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憲法三大原理のうち、一つしか入試に出ない理由を想像してみる

 入試でどこが出るかをピタリと当てるのは難しいが、どこが出ないかを当てることはそれほど難しい話ではない。
 今日はそんな話。

 中学校・公民では、日本国憲法の基本原理は「国民主権」、「基本的人権の尊重」、「平和主義」であると教えている。
 いずれも大事なことなので、日本国民として覚えておきましょう。

 しかし。
 埼玉県公立高校入試を受ける皆さんは、第3章「基本的人権の尊重」だけをしっかりやっておけばよろしい。「国民主権」と「平和主義」については過去出題実績なしだから。
 考えてみれば、おかしな話だ。
 学校で、教科書で、三大原理とまで教えているのに、一つだけが出て、あとの二つは出ない。

 「国民主権」については、憲法前文に「~ここに主権が国民に存することを宣言し~」とある。また、第1章(天皇)の第1条に「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は主権の存する国民の総意に基づく」とある。
 「平和主義」については、憲法前文に「日本国民は、恒久の平和を念願し、(中略)われらは平和を維持し、(中略)平和のうちに生存する権利を有することを確認する」とある。また、第2章第9条に「日本国民は正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、(後略)」とある。

 つまり。
 「国民主権」や「平和主義」で問題を作ろうとすると、「天皇」「象徴」、「戦争」「戦力」「交戦権」といった用語(文言)を使わざるを得ないのだが、これらは「取扱注意」の用語である。出し方(問い方)次第では、政治問題化する可能性だってある。
 まあ、そこまではしないと思うが、例えばの話、「あなたの考えを述べなさい」とでもしようものなら、「入試で思想調査をするのか」と大騒ぎになるのは目に見えている。

 だったら、そこは触らないでおこう。
 何かと議論の多い前文、第1章、第2章を回避しても、第3章(国民の権利及び義務)、第4章(国会)、第5章(内閣)、第6章(司法)、これだけで条文にして73条(全体で103条)もあるのだから、こちらから出そう。

 基本原理のうちの二つが入試に出ないのは、出題すべき条文自体が少ないこともあるが、以上のような理由があるのではないかと想像するわけである。

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受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

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