私立入試の問題を何とかしなければならない問題
埼玉県内私立高校入試の問題は、「記号選択式+マークシート方式」が主流である。
一部の学校、コースでは記述・論述も取り入れているが、その数は少ない。
センター試験に代わる新しい大学入試制度では、従来のオール・マークシート式をやめ、記述を取り入れた問題も出題されることになっているが、「その対策は万全」と言っている私立高校が、当の入試では相変わらずのマークシート一辺倒というのは、どうも矛盾しているように思えてならないが、ここにはさまざまな経緯や事情があり、簡単には変えられない。
埼玉県内私立高校は、公立比べ、1校あたりの募集人員が多い。県下最大の浦和学院は800人募集である。他にも500人を超える学校が8校ほどある。
現行の入試システムだと、47校しかない私立に、県内の中学生のほとんどが出願する(単願受験者+公立を第一希望とする併願受験者)。よって、1校当たりの受験者数が多くなる。入試日を複数日設けていることも総受験者数増大の一因だ。
この大量の受験者に対して試験を実施し、かつ2~3日という短期間で結果(合否)を出さなくてはならないとしたら、採点に時間のかかる記述・論述を出題している余裕はない。機械で採点できるマークシートが採用されるのもやむを得ないところだ。
もう一つ。
埼玉の私立入試では、事実上の合否が、本番試験前に決まっていることが多い。
世に言う「確約」であるが、実際にそのような言葉が使われているわけではない。ただし、事前の個別相談において、高校側は合格の可能性がないと思われる受験生に対しては、受験を勧めていないのが現実である。
よって、単願であれ併願であれ、出願し受験してきた生徒は原則全員合格させるというのが学校側の基本的な姿勢だ(例外もあるが、話がどんどん複雑化するので、ここでは深く立ち入ることはしない)。
このような入試のあり方を、私は「入試という名のセレモニー」と呼んできた。
原則全員合格、ないしはそれに限りなく近い試験に、採点コスト(時間と費用)のかかる記述・論述はふさわしくない。できるだけ簡便な方式が好ましい。
では、事実上の合否は、いつ、どのような方法で決められているかというと、言うまでもなく民間テスト会社が実施する模試の結果(偏差値)である。
つまり、今のところ、私立高校側には、記述・論述を導入すべき積極的な理由がないということである。
だが、事態は少しずつ変わりつつある。
私は、現行の入試システムを「昭和・平成モデル」と呼んでいるのだが、これは、多くの受験生(とりわけ学力上位層)が、公立を第一希望とし、私立を「押さえ=滑り止め」と考えていた時代のものである。
私立の大学進学実績が急上昇し、部活動でも実績を残し、さらに学費格差が急激に縮まった今、私立を第一希望とする受験生は確実に増えている。今後も増え続けるだろう。
そうなった時、民間模試に事実上「丸投げ状態」だったシステムが正常に機能するかどうかである。
今すぐにではないが、近い将来、私立側も「本気で選ぶ入試」を実施せざるを得なくなるのではないか。
それに、誰が作ったか分からない問題による試験結果(偏差値)で事実上の合否を決めるような「ゆるーい入試」を行っていたのでは、学校のステイタスやブランド力も高まらない。
私立高校にはぜひ、新時代モデルへの移行をお考えいただきたいのである。
一部の学校、コースでは記述・論述も取り入れているが、その数は少ない。
センター試験に代わる新しい大学入試制度では、従来のオール・マークシート式をやめ、記述を取り入れた問題も出題されることになっているが、「その対策は万全」と言っている私立高校が、当の入試では相変わらずのマークシート一辺倒というのは、どうも矛盾しているように思えてならないが、ここにはさまざまな経緯や事情があり、簡単には変えられない。
埼玉県内私立高校は、公立比べ、1校あたりの募集人員が多い。県下最大の浦和学院は800人募集である。他にも500人を超える学校が8校ほどある。
現行の入試システムだと、47校しかない私立に、県内の中学生のほとんどが出願する(単願受験者+公立を第一希望とする併願受験者)。よって、1校当たりの受験者数が多くなる。入試日を複数日設けていることも総受験者数増大の一因だ。
この大量の受験者に対して試験を実施し、かつ2~3日という短期間で結果(合否)を出さなくてはならないとしたら、採点に時間のかかる記述・論述を出題している余裕はない。機械で採点できるマークシートが採用されるのもやむを得ないところだ。
もう一つ。
埼玉の私立入試では、事実上の合否が、本番試験前に決まっていることが多い。
世に言う「確約」であるが、実際にそのような言葉が使われているわけではない。ただし、事前の個別相談において、高校側は合格の可能性がないと思われる受験生に対しては、受験を勧めていないのが現実である。
よって、単願であれ併願であれ、出願し受験してきた生徒は原則全員合格させるというのが学校側の基本的な姿勢だ(例外もあるが、話がどんどん複雑化するので、ここでは深く立ち入ることはしない)。
このような入試のあり方を、私は「入試という名のセレモニー」と呼んできた。
原則全員合格、ないしはそれに限りなく近い試験に、採点コスト(時間と費用)のかかる記述・論述はふさわしくない。できるだけ簡便な方式が好ましい。
では、事実上の合否は、いつ、どのような方法で決められているかというと、言うまでもなく民間テスト会社が実施する模試の結果(偏差値)である。
つまり、今のところ、私立高校側には、記述・論述を導入すべき積極的な理由がないということである。
だが、事態は少しずつ変わりつつある。
私は、現行の入試システムを「昭和・平成モデル」と呼んでいるのだが、これは、多くの受験生(とりわけ学力上位層)が、公立を第一希望とし、私立を「押さえ=滑り止め」と考えていた時代のものである。
私立の大学進学実績が急上昇し、部活動でも実績を残し、さらに学費格差が急激に縮まった今、私立を第一希望とする受験生は確実に増えている。今後も増え続けるだろう。
そうなった時、民間模試に事実上「丸投げ状態」だったシステムが正常に機能するかどうかである。
今すぐにではないが、近い将来、私立側も「本気で選ぶ入試」を実施せざるを得なくなるのではないか。
それに、誰が作ったか分からない問題による試験結果(偏差値)で事実上の合否を決めるような「ゆるーい入試」を行っていたのでは、学校のステイタスやブランド力も高まらない。
私立高校にはぜひ、新時代モデルへの移行をお考えいただきたいのである。