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「何でもいいから書いておけば部分点がもらえますか」に答える

 某塾長から、「公立入試における【部分点】の採点の仕方」について質問があった。
 塾の保護者から聞かれたということだ。

 ある程度知っていることであっても、可能な限り情報収集して、より正確に答えようという姿勢は好ましい。ただし、収集先が私でいいかどうかは別問題である。

 塾の保護者の方が、中学校の先生から聞いてきた話。
 先生曰く。「たとえば、数学の証明などであれば、途中から分からなくなったら、とにかく適当でいいから何か書いておきなさい」。
 ということなんですが、これでいいんでしょうか。と、某塾長は尋ねてきたわけである。

 うん、精神論としては、それでいいと思う。
 受験生に意外に多いのは、「自信がないから書かなかった」というものだから、たとえ数ミリでも可能性があれば、書いておこう。

 まず、大前提だが、【部分点】の与え方は、学校ごとに異なる。
 一般に、上位の学校ほど、部分点を取るためのハードルは高く、下位の学校ほどハードルは低い
 学校ごとに決めているから、自然とそのようになる。

 県の採点基準(採点の手引き)には、「内容に応じて部分点を認める」としか書かれていないので、各学校は、ここまで出来ていれば何点、これが書かれていれば何点という形で、独自に決める。
 これは事前には決められない。実際に問題を見てからである。そして、それが決まってから採点に入る。

 平成30年度「学力検査問題」、大問2(4)は、「円の性質などを利用した、線分の長さの比を証明する」問題であった。
 「線分の長さの比の証明」するために、「2つの三角形が相似であることを証明」すればいいわけだが(間違っても、ここは合同じゃないよ)、それに気づいて、「△PABと△PDCにおいて~」と書いただけで部分点がもらえるかどうか。
 これだけでは、ちょっと無理そうな気もするが、次に「円周角の定理により」ときたらどうか。これは相似の証明に入ろうとしていると判断できるし、この問題が狙っている所をズバリ突いていると言えるので、よほど厳しい基準を設けている学校以外は、何点かの部分点は与えるだろう。あとは、「対頂角は等しい」を言えばよく、これで相似の証明は完了なので、個人的には6点満点中3点はあげていいと思うが、最初に言ったように、その判断は学校次第だ。
 ちなみに、この問題、正答(満点)21.8%に対し、一部正答(部分点がもらえた人)22.1%、誤答27.5%で、残りの28.6%は無答(白紙)であった。
 つまり、正答(満点)を除けば、何か書いて点数をもらえた人より、何か書いても点数をもらえなかった人の方が多かったということだ
 
 以上、数学(特に証明問題)についてだが、「何でもいいから書いておく」の精神は尊重するが、それで点数を取れるほど甘くはないぞということだ。

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受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

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