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防衛省「証拠」映像公開に関する記事にツッコミを入れてみる

 韓国駆逐艦による海上自衛隊哨戒機への火器管制レーダー照射問題。
 日韓の主張が対立しているが、そんな中、防衛省が「証拠」として当時の映像の公開に踏み切った。

 各紙・各局が報道しているが、中にこんな記事があった。
 時事通信のニュースだ。

―以下、引用
 同省は防衛当局間の関係を一層冷え込ませると慎重だったが、韓国にいら立ちを募らせる安倍晋三首相がトップダウンで押し切った。日本の正当性を世論に訴える狙いだが、泥沼化する恐れもある。
 防衛省は当初、映像公開について「韓国がさらに反発するだけだ」(幹部)との見方が強く、岩屋毅防衛相も否定的だった。複数の政府関係者によると、方針転換は27日、首相の「鶴の一声」で急きょ決まった。
―以上、引用

 「韓国にいら立ちを募らせる安倍晋三首相」
 どういう取材をするとこういう文章が書けるのかね。記者は首相の心の中までお見通しってことか。

 「トップダウンで押し切った」
 トップなんだから当然でしょう。逆にそれをしなかったらトップの役割を放棄してるってことです。だいいち、押し切ったも何も、自衛隊のトップは首相だから、軍部に押し切られてはいかんのですよ。ふだんはそう言ってないかい。

 「泥沼化する恐れがある」
 便利なのでマスコミがよく使う表現。この決定で事態はますます悪化するぞ、首相の決定は間違ってるぞ、そう遠回しに言いたいわけね。

きわめつけ。
 「方針転換は27日、首相の『鶴の一声』で急きょ決まった」
 「鶴の一声」。意見がまとまらないときなど、権力や影響力を持った人の一言で決してしまうことの例え。いい意味でも使われるが、権力者が有無を言わせず上から決めてしまうというような悪い意味でも使われる。
 さりげなく「急きょ」と入れたところもなかなか巧い。「素早い決断」とは言いたくないわけね。慎重に検討せず、熟慮せず、決めってしまったというニュアンスを出したいようだ。

 短い記事ながら、ツッコミどころ有り過ぎで楽しめた。
 事実を伝えているだけのように見えて、実はその中に巧みに安倍批判を盛り込む。なかなかの文章技術だ。まあ、国語の教材にはならんが。


 今日の動画「塾の先生は専門性が足りない」

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