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「任命責任」の「任命」について考える

 ここしばらくの間、「任命責任」という言葉が、テレビや新聞の紙面を賑わすと思われるので、今日は、入試とからめながらその話をしよう。


 まず、2人の大臣が辞職したが、かれらを任命したのは誰か。
 これは憲法に規定されているので、そこを見ておこう。

 憲法68条 国務大臣の任命及び罷免
 ①「内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばなくてはならない」
 ②「内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる」

 「罷免」は「ひめん」と読む。任命の反対で、やめさせることである。

 野党やマスコミが、安倍首相の「任命責任」を叫んでいるが、これは、こういう理屈だ。
 問題を起こした2人の大臣の責任も重いが、そもそも、そんな人間を大臣に任命したのは、あなたなんだから、あなたも責任を免れないぞ。
 まあ、それは言えるだろう。

 さて、ここで、もう一つ憲法の条文を見てみる。

 憲法6条 天皇の任命権
 ①「天皇は、国会の指名に基づいて、内閣総理大臣を任命する」


 内閣総理大臣を任命するのは天皇なんだね。
 では、内閣総理大臣に何か問題があった時に、誰か天皇の「任命責任」を問う人がいるかというと、これはない。
 なぜなら、天皇は、「国会の指名」に基づいて、形式として任命しているだけだからだ。

 実質的に内閣総理大臣を決めているのは誰か。憲法にこう規定されている。

 憲法67条 内閣総理大臣の指名
 ①「内閣総理大臣は国会議員の中から、国会の議決で、これを指名する (後略) 」

 
 ここが、わが国の議院内閣制という制度の大きな特徴だね。「国会議員の中から~」というのがポイントだ。他の大臣だったら、国会議員じゃなくてもなれる可能性があるけど、内閣総理大臣だけは、国会議員であることが条件なんだ。
 たとえば、大統領制のアメリカの場合だったら、逆に、大統領は議員であってはいけない。日本の大臣にあたる各省の長官もそうだ。
 このあたりの、両者の違いをしっかり頭に叩き込んでおくと、入試では大いに役立つ。

 さて、「任命責任」の話に戻るが、内閣総理大臣の「任命責任」を問うのはいいけれど、その内閣総理大臣を実質的に決めたのは国会(国会議員)だからね。そこんところを踏まえてもらわないと。

 マスコミが無責任に騒ぐのはいつものことで、これは仕方ないが、国会(国会議員)は、国民に代わって、国民の意思を反映させる形で、内閣総理大臣を選んだわけだろう。
 自分たちで選んでおいて、何かあると、やめろやめろとわめき散らすのは、あんたらこそ無責任ってことだろう。もっと、ちゃんと選べよ。

 最後に入試について念を押すが、議院内閣制を理解できているかどうかは、繰り返し繰り返し、これでもかと出題されている。
 これを機に、しっかり学習しておこう。

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受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

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