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「障害」を「障碍」と言い換えただけでは

 「障害」なのか「障碍」なのか。
 読み方はどっちも「しょうがい」。
 
 東京パラリンピックを控えて、「碍」という字を常用漢字表に加えようという動きがあったが、見送られたというニュース。

 「害」は、「有害」「災害」「被害」「公害」など、あまり良いイメージがないのだが、これは仕方ない。「悪」「危」「犯」などを、イメージが良くないという理由で使わないことにすると大変不便なことになる。

 「障害」が一般化したのは戦後のことで(「碍」が常用漢字から外された)、それまでは「障碍」が普通だったようだ。

 「碍」は「碍子(がいし)」の「碍」。
 日本碍子という有名な会社がある。街の電線を見ると陶器製の絶縁体(小さくて白いやつ)が使われているが、それを作っている会社だ。
 「碍」には「さまたげる」という意味があることが分かる。

 「害」にも「さまたげる」という意味があるが、「邪魔をする」「傷つける」といった意味合いもあるので、「身体障害」よりも、昔使っていた「身体障碍」の方が当たっているかもしれない。身体に「しょうがい」があることは、自分の行動の妨げにはなるが、それによって他者を傷つけるわけではないからだ。

 最近学校の運動会では障害物競走をやらないという話を聞いたことがある。いや、やってはいるのだが「山あり谷あり競争」みたいな呼び方をしている。
 誰かが、障害者の差別につながるとか言い出したんだろうが、それはちょっと違うだろう。「障害」は「障害」で、ちゃんと用途があるんだから。

 「障害」を元々の使い方である「障碍」に戻すのはいいとして、誰かが差別用語だと言い出すと、それを使った人(特に差別意識なく)が糾弾されるという風潮は困ったものだ。いわゆる「言葉狩り」というやつだね。

 言葉を使わなくなったり、言い換えたりしたところで、それで差別がなくなるわけではない。

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受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

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