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そんな入学式式辞、あるわけない

 ■入学式式辞
 新入生の皆さん、保護者の皆様、ご入学おめでとうございます。
 合格発表から今日まで、皆さんは入学許可候補者などと、訳の分からない呼び方をされていましたが、先ほど、この私が「入学を許可する」と言った瞬間に、正式に本校の生徒になったわけです。
 
 これまで、皆さんには、説明会などで、ずいぶんと甘い言葉もかけてきました。その結果、もしかしたら、皆さんは理想の学校と勘違いしたかもしれません。残念でした。私が甘い言葉をかけてきたのは、皆さんにこの学校を受験してもらいたいがためであって、決して私の本心なんかではありません。
 今日からは、皆さんを煮て食おうが焼いて食おうが、私たちの思いのままです。そう考えると、思わず頬が緩んできます。

 しまったと今さら気づいても後の祭りです。
 今日はぜひ、「話半分」という言葉を覚えて帰ってください。人の話などというものは、半分が真実で、残り半分は嘘や誇張なのです。これが高校に入っての最初の学習です。

 皆さんは、本校の先生は、みな親切で優しいと思っているかもしれませんが、事実はまったく逆で、不親切で厳しい先生ばかりです。
 いちいち面倒なので、たいていのことは「そんなのは自分の頭で考えろ」と冷たく突き放します。その結果、皆さんは何度も失敗すると思いますが、その時に優しい言葉や慰めを期待してはいけません。「ものごと深く考えないからだ。失敗の責任は自分で取れ」と冷たく言い放ちます。
 今日はぜひ、「冷淡」、「冷血」、「人でなし」という言葉を覚えて帰ってください。

 では、何でも自分で考えて、思ったとおりに行動できるのかというと、そうは問屋が卸さないのです。自分で考えろと言う割には、いちいちうるさいのです。細かい規則がいっぱいあります。さらに腹が立つのは、それらの規則のほとんどは理不尽この上ないものだということです。
 理不尽な要求をして、皆さんが、もがき苦しむ姿を見るのは、私たちの最大の喜びです。これを見たくて教員をやっていると言っても、決して言い過ぎではありません。
 今日はぜひ、「理不尽」という言葉も覚えて帰ってください。

 皆さんは、高校は中学校より自由だと思っていたかもしれませんが、はっきり言って、それは誤解です。いや、妄想です。
 人間は、幼いほど自由なのです。赤ちゃんや幼児を見れば分かるでしょう。人間は成長し、年齢を重ねるごとに不自由になって行くものなのです。

 今日この瞬間から、皆さんは「夢」とか「希望」といった歯の浮くような言葉と訣別してください。そういうのは、ポスターやパンフレット用の言葉であって、スーパーのチラシにある「お買い得」なんかと大差ありません。

 現実に目を向けましょう。いや、そんなことを言わなくても、明日からは否応なく、これまで私が述べてきた現実に直面するのです。楽しみですね。

 皆さん、だんだん下を向いてしまいましたね。中には涙ぐんでいる人もいる。まさか、私の話に感動したわけではありませんね。

 では、この際ですから、もう一つ残念なお知らせをしておきます。
 私たちが、どれほど冷淡に接し、口うるさく注意し、理不尽な要求をしても、全然へこたれない連中がいるのです。
そう。明日、皆さんが対面する上級生たちです。
 かれらを見ると、残念でたまりません。まだまだ私たちは甘いのではないかと反省させられます。一体何がそんなに楽しいのでしょう。

 「もう逃げられないぞ。覚悟はいいか」。
 以上をもって、私の式辞といたします。

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苦笑しながら読みました

初めは普通の式辞かと思って読んでいましたが、なんとパンチのきいた式辞なのでしょう(笑)
塾も、「言ってたことと、やってることが違う!」とならないように、気をつけねば…
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Author:梅野弘之
受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

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