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失敗の原因となるのは、「不安」より「安心」である

 スポーツにおいて、圧倒的な実力差があれば、結果は常に同じである。
 たとえば、横綱白鵬は何十回やっても十両以下の力士に負けることはあるまい。高校生チームは何度やっても、プロ野球やJリーグのチームに勝つことはない。

 しかし、高校生同士あるいは中学生同士の試合なら、結果は勝ったり負けたりである。相当な実力差があるとみられている場合でも、何回かに1回は、弱い方のチームが強い方を負かしたりする。
 
 勝敗を左右するのは、主に、技術であり、体力であり、経験である。これに作戦(戦術)を加えてもいいだろう。
 しかし、これだけで決まらないのがスポーツの怖さであり、面白さである。

 では、勝敗を左右するもう一つの要素は何かと言うと、「気持ち」である。
 生身の人間のやることだから、これがものすごく大きい。

 以前にも書いたが、オリンピックのような大きな大会で、日ごろの力を発揮できずに、まさかの敗戦を喫する選手がいれば、いつも以上の力を出して勝利を手にする選手もいる。
 持っているもの以上を出すのは一見不可能に思えるが、本番で自己ベストを更新する選手がいるところをみると、本番で練習以上の力が出る場合もあるということだ。

 さて、受験生諸君。
 今から、スポーツにおける技術・体力・経験に相当する「学力」「得点力」をどれだけ伸ばせるだろうか。
 もちろん、伸ばせないということはないのだが、僅かの伸びである。少なくとも、ここに大きな期待をかけてはいけない。

 それよりも「気持ち」である。
 これをうまくコントロールして、ベストの状態に持って行くことを考えたほうが、勝利(合格)に近づくだろう。

 では具体的にどうするか。
 キミたちはいま、非常に不安な状態におかれているだろう。
 しかし、これはきわめて正常な状態である。
 であるから、これをわざわざ異常な状態に持って行ってはならないのである。つまり、無理に「大丈夫、絶対に受かる」などと自分に言い聞かせてはならない。

 自分の心の中から、不安を追い出そうという行為は、いわば自分自身との戦いである。
 よく、勝負は自分との戦いと言われるが、本当はそんなことはなく、他人(相手)との戦いである。自分との戦いにエネルギーを使ってしまうと、他人(相手)との戦いに使う分が減ってしまうから、この戦いは無意味であり、マイナスである。

 私の長い人生経験によれば、不安から失敗することより、安心から失敗することのほうが、はるかに多いのである。
 だからいま、「ふん、試験なんて大したことないや。完璧だね。何の不安もないよ」と思っている受験生がいたとしたら、これはきわめて危険だ。直ちに不安という正常な状態に持って行ってほしいのである。
 

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受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

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