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普通科のコースは歴史的使命を終えている

 埼玉県教委から発表された第1回進路希望調査(10月1日現在)結果を受けて、「普通科のコース」について考えてみよう。

 普通科の中に「〇〇コース」というものが設置されるようになった、かれこれ40年前だったと記憶している。私の2番目の勤務校であった大宮南高校で「国際文化コース」というものを作ることになり、それに関わったのを覚えているから、たぶん間違いないだろう。

 「〇〇コース」は、学科としては普通科であるが、専門科目を少し多く学ぶ。が、専門学科ほど多くはない。
 と言えば、誰だって「ちょっと中途半端じゃないの」と思うだろう。そうなのだ。作りながら当の私たちもそう思った。が、これが当時の県教委の方針だったのだから仕方がない。「公立高校の特色化」というのは、昔から言われていたことなのである。

 しかし、そんな中途半端な存在でも生徒は集まった。昭和の終わりから平成の初めまでは、中学校卒業者が10万人以上いたからだ。(今は6万人台前半)
 その後、少子化が進行する中で、ピーク時には30校以上にあった「〇〇コース」は、普通科に吸収されるか、学校自体が統合によりなくなるかして減少して行き、今では7校7コースに激減した。

 では、数少ない生き残りコースと、先の第1回希望校調査の倍率を見てみよう。
 大宮光陵・普通科・外国語コース   0.90倍
 児玉・普通科・体育コース      0.43倍
 飯能南・普通科・スポーツコース   0.33倍
 日高・普通科・情報コース      0.55倍
 松伏・普通科・情報ビジネスコース  0.65倍
 八潮・普通科・体育コース      0.55倍
 川口市立・普通科・文理スポーツコース 1.08倍
このうち、川口市立は新設であるから、生き残りとは言えない。そして、現時点で定員に達しているのはここだけである。

 大宮光陵・外国語コースは、普通科や他校からの鞍替えが期待できるので、最終的には定員を割ることはないだろう。
 日高・情報コースと、松伏・情報ビジネスコースは、商業の「情報処理」からの鞍替えが多少期待できるので、ぎりぎり定員確保まで行く可能性はある。一昨日書いたように、工業の情報技術と商業の情報処理は、今人気なのである。
 児玉・体育コース飯能南・スポーツコース八潮・体育コースは、ちょっと厳しそうだ。体育に関する専門学科である大宮東・体育科もふじみ野・スポーツサイエンス科も苦戦している状況だから、やむを得ない。

 学科やコースの廃止については軽々に論じられないが、「〇〇コース」はすでに歴史的使命を終えていると思われるので、延命策よりも一気に全廃でいいだろう。入学後のコース分けや選択教科などで対応することとし、普通科に吸収が合理的な判断だろう。そもそも普通科なんだから。

 

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受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

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