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「35人学級」か「40人学級」かの前に

 財務省が、公立小学校の1学級定員を「35人学級」から「40人学級」に戻すよう求めているというニュースがあった。

 教育に関わる話であり、国の予算に関わるニュースでもあるので、受験生にもよく分かるように、この問題を解説しておこうと思う。

 まず、国の予算、つまり、1年間の収入と支出の計画は、国会の議決によって決定される。
 憲法86条(予算) 内閣は毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。

 また、関連して、次のような条文もある。
 入試でも出される可能性が高いところなので、確認しておこう。
 憲法60条(衆議院の予算審議、予算議決に関する衆議院の優越) 
 ①予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。
 ②予算委ついて、参議院で衆議院と異なる議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取った後、国会休会中の期間を除いて、30日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。


 12月になると、通常国会(常会)が開かれ、ここで、来年度(平成27年度)の予算が審議される。なお、年度というのは、学校と同じで、4月1日が1年の始まりである。

 国会に提出する予算案は、内閣が作成するが、その中心になっているのが財務省である。
 財務省は、予算案の、そのまた原案を作るが、それに先立って、各省庁からの要望を集める。
 そこで、国土交通省とか、厚生労働省とか、いろんな省庁は、実現したい政策に必要な費用を計算して、それを「概算要求」という形で財務省に提出する。
 
 「概算要求」を受け取った財務省は、これらを細かく検討して、場合によっては、「概算要求」の内容を見直すように各省庁に求める。

 さあ、ここでようやく、いま話題になっているニュースだ。
 財務省は、文部科学省に対して、義務教育費の国庫負担分の予算を減らすように求めている。
 ざっくり言うと、先生の給料の総額を減らすために、「35人学級」を「40人学級」に戻したらどうだと言っているのだ。

 誤解のないように言っておくが、財務省は、各省庁の「概算要求」に対し、数えきれないほど、たくさんの意見を述べている。今回の件は、そのうちの一つである。
 新聞やテレビが比較的大きく取り上げるのは、視聴者や読者の関心を呼びやすいニュースだからである。
 
 さて、こういった基礎知識、あるいは背景をふまえて、この問題を考えてみよう。

 財務省が、各省庁の「概算要求」をそのまま受け入れたら、国の財政は立ち行かない。26年度の場合でも、95兆円の支出(歳出)が見込まれるのに、税金収入は50兆円しかないというのが、いまのわが国の財政である。
 だから、何かを減らせと言うのは、当然のことだ。

 問題は、どの省庁の、どの予算を、どれくらい減らすかである。
 文部科学省の場合、26年度が5兆4千億円のところ、27年度の「概算要求」は5兆9千億円ほどになっている。財務省は何かを減らせと言うだろう。
 すると、その減らす部分が、義務教育にかかわる費用でいいのかどうかという議論になってくる。
 「35人学級」と「40人学級」のどちらがいいか以前に、ほかに減らせるものがないのかを考えてみなければならない。たしかに、義務教育に関わる国庫負担金というのは、文部科学省の予算全体の中でも大きな割合を占めるものだから、予算削減効果として大きい。この件がクローズアップされるのは、そういう理由もある。

 マスコミ的には、どうしても「35人学級」か「40人学級」かという教育論に集中してしまうが、国の財政という、別の角度からも考えてみるのも大切なことだ。

 

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受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

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