考えると、技術的に非常に難しい募集を強いられていると言える。9割以上キープはよく頑張っていると思う。

 技能の習得が必要な専門学科は、実習を多く行わなければならず、そのための施設整備やスタッフ雇用に多額の費用がかかる。「調理師養成施設」では、調理実習だけでも300時間以上が必要だ(今日のブログを書くために、調理師法・同施行令・同施行規則を読むはめになった。でも、勉強にはなった)。

 大学進学志向が高まった現在、私立学校としては、専門学科から手を引き、普通科一本で行きたいのが本音だろう。現場の先生方はそうは思っていないが、経営陣(法人本部)はそう考えるだろう。ただしこれは一般論であって、佐藤栄学園及び花咲徳栄高校がどう考えているかは別問題だ。

 花咲徳栄の場合、5年前に「食物科」から「食育実践科」に名称を変えて、「調理師免許が取れます」よりも、「食育リーダーを育てます」を前面に押し出すようになった。
 単に料理を勉強するのではなく、栄養学や食文化まで学ぶという方向性は、時代に合ったものだと思うが、残念ながら「食育」や「食育リーダー」というもののイメージが十分に浸透していない。全国を見渡しても、「食育」を冠する学科は、ここ花咲徳栄と、あと1~2校だから無理もないが、「食育」というものをどう知らしめ、その必要性と魅力をどうアピールするかが今後の課題だろう。

 メシを食いに行っただけじゃないからね。

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受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

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