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願望と異なることを口にする人々

 年寄りが集まると、話題は病気と孫の話と決まっている。
 が、私は今のところ、どっちにもまざれない。

 私が生まれたころの男性平均寿命は約60歳だった。それが今、80歳。
 64歳の私は、急に病気になったり、事件や事故に遭遇しなければ、あと15年は生きるかもしれない。あと20年の可能性もある。

 と、そんな話をしていると、「俺はそんなに長生きしたいとは思わんな。いつ死んでもかまわん」などと言い出すやつが必ずいる。

 「そうかい。じゃあ、いまこの瞬間に地震が起きても逃げるなよ。火事になっても我先に飛び出すんじゃないぞ。俺が先だ。この世に未練があるし、やり残したことがたくさんあって簡単に死ぬわけにはいかないからな」

 「そう言えばオマエ、タバコ止めたってな。酒もほどほどにしてる? 早起きしてウォーキングして、食事も塩分控えめだと? この野郎なんで身体にいいことやってんだよ。そんなことしてたら長生きしちゃうじゃねえか」

 人はしばしば願望と異なることを言う。

 しかし、もしかしたら、死んでもかまわないと言う人は、人一倍生きることへの願望が強いのかもしれない。金なんか要らないという人は、人一倍、金への執着が強いのかもしれない。
 願望が実現しなかった場合、最初からたいして望んでいなかったのだということにしておけば、ショックも緩和できそうだし、みっともない思いをすることがない。だから、他人に言うときは、実際の願望よりもかなり低めの設定にしておくのだ。

 まあ、人生残り少ない老人がこれをやるのは許してもいい。だが、これからを生きる若い人たちが同じ行動を取っているとしたら残念なことだ。

 「負けてもいいんだ」なんて言ってると、本当に負けちゃうぞ。「落ちてもいいんだ」なんて言ってると、本当に落ちちゃうぞ。

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受験生・保護者の皆さん、学校や塾の先生方に最新情報をお届けします。ただし、結構頻繁に受験と無関係の話も。

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