選挙・集中講義(2)
この講義は、中学生に分かるようにを念頭に書いている。
ただし、内容は、教科書に出ていないことが主である。
教科書に出ていないということは、入試には出ないということであるから、じゃあ、読むのはやめようかという中学生もいるだろう。それはそれで構わないのだが、ものごとの見方や考え方について、少し幅を広げておくのも無駄ではない。
元・高校社会科教員であった私が言うのだから間違いない。この知識は高校に入ってから役に立つ。
内閣不信任案も出ていないのに、なぜ解散か
衆議院の解散については、憲法に次のように規定されている。
憲法69条「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない」。
つまり、どういう場合に衆議院が解散になるかを言っているわけだが、まず、衆議院で内閣不信任案が可決するということが前提になる。そして、この場合、内閣には2つの選択肢がある。
①内閣が総辞職する
②衆議院を解散する
①内閣が総辞職する。
国会で選ばれた人が内閣総理大臣となり、他の大臣を任命して内閣を組織しているわけで、その国会が、「やっぱりお前じゃダメだ。やめて別の人間に代われ」と言っているので、「はい分かりました。やめます」となるのがこれだ。
②衆議院を解散する。
国会(衆議院)は、「やっぱりお前じゃダメだ。やめて別の人間に代われ」と言っているが、そもそも、その意見は、いま現在の国民の意思と言えるのかどうか。たぶん、そうじゃないと思うぞ。選挙で国民の意見を聞こうじゃないかというのがこれだ。
わが国の議院内閣制という制度の下では、国会の多数党(今なら自民党)から内閣総理大臣が出ているので、少数党(今なら民主党など)が出した不信任案が可決することは、ほとんどありえないことだ。
過去に数回、何かの拍子で、偶然、不信任案が可決してしまったことがあるが、その場合も、内閣は総辞職せず、衆議院解散の方を選んでいる。
さて、話が長くなっているが、今回予定されている衆議院の解散、総選挙である。
内閣不信任案は可決していない。というか、そもそも、不信任案そのもが出ていない。では、なぜ解散になるのか。
憲法7条「天皇の国事行為」による解散
憲法第7条に、「天皇は、内閣の助言と承認により、国民のため、左の国事に関する行為を行う」とあり、国事行為が10項目あげられている。その中の一つに「3 衆議院を解散する」とある。
今回の、というか、これまでのほとんどの解散の法的な根拠はここにある。
天皇は、政治的な権限を持たず、あくまでも形式的に国事に関する行為を行うわけだから、実質的に解散を決めるのは内閣である。
つまり、国会(衆議院)の意思に関わらず、内閣の意思で解散が決められるという、もう一つの方法があったわけである。
この後、ニュースを見ていれば、解散が決まる瞬間の映像が流れるだろう。
衆議院の本会議で、議長が解散詔書というものを読み上げる。
「日本国憲法第7条により、衆議院を解散する」。これだけ。
すると、議場からは「バンザイ」の声が湧き上がる。
これ、意味わかんないね。何がバンザイなんだ。
ただし、内容は、教科書に出ていないことが主である。
教科書に出ていないということは、入試には出ないということであるから、じゃあ、読むのはやめようかという中学生もいるだろう。それはそれで構わないのだが、ものごとの見方や考え方について、少し幅を広げておくのも無駄ではない。
元・高校社会科教員であった私が言うのだから間違いない。この知識は高校に入ってから役に立つ。
内閣不信任案も出ていないのに、なぜ解散か
衆議院の解散については、憲法に次のように規定されている。
憲法69条「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない」。
つまり、どういう場合に衆議院が解散になるかを言っているわけだが、まず、衆議院で内閣不信任案が可決するということが前提になる。そして、この場合、内閣には2つの選択肢がある。
①内閣が総辞職する
②衆議院を解散する
①内閣が総辞職する。
国会で選ばれた人が内閣総理大臣となり、他の大臣を任命して内閣を組織しているわけで、その国会が、「やっぱりお前じゃダメだ。やめて別の人間に代われ」と言っているので、「はい分かりました。やめます」となるのがこれだ。
②衆議院を解散する。
国会(衆議院)は、「やっぱりお前じゃダメだ。やめて別の人間に代われ」と言っているが、そもそも、その意見は、いま現在の国民の意思と言えるのかどうか。たぶん、そうじゃないと思うぞ。選挙で国民の意見を聞こうじゃないかというのがこれだ。
わが国の議院内閣制という制度の下では、国会の多数党(今なら自民党)から内閣総理大臣が出ているので、少数党(今なら民主党など)が出した不信任案が可決することは、ほとんどありえないことだ。
過去に数回、何かの拍子で、偶然、不信任案が可決してしまったことがあるが、その場合も、内閣は総辞職せず、衆議院解散の方を選んでいる。
さて、話が長くなっているが、今回予定されている衆議院の解散、総選挙である。
内閣不信任案は可決していない。というか、そもそも、不信任案そのもが出ていない。では、なぜ解散になるのか。
憲法7条「天皇の国事行為」による解散
憲法第7条に、「天皇は、内閣の助言と承認により、国民のため、左の国事に関する行為を行う」とあり、国事行為が10項目あげられている。その中の一つに「3 衆議院を解散する」とある。
今回の、というか、これまでのほとんどの解散の法的な根拠はここにある。
天皇は、政治的な権限を持たず、あくまでも形式的に国事に関する行為を行うわけだから、実質的に解散を決めるのは内閣である。
つまり、国会(衆議院)の意思に関わらず、内閣の意思で解散が決められるという、もう一つの方法があったわけである。
この後、ニュースを見ていれば、解散が決まる瞬間の映像が流れるだろう。
衆議院の本会議で、議長が解散詔書というものを読み上げる。
「日本国憲法第7条により、衆議院を解散する」。これだけ。
すると、議場からは「バンザイ」の声が湧き上がる。
これ、意味わかんないね。何がバンザイなんだ。