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嫌なら自分が離れて暮らせばいいだろう

 作家・曽野綾子氏(83歳)の産経新聞紙上におけるコラムが物議を醸している。

 村上春樹のような人気作家でもない一人の年老いた作家の発言が、こうまで大問題となることがまず驚きである。
 政治家ではなく、ただの文学者の意見だからね。
 ふつうなら、「ほう。そうかい、なるほどね」か、「このアホが、何を言っとるか」で終わり。

 ただ、彼女は政府の審議会などの委員を務めたりして安倍政権に近い人物と見られているし、載せた新聞も常に政府を擁護する産経新聞であるから、このあたりが突っ込みどころなのだろう。

 コラムのテーマは「労働力不足と移民」。
 前半では、介護分野での労働力不足を移民で補ってはどうかと述べている。
 医療介護分野で外国人労働者を活用しようというのは、すでに現実に進行している動きのようであるから、これはまあ一つの考えとしてあってもいいだろう。

 と、ここまでは特に問題なし。

 問題は後半部分だ。
 移民を積極的に受け入れるべきだとしながら、居住区だけは白人、アジア人、黒人というように分けたほうがいいと述べる。
 で、その主張を裏付ける事例として人種差別政策(アパルトヘイト)撤廃後の南アフリカ共和国をあげるわけだが、これはどうだろう。

 同じ民族、宗教、生活習慣を持った人間同士が集まって暮らしたほうが、何かと便利で気楽という面もあるかもしれないから、そうしたい人はすればいい。
 ただ、「居住・移転の自由」というものがあるわけで、それを法律かなにかで規制するのは、どう考えたって違うだろう。移民を受け入れよと言っておきながら、居住の自由は認めないというのであれば、明らかな矛盾だ。まあ、曽野自身も「矛盾するようだが」と断ってはいるが・・・。

 コラムの最後の部分で、「人間は事業も研究も運動も何もかも一緒にやれる。しかし居住だけは別にした方が良い」と述べている。
 何もかも一緒にやれるのであれば、居住について、あえて制限を加える必要はあるまい。

 自由と人権。
 これらが最大限に保障される国でなければ、そもそも移民者がやって来ないではないか。

 曽野自身が、自分とは生活文化が異なる人々と、生活を共にしたくないのであれば、どこか遠く離れたところで生きればいいのである。日本国憲法はそれを保障しておるぞ。
 

 

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受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

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